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税理士になろうと思った理由④出逢い

こんにちは。
丘咲 つぐみです。

19回目の記事になります。

「私の条件で生きていく手段なんてあるのかな...まして、お仕事なんて、あるのかな...」と。
すると、Hちゃんも同じことを悩んでいたというのです。実はこの頃、Hちゃんは大学退学の決断を迫られているときでした。今の足の状態では、大学に通い続けることは難しい状況だったのです。またしても共通の大きな悩みがあることが分かり、その日から、二人だけの狭い世界で一緒に考える日々が始まりました。

考え続けていたある日、病棟の談話室に、年代もバラバラの入院仲間が集まっていました。
大学病院の整形外科病棟は、長期入院の患者さんが多く、自然と仲間ができる空間です。「談話室」ともなれば、病気の情報交換が繰り広げられる最たる場所です。同じ悩みを抱えた者同士が共感し合える場所で、このような居場所があることで、血の滲むようなリハビリに耐えたり、受け入れ難い現実を受け止める作業ができるのかも知れない、と思います。
しかも、Hちゃんはとても美少女でしたので、患者仲間の間ではアイドルみたいな存在でした。Hちゃんの姿が見えると、皆、何となく顔の筋肉がほころんだものでした。

その談話室で、ある雑誌を見つけました。「ケイコとマナブ(リクルート)」という習い事と資格の情報雑誌です。その雑誌には、「ペン習字」のような習い事もあれば、「医療事務」「保育士」などの具体的な仕事になりそうな資格が何十種類も収められていました。
そして、一つ一つの習い事や資格には、丁寧な解説が書かれていたのです。
どんな勉強が必要なのか、
資格取得のための条件は何か、
資格取得の制度はどんな内容か、
資格を取ったらどんな仕事ができるのか、
資格を取ったらどのくらいの収入が望めるのか、
資格を取るために必要な費用はどのくらいか、

こんな内容が書かれていて、項目の最後には、ご丁寧に資格を取るための学校の案内まで掲載されていたのです。

この雑誌を見つけたその日から、雑誌の隅から隅まで、実際に穴が開くのではないかというほどに、目を通し続けました。私の条件でも取得できる資格、その資格を手段にして目的が叶えられる資格、これだけを材料に探しました。どんな仕事をしてみたいか、私に向いてる仕事は何か、そんな視点は全くありません。
そして、私の条件に合致する資格を、たった一つだけ見つけることができたのです。
数十種類もある資格がありながら、たった一つだけでした。
それが、「税理士」という資格です。

税理士資格取得のための試験は、「日商簿記検定1級」さえ取得していれば、誰もが受けられる試験です。「日商簿記検定」には、受験資格は全くありません。
しかも、税理士試験は、一度に全ての科目に合格する必要はなく、1科目ずつ受験することもできるというのです(一定のルールがありながら、5科目合格する必要あり)。
晴れて税理士になれた暁には、独立開業して1人で仕事をすることができます。独立税理士の年収は、最低でも1000万円以上を望めるとのことです。
唯一「実務経験2年必要」という内容だけは、ちょっと気になるところではありましたが、その条件は見えないようにすることにしました。
そうすると、どうでしょうか。
揃い過ぎるほど揃っている私の悪条件があっても、税理士資格取得は可能なようです。
できるかできないかの判断に、「難しい」とか「難関」とか「自分の能力」は全く考えませんでした。ただでさえ悪い条件が揃っていているのですから、そんなことを判断の材料に持ってきてしまっては、何もできなくなってしまいます。
資格取得が出来たら、自宅で一人でもベッドの中から寝たきりでもお仕事ができる、お仕事しながら子どもの帰りを待つことができる、収入もしっかり確保できそう、そうしたら、子どもに経済的な不自由を掛けることもない。私の目的「子どもと笑顔で生活する」が実現しそうです。この時は、もう実現する、と思い込んできました。
Hちゃんに税理士になることを宣言すると、Hちゃんも目標の資格を探したところのようでした。この雑誌は丁寧で、資格取得のための学校の案内まで掲載されていましたので、早速その日のうちに資料請求をお願いしました。
翌日には届いた資料の中で、簿記3級の講座が3日後には迫っていることを知りました。もう、迷っている時間はありません。すぐに電話で申し込みをして、簿記の勉強がスタートすることとなりました。

(つづく...)

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