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小さなうねりが後に・・・ ~ ミュージカル FACTORY GIRLS~私が描く物語~ ~

自分は20年近く前に放映されていた「Matthew's Best Hit TV」という番組が大好きでした。

そうです、大好きな藤井隆さんにとても似ている「マシュー・弦也・南」が司会をしていたバラエティ番組です。

レイラというこれまた隆に似たスーパーモデルが、イフィニットドレスを華麗に着こなしたりするステキなコーナーなど見所たっぷりでした。

こちらには当時のアイドルがよく出演されていて、あややこと松浦亜弥さんと双璧な出演回数と思われるソニンさん出演回は目が離せませんでした。

同じアイドルなはずなのに、あややはシャボン玉や泡にちょっぴりまみれる位の罰ゲームだったりするところを、ソニンさんは罰ゲームでも何でも無くなぜかガチの闘犬と戦わされたりしていたのです。

そんな健気なソニンさんは近年ミュージカルのスターとなっておられます。

闘犬と戦ったり組んでいたアイドルの片割れ(例のアイドルさんの弟)が奔放で振り回されたりしていたことを知っていると、感慨深いものが御座います。

そんな(そんなって)ソニンさんを拝見しに国際フォーラムまで足を運びました。


ここからはネタバレな感想も含みますので、これから観劇予定の方はまた後日お読み頂けましたら幸いです!

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19世紀半ばのアメリカのローウェル。

ここは産業革命により大規模な紡績工場が誕生したため、ここに様々な境遇や考えの女性が集まって来ます。

彼女たちは「ファクトリーガールズ」と呼ばれ、ガールズの寄稿集「ローウェル・オウファリング」は彼女たちの憧れとなっています。

紡績工場へ家族を助けるため、自分の自由を手に入れるためにサラこと柚希礼音さんがやってきます。

しかし聞いていた憧れの場所と思っていたところは、理不尽な状況で、ひたすら機械のように働く「ガールズ」達を目の当たりにし、柚希さんはショックを受けます。

そんな中で「ローウェル・オウファリング」で編集者としても働くハリエットことソニンさんと知り合います。

「ガールズ」たちより「ちょっぴり年かさ」な柚希さんですが、明るく頼りがいのあるねえさんとして、「ガールズ」達とすぐに打ち解けていきます。

ソニンさんに文才を見出され、柚希さんは自分に自信と希望を持つことが出来て、ソニンさんと友情を深く結んでいきます。

ですが、勤める工場がライバル工場の出現により、売り上げが伸び悩み始めたため、対抗するために二人の勤務する工場は労働環境が一気に悪化してきます。

当時の賃金は女性は男性の給与の半額しか支給されず、女性の地位の低さは、セクハラやパワハラは当たり前の実に厳しいものがありました。

そんな最中にソニンさんが「ローウェル・オウファリング」の編集長に抜擢されます。

「ローウェル・オウファリング」では女性の地位向上を訴える記事が多かったのですが、そこで工場長と裏で手を組んでいる政治家がソニンさんへ工場の実態にオブラートをかけさせるように仕向けます。

政治家の甥はソニンさんにゾッコンであり、真摯な甥の思いを受け止め二人は恋仲となったため、工場の仲間を案じつつ、工場支援者たちの機嫌も損ねないよう、ソニンさんなりの機転を利かせながら記事を書き、アメリカじゅうに「女性の地位向上について」の講演をして回るようになっていきます。

その最中も工場内の労働環境はどんどん悪化していきます。

ちょっとした体調不良でもあっさり解雇となり、労働時間もどんどん伸びて体調を崩す「ガールズ」達。

余りにも理不尽な状況に柚希さんが立ち上がります。

目を付けられたらブラックリストに載り、解雇対象となる危険を顧みず、「ローウェル・オウファリング」に現場の声としてエッセイを寄稿します。

この頃に他の労働新聞の編集長である移民の男性と知り合い、一緒にやって行かないかと誘われます。

しかしこれが表沙汰になるとますます柚希さんの立場が、そして支える「ガールズ」達にも厳しい状況が訪れてしまいます。

状況は刻一刻と悪くなり、ソニンさんの「聡明な立ち振る舞い」と柚希さんの「強硬手段」の思いは同じはずなのに、見た目が全く違う方向性となり、二人の友情にもひびが入り始めます。

そしてある日、「ガールズ」のひとりに凄惨な出来事が起こってしまいます。

ソニンさんと柚希さん、それぞれの立場が違う中、二人は工場の現状、女性の地位についてどういった打開策を講じて行くのか、その結果は・・?


このストーリーだけ書き出してみると、かなり社会派な舞台です。

そして実際のセリフや場面には、当時の女性が強いられた、余りにも過酷な環境がまざまざと展開されます。

ある意味「いまの日本の雇用体系」や「女性の地位」と似通っているものがあると思います。

日本は「女性の地位向上」が遅々として進まず、「言うだけ番長」状態が長らく続いているように見えます。

柚希さんの役柄は実在の人物だそうなので、それはそれは苦労の連続だったと思います。


舞台はミュージカルだけに歌、そして群舞的なダンスが見応え充分!

さすが元ヅカの柚希さんは、他のキャストさんと同じマイクを使っていると思えない迫力と声量、そしてダンスのキレも鮮やか。

ソニンさんもそれはそれは素晴らしく、脇を固めていた清水くるみさん、平野綾さん、谷口ゆうなさんの女性陣が特に素敵でした。

男性陣も素晴らしく、男女入り乱れるダンスシーンが多数ありましたが、どちらも引けを取らないステキなダンスシーンでした。

ストーリーのラストは「キーーー!!」っとなるようなエンディングではありましたが、当時はどれだけ頑張ってもそこが最高到達点だったんだろうと思います。

ですが、この二人の頑張りに端を発した「女性の地位向上」は30年後に花開く形となっており、始めたことは無駄にならない。

念ずれば通ずを見た思いです。


「東京国際フォーラム ホールC」ということで生バンドが入り、音響も椅子も(そこ?)も素晴らしく、自分は今回1階の22列目でしたが、充分演者さんの顔が見える良い席でした。

過去の話ではなく、今に続く解決には程遠い話。

しかし、以前には俎上にも上がらなかった出来事として、昨今のLGBTQの方や夫婦別姓が討議されるようになってきました。

我慢を強いる側が「認めたとて、何ら『我慢を強いる側』に状況が変わることが無い」としても、我慢を強いる側には『不都合』がある様子。

その『不都合』のパンドラの箱が少しずつ開き始めておりますが、そうなると「他の問題」が華やかになってきたり(苦笑)


舞台は歌に、踊りに、舞台装置に、生バンドの迫力に釘付け。

ミュージカルを観に行く度に、本当に歌の上手い方たちに感動します。

そして演技に心打たれます。

ぜひとも、足をお運び下さい!



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