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政治講座ⅴ1717「中国高速鉄道の収益性」

 社会主義・共産主義はそろばん勘定を知らないのかな?
不動産バブル崩壊を見ていると需要と供給から過剰建築であることはわかりそうなものである。そして、収入や利益の概念に乏しいとしか思えない。そして、返済の当てがない過剰借入をどうするつもりであろうか。まったくもっていい加減である。これが中国の国家財政の姿とは信じられないが、本当の事である。10年まえからゴーストタウン(鬼城マンション)が噂になっていたが、やはり、企業破綻となった。収益性の無い設備投資でGDPを上げても残るは借財だけである。
今回は国営企業(中国高速鉄道)の赤字の垂れ流し状態であることも見えてきた。赤字路線、それでも新規路線の延長のインフラ設備をするようである。収益性の無いインフラ設備投資はヘリコプターで金をばらまくようなものである。日本でも、そのような経済政策を検討された時期もあったが、通貨価値を毀損してスタグフレーションを招くだけである。今、中国経済は消費が伸びずにデフレ経済に陥っていると言われるが、融資平台や理財商品から派生する債務問題の解決の為に紙幣の増発すると日本の昔の「徳政令」のように、中国の今後は金融破綻によるスタグフレーション に陥ることが目に見えている。この事態は日本の国鉄の歩んだ赤字体質の国営企業と動揺である。国営企業の欠点は有益などの採算を計算することなく、政治判断のみで運営されることが破綻を招くのである。旧ソ連の経済破綻が良い例である。中国も同じ轍を踏んでいるのである。
今回は、不動産崩壊以外に発生している中国の高速鉄道事業の過剰債務、過剰設備に焦点を当てて、報道記事を紹介する。中国の場合は、出世欲の亡者の官僚体質がこの事態を作り出していることは否めない。

     皇紀2684年4月3日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国高速鉄道、見えぬ収益改善 延伸でも旅客需要鈍く

日経産業新聞

2023年1月29日 

中国の高速鉄道が膨張を続けている。同鉄道を独占運営する国有企業、中国国家鉄路集団は総延長を2023年に22年末比で約6%延ばす方針を示した。ただ従来から赤字路線が多いうえ、新型コロナウイルス禍で旅客需要も振るわない。22年1〜9月期は2兆円近い最終赤字に陥り、改善の見通しはなお立っていない。

中国国家鉄路集団 鉄道行政を手掛ける旧鉄道省が前身。2011年に浙江省温州市での車両脱線で40人が亡くなった事故を受け、安全管理や汚職への批判が高まった。中国政府は13年に同省を廃止し、鉄道事業を分離して中国鉄路総公司を設立した。19年に現在の社名に変更した。...

中国高速鉄道網は経済の時限爆弾か 需要不足で負債120兆円


September 12, 2022
By Yoshiaki Nishimi

空席が目立つ、北京と河北省張家口を結ぶ高速鉄道の列車内=7月14日、北京北駅(共同)~~

中国の経済発展の勢いを象徴していた〝中国版新幹線〟の高速鉄道網が、中国経済の時限爆弾となるかもしれない。

採算性を無視した路線拡大により、高速鉄道を運営する国有企業、中国国家鉄路集団の負債総額は約120兆円に上る。巨額債務で経営危機に陥った中国不動産大手「中国恒大集団」が抱える負債の3倍近い規模だ。専門家は鉄路集団の巨額負債が重大な金融リスクになるとして、警鐘を鳴らしている。

今年2月に開催された北京冬季五輪では、北京市中心部と同市郊外の延慶区、河北省張家口市崇礼の3会場を結ぶ高速鉄道が整備された。自動運転システムを採用し、最高時速は350キロ。約180キロの距離を50分で結ぶ。総投資額は580億元(約1兆1600億円)を超える。
しかし共同通信が7月中旬に報じたところでは、需要不足のため1日1往復だけの運行となっているという。筆者が高速鉄道の予約サイトで確認したところ、7月下旬から8月上旬にかけては1日5往復が運行されていた。夏の観光シーズンに合わせて増便したのかもしれない。ただそれでも、日本のローカル線より低密度なダイヤだ。しかもほとんどの便でチケットに余裕があった。

すでに五輪開催時に、需要不足の兆しは感じられた。当時は1日十数往復が運行されたが、筆者が利用した際は1両に乗客が数人で、ときには1人ということもあった。コロナ対策のため車両の連結部分を封鎖し、五輪関係者と一般客の接触を厳格に遮断していたが、一般客の姿はほとんど見当たらなかった。

