スクリーンショット_2018-11-06_14

試合で成果が出るトレーニング作成の5つのポイント

サッカー指導者・コーチであれば試合で勝つため、選手がうまくなったことを実感できる方が良いと考えてるに違いないと思います。

選手はみんな「試合に勝ちたい」と思ってプレーしているはずで、指導者の役割はそれを一緒に達成するために働くことです。

では、どうしたら試合に勝てるのか?

その答えはシンプルです。

練習をちゃんと行うこと

これに尽きます。


良い練習の作り方

でも、多くのコーチは「いい練習ってどうやって作ったらいいの?」と悩んでいるんですね。

これは、私が独自に行なった200名を超えるアンケートで如実に出ていたので大凡日本の現状を示しているはずです。

では今回はサッカーの練習を作成する上での抑えて置くべきポイントを、スペインのサッカー理論を基にした私の考えをここへ記載します。


まず、練習で「何を向上したいのか」を明確にしていますか?

多くのコーチが陥っているミスに、その練習がサッカーにおける「何の」練習なのかの設定をできていないことがあります。

- 点が取れない
- ボールを奪われてしまう(パスが繋がらない)

など、何かしら問題があってそれを解決するために練習はデザインされている必要があります。

サッカーのトレーニングは試合から逆算して考る必要があるのですが、ここのスタートラインを見間違ってる人は多いようで、

「とりあえずドリブルをやっておこう(←一番定番のわかりやすい間違い)」

みたいなのは、すでに進む方向が間違っています。

方法論、特に目に見える技術論から入るのはボール扱いはうまくなりますが、それはサッカーが上手くなることとは異なりますのでそこはしっかりとサッカーというスポーツの本質を我々指導者は理解しなければなりません。

サッカーの理論上、ボール扱いの能力はただの道具でありそれだけを高めてもサッカーは上手くなりません。

正直なところ、私は高校時代は全国屈指の「ボール扱いがうまいのがサッカーがうまい」系のサッカー部で3年間過ごしましたが、3年間で「サッカーが上手くなった」とは思いません。

身についたのは「ボール扱い」が良くなった、という部分であり総合的なサッカーの能力が伸びたとは思っていません。

スペインでは、テクニック(Tecnica)=試合で使えるものと定義され、ボール扱い(habilidad)はただ単にボールを自由に扱えるという能力を指します。

日本の育成現場ではボール扱いが良くなることが良い選手になることの全て、という間違った認識を持っている人もいるようです。

また、未だ多くの現場で見るであろう「素走り」は、意味を成していないことがほとんどです(特に少年サッカーで罰走をみなさんが見かけた場合はパフォーマンス向上には悪影響を与えていると解釈してOKです)。


サッカーというスポーツを正しく理解する

サッカーはどういうスポーツでしょうか?

サッカーは個人スポーツではなく、集団でプレーする戦術的なスポーツです。

他の競技と比べても関わる人数が多く、スペースを共有している、さらに手でボールを扱えないという側面からすると非常に複雑性が高いスポーツなのです。

戦術=相手がこうしてくるから、こうしようと考える問題を解決する行為

と私は、著書の「サッカーの新しい教科書」の冒頭でも触れていますが、サッカーにはこのような側面があるということをまずは理解しましょう。

ではこれを踏まえて、次に目的を明確にした良い練習メニューを作るポイントですが、いくつかの設定をして行きます。

①攻撃か守備か
②4つのモーメントのどれか
③戦術意図は何か
④戦術項目
⑤キーファクター

①攻撃か守備か
サッカーには大きく分けるとボールを保持している攻撃と、ボールを保持していない守備の時間帯があります。このどちらかの局面にフォーカスして練習をするか決めます。


②4つのモーメント
- 攻撃(相手の守備組織が整っているところで攻撃する時間)
- 攻撃から守備のトランジション(ボールを失ってから自チームの守備組織が整うまでの時間)
- 守備(自チームの守備が整ってからのボールを奪うまでの時間)
- 守備から攻撃のトランジション(ボールを奪ってから相手の守備組織が整うまでの時間)

この4つのモーメントのうちどこにフォーカスするかを決めます。


③戦術意図は何か
攻守でそれぞれ5つずつの戦術意図を考えます。わかりやすく言うと「目的」で、これはチームや個人が何の目的を持ってプレーするか、どのプロセスにあるのかの共通意識を持たせるために作用します。例えば「デスマルケ(マークを外す)」を行うにしてもゴールを奪うためなのか、それとも相手を引き付けるために実行するのかではキーファクターは異なるからです。

攻撃の戦術意図
A. ゴールを奪う
B. 前進する
C. ボールを保持する
D. 相手を引き付ける
E. 相手の守備組織を撹乱する
守備の戦術意図
A. ゴールを守る
B. 前進を妨げる
C. ボールを奪う
D. 相手の攻撃を誘導する
E. 時間をかける

④戦術コンセプトは何か?
前述の③の戦術意図を達成するための戦術コンセプトが何なのかを定めます。これは、たくさんの項目があるので全てを記述することはできません。参考文献としては、私の「サッカーの新しい教科書」3作と『誰にでもわかるサッカー説明書』(テクニック編・戦術編)がありますので、そちらをご覧ください。

考え方としては、攻撃の戦術意図で「前進する」ために「サイドチェンジ」と言う戦術コンセプトが作用しているということです。あくまで、戦術コンセプトは③の目的を達成するために利用するのです。

⑤キーファクター
これはプレーを修正するための「実際に選手に伝える言葉やフレーズ」と言い換えられます。
私の視点では、日本の指導理論だとここが曖昧になっています。多いのは「〇〇をする意識」や「〇〇の質」です。しかしこのキーファクターを設定した場合、例えばパスミスをした選手に「パスの質をもっと良く!」とコーチングをしても選手のプレーは絶対に改善されません(できたらそれは指導者が良いのではなく、選手の能力が高いのです)。

これをどうするかと言うと5W1Hを利用して文章化すること。

例えば、スペースへ走る味方へパスをする時のキーファクターは

- 味方の走るスピードを下げないように前方(どこへ)に最適な強さでパスを出す

となるべきです。


練習メニュー例

では、ここでは上記の5つのポイントを設定して作成したメニューを紹介します。

①は「攻撃」
②は「攻撃」のモーメント
③は「前進」と「フィニッシュ」※複数設定もありです
④は「デスマルケ(マークを外す動き)」
⑤は各メニューに記載しています

画像1


(トレーニングメニューはサッカーの新しい研究所で利用しているFootballAimで作成)

いかがでしょうか?
このように5つのポイントを整理することで、試合に直結するパフォーマンス改善のためのコーチングが明確になります。

これによって試合で成果が発揮できるのです。

ぜひ、皆さんも実践してみてください。

---------------------

◆オンラインコミュニティ「サッカーの新しい研究所」
https://peraichi.com/landing_pages/view/soccerkenkyujo

◆お申し込みフォーム
https://goo.gl/forms/XB3xBoyLMBYfjb9k1

画像2



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?