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20240121 イラストエッセイ「ぼくの住んでいる漁村」その1

 わが集落は、新潟県胎内市M浜といいます。
 移り住んで30年以上になります。
 200戸ほどが日本海の強風に耐えるべく、肩を寄せ合って暮らしています。
 それでも当時は小学校があったんですよ。一学年十人に満たない小さな小学校で、長女は6年、次女はここに5年間通いました。(最後の年は統合した別の小学校で過ごしましたけど。)
 漁師の集落だから、おじいちゃんたちは入れ墨なんかがあって、ものすごい迫力でした。笑 
 木造の船を、櫂で漕ぎ出してね、漁に出たものです。
 それで、昔の漁師の家がまだたくさん残っていますけど、空き家が目立つようになりました。

 これは漁師さんの家で、ぼくがゴミステーションに通う道の途中にあります。
 昔はアヒルを放し飼いにしていました。笑
 お子さんが独立し、お父さんが亡くなって、今はお母さんが一人で住んでいます。
 ぼくは近所の子供たちに「大きい人」って呼ばれています。
 それで、ぼくを見ると「あっ!大きい人だ!こんにちわー!」って声をかけてくれます。
 (ぼくは身長180センチ、体重90キロあるのです。)
 まるでポケモンを見つけたように嬉しいみたい。

 その漁師さんの家を通り過ぎると、もう一軒、これも漁師さんの家があります。
 わが集落には海に並行して走る道が4本ぐらいあって、そこに間口二間から三間の細長い家が並んでいます。
 ちょっと京都の町家みたい。もちろん、日本海の強風を避けるためです。うちはそのメインストリート 笑 沿いにあるのですけれど、その道の北の外れにこの家があります。
 今は、おじさんが一人で住んでおられます。この先はずっと煙草畑。
 建物は地盤沈下していて、道路より下にあります。砂地なので家の重さで沈んだのだと思われます。
 砂の上に家を建てる愚か者という話が聖書にありますけど、新潟県の場合は実は砂の上が一番地盤が良いのです。
 新潟地震でも、砂地の土地は液状化しませんでした。というのも、新潟は昔ほとんどが潟(海)で、それを埋め立てたのが現在の姿。砂地の土地は海だった時には島のように陸地だったんですね。
 わが集落、M浜もおそらく中世、千年ほども昔から人が居住していたと思われます。
 千年ですよ、千年! 胎内市には古墳時代の古墳や、縄文時代の遺跡もありますから、数万年前から人が住んでいた可能性もありますね。
 そんなことを考えながら、今日もゴミステーションに向かいます。

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