総延長は日本の新幹線の10倍超

中国の高速鉄道は世界トップの総延長4万キロ超を誇る。1999年に河北省と遼寧省を結ぶ路線が着工して以降の20年余りで、日本の新幹線の総延長(約3300キロ)を10倍以上上回るまでに拡大した。
 特に2008年のリーマンショック以降は、輸出が低迷し生産過剰となった鉄鋼やセメントを消費するために高速鉄道の路線延伸が加速された。北京と上海・広州を結ぶ〝ドル箱路線〟に刺激され、各地方当局が高速鉄道の誘致合戦を展開。雇用の創出や地方経済の活性化、沿線の不動産開発などを期待したためだが、官僚にとって地域の経済成長は自らの実績となるため、採算度外視の整備計画も少なくなかった。

北京と河北省張家口を結ぶ高速鉄道の列車前で記念撮影をする乗客ら=7月14日、北京北駅(共同)

北京交通大学の趙堅教授は19年、中国のニュースサイト「財新網」に「高速鉄道の『灰色のサイ』を防げ」と題した論評を発表。人々は高速鉄道の、世界に冠たる総延長やスピードばかりに目を向けがちだが、「債務と赤字も世界一」であることに注意を払うべきだと主張した。

灰色のサイとは市場において高い確率で大きな問題を引き起こすと考えられるにも関わらず、軽視されがちな潜在的リスクを指す。巨獣のサイは普段はおとなしいが、暴走を始めると誰も手を付けられない破壊力を持つことから、こうした比喩に使われる。

趙教授は中国の高速鉄道について、一部のドル箱路線以外は輸送能力が大量に遊休状態になっており、深刻な損失を生んでいると指摘する。新疆ウイグル自治区の区都ウルムチと甘粛省の省都蘭州を結ぶ区間(1786キロ)は一日160往復の輸送能力があるにも関わらず、実際は4往復しか運行されておらず「旅客収入だけでは電気代すら賄うことができない」。

趙教授の試算では、高速鉄道のすべての旅客収入を充てても負債の利息支払いが追いつかない状態だという。すでに19年の時点で、借金をして借金を返すという自転車操業になっていた可能性が高い。

稼ぎ頭の路線も低迷

しかも20年1月に新型コロナウイルスが湖北省武漢で感染拡大して以降は、高速鉄道の稼ぎ頭だった路線も収益が低迷。鉄路集団の20年の最終損益は555億元の赤字、21年も498億元の赤字となった。中国メディアによると、21年9月末時点で負債総額は5兆8400億元(約116兆円)に達している。

民間企業の恒大集団とは違い、国策企業である鉄路集団がデフォルト(債務不履行)の危機に陥ることはないだろう。鉄路集団の前身は鉄道行政を担っていた旧鉄道省だ。多くの人々は、最後は政府が巨額債務をなんとかするだろうと考えている。しかし、高速鉄道の建設に投資した地方当局もすでに多額の負債を抱えている。高速鉄道の巨額債務は最終的にインフレなどの「国家的な金融リスクを引き起こすかもしれない」(趙教授)のだ。
 さらに高速鉄道の野放図な拡大は、中国の交通システム全体を悪化させる恐れがある。高速鉄道は貨物輸送ができないため、高速鉄道の建設に偏ると貨物輸送の能力低下につながるからだ。しかも鉄路集団は貨物輸送の価格を上げて高速鉄道の赤字を埋めようとしているため、鉄道による貨物輸送のコストが上昇。このため道路輸送を選択する企業が増加して大気汚染が悪化し、社会全体の物流コストも上昇しているという。

それでも延伸は続く

しかし中国当局は、高速鉄道の拡大方針に歯止めをかけるつもりはないようだ。鉄路集団は20年8月に公表した長期計画で、35年までに高速鉄道の総延長を約7万キロまで拡大する方針を示している。

さらに中国政府はコロナ禍で低迷する景気を下支えするため、鉄道建設などのインフラ投資に力を入れる方針だ。国務院(政府)は5月末、鉄路集団が鉄道建設のため新たに3000億元の債権を発行することを認めた。国務院は21年3月、高速鉄道の債務膨張を受けて新路線の建設条件を厳格化する通達を出しているが、これと矛盾した措置だ。債務抑制よりも景気浮揚を優先する姿勢を示したといえる。

中国の急速な高速鉄道網の拡大は、中国経済の勢いを体現していた。インフラ整備のスピード感を著しく欠く日本から見れば学ぶべき点も多いだろう。ただ中国政府が軽視してきた「灰色のサイ」の破壊力は、想像以上のダメージを中国経済にもたらすかもしれない。

筆者:西見由章(産経新聞編集委員、前中国総局長)

中国新幹線、2035年に総延長2倍 投資額70兆円か

アジアBiz

2020年8月13日 19:30 (2020年8月14日 5:14更新)

遼寧省大連市の駅に停車する中国版新幹線(6月)

