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さよなら、いい人ぶってた私

できることならいい人って思われたい。
嫌なヤツだって思われないように。

「あなた本当にいい人ね」と誰かに言われるのは、自分の存在意義が感じられるようで心地がよかった。

10代の頃の私は自己肯定感が皆無。
自分を認められるようになりたくて、とにかく「いい人」で過ごした。なにか頼まれれば笑顔で応じ、トラブルがあれば手を貸そうか、と声をかける。

誰かに「いい人」と言われるたびに、自分の価値が上がった気がした。

それなのに。
いい人を演じていると段々おかしなことになってくる。

紹介したい人がいるんだと、出かけて行ったらネットワークビジネスに誘われる。
親戚の癖つよおばさんが押しかけてきて、しつこく保険を勧められる。
友達は毎回時間を守らず、約束の時間すぎて何十分も待たされる。

これってなんなんだろう。
いい人って、いいことないじゃん。

気持ちよくなるためにいい人ぶっていたつもりが、どんどん心の底に汚らしいヘドロが溜まってく。

そんな頃、一冊の本に出会った。

この本の最初はこうだ。

あなたに敬意を払わない人に、
あなたが敬意を払う必要はない。
あなたのことが嫌いな人を、
あなたが好きになる必要はない。
あなたを大切にしない人を、
あなたが大切にする必要はない。

小池一夫著『ふりまわされない』より一部引用

がああああぁぁぁぁんんん!!!!!!!

学校教育の賜物か、それまでの私は誰に対しても平等に敬意を払う必要があると思っていた。
だから、自分を大切にしてくれない人たちに対してモヤモヤした気持ちを抱えて悩んでいたのに!

「あなたに敬意を払わない人に、あなたが敬意を払う必要はない!」

「あなたのことが嫌いな人を、あなたが好きになる必要はない!!」

「あなたを大切にしない人を、あなたが大切にする必要はない!!!」

全部、全部、全部、心の中で感じてた。

それをはじめて言葉にして突きつけられて、心の底からショックだった。と同時に私は今まで感じたことがないくらいすがすがしい気持ち。

だって、心の奥底では「なんで自分を蔑ろにする人のことを平等に大切にしないといけないんだろう」ってずっと思っていたから。

なぁーんだ! それでよかったのか!!

心からスッキリ。
本を読んでこんな気持ちになったのは生まれてはじめてだった。

このほかにも

失礼無礼な人は無視してもいいンですよ。
相手にしなくてもいいンですよ。
そういう人に、心折れたりする必要はないのです。

小池一夫著『ふりまわされない』より一部引用

なんて赤裸々に書いてある。それまで一生懸命「いい人」ぶってきた私は、なんだか笑いが込み上げてきて、急にそんな生活がアホらしくなってしまった。

都合よく使われるのは嫌だし、ねずみ講には参加しないし、保険は間に合ってるし、時間どろぼうもされたくない。

嫌なことは嫌って言えばいいし、無理して「いい人」でいる必要なんてなかったんだ。

はじめからそうだったんだ。

著者である小池一夫さんは、当時Twitterをされていて、よく人間関係や負の感情との向き合い方について呟いていた。
そのひとつひとつが、人生の師のようで当時私はうんうん、頷きながらツイートを見てたっけ。

残念なことにご本人はもう亡くなられてしまったけれど、今でも著書の『ふりまわされない』は大切に本棚に置いている。しまってはいない。
人間関係で落ち込んだり、迷ったりしたときに、真っ先に手に取る本だから。すぐ読める場所に置いている。
これまで何度も「あ〜モヤモヤする〜!」と思ったら、この本を開いてきた。
何度も救ってもらった。

欲をいうなら、もう少し人生の早い段階でこの本に出会いたかったな。

「いい人の生活に疲れてる」ってあなたが思ってるなら、この本をそっと手渡したい。
割と本気で、価値観変わるかも。

そんなわけで、本日は書く部のお題で書いてみました。
「あなたの大切な人に贈りたい一冊」もしくは「あの頃の自分に贈りたい一冊」でした。

最後までお付き合いくださってありがとうございまーす♪

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