【大連=渡辺伸】国有企業の中国国家鉄路集団は13日、同社が独占運営する中国版新幹線「高速鉄道」の総延長距離を2035年に約7万キロメートルへ延ばすと発表した。19年末の2倍だ。総投資額は少なくとも4兆5500億元(約70兆円)に達する見通し。経済対策を優先すれば、中国政府の財政を圧迫しかねない。

35年までに人口50万人以上の都市のすべてに高速鉄道を通す計画だ。総延長は現在の日本の新幹線の約21倍に達する。鉄路集団は声明で「(鉄道分野で)すでに世界トップクラス。資本をさらに拡充する」と説明した。

中国版新幹線の総延長は19年末時点で約3万5000キロメートル。すでに世界の同レベルの高速鉄道のなかで最長だとみられている。鉄路集団は従来、中国版新幹線の総延長を30年に4万5000キロメートルへ延ばす方針だった。

今回の延伸は中国政府による経済対策の色彩が濃いとみられる。鉄路集団の収益力が弱く、中国版新幹線の延伸による大型投資を回収するめどが立たないからだ。中国経済は新型コロナウイルスの影響で、4~6月期の実質成長率が前年同期比3.2%にとどまった。

鉄路集団の19年12月期は売上高が1兆1348億元、最終損益が25億元の黒字。売上高純利益率は0.2%にすぎない。中国版新幹線は現状でも東北部、西部など地方都市での採算が厳しい。1~3月期は新型コロナ抑制のための外出制限で打撃を受け、613億元の最終赤字に落ち込んだ

交通が専門の北京交通大の趙堅教授は、中国版新幹線を1キロメートル延伸するのに1億3000万元かかると指摘する。3万5000キロメートル延ばすには単純計算で4兆5500億元の投資が必要だ。鉄路集団の総資産は19年末で8兆3150億元だが、そのうち負債が5兆4859億元を占める。同年の中国の国内総生産(GDP)の5.5%にあたる大きな額だ。負債膨張は避けられそうにない。

鉄路集団は延伸工事の費用を調達するため社債を発行し、中央政府や地方政府も多額を引き受けるとみられる。将来、返済が滞る場合は、政府の財政を損ないかねない

習近平(シー・ジンピン)指導部にとって国有企業改革は大きな課題だ。実質は破綻しているのに政府や銀行の支援で存続する「ゾンビ企業」の処理に言及してきた。だが、中国政府は20年、鉄路集団に対し1000億元の資本注入を決めた。

中国版新幹線をはじめとする鉄道は、地方政府が競って誘致する。これも路線が延びる一因になっている。鉄道建設で雇用を創出し、関連産業も育てて景気を下支えする狙いだ。北京交通大の趙氏は「(地方政府の幹部は)任期中に(高い)経済成長を達成するため鉄道建設を利用する。(鉄路集団の)債務返済は気にとめない」と話す。

鉄路集団は中央政府の鉄道省(現・交通運輸省)の下部組織が独立した国有企業だ。高度成長と並行して全国に路線を張り巡らせ、ここ数年は年10~20%のペースで総延長を延ばしてきた。

中国の国有「鉄道会社」過去最悪の赤字額の深刻新型コロナ流行と旅客量の大幅減少が大打撃

財新 Biz&Tech  2021/05/19 15:00

2020年の国鉄集団の通期決算は過去最悪の赤字額だった(写真はイメージ)

中国の国有鉄道会社の中国国家鉄路集団(国鉄集団)は4月30日夜、2020年の通期決算を発表した。それによれば、総売上高は前年比8.1%減の1兆600億元(約17兆8610億円)で、純損益は2019年の25億7400万元(約434億円)の黒字から、2020年は555億600万元(約9353億円)の赤字に転落した。この赤字額は2013年の同社設立以降で最悪だ。

巨額の赤字となった主な原因は、新型コロナウイルスの大流行とそれに伴う旅客量の大幅減少だ。国鉄集団の旅客輸送人員は新型コロナの感染が拡大した2020年2月から急速に減少し、同月はのべ3674万人に落ち込んだ。同年3月以降、旅客輸送人員は前月比で増え始めるも、2020年通期では、のべ21億6600万人にとどまり、前年比39.4%減となった。

なお2020年の中国全土の鉄道貨物輸送量は、トラック輸送から鉄道輸送へのシフトを進める政府の「公転鉄政策」や国鉄集団自身が定めた、旅客不足を貨物で補う「以貨補客」などの対策により、前年比で4.1%増加し35億8000万トンとなったが、それでも旅客輸送と合わせた鉄道輸送全体の売上高減少の勢いを止めるには至らなかった。

21年1~3月期は売上高も回復

一方で同日に発表された、2021年1~3月期決算は、売上高が前年同期比19.6%増の2270億1700万元(約3兆8252億円)だった。2021年に入ってから、新型コロナの局所的流行の封じ込めと物流市場の回復で、国鉄集団の売上高も前年同期比で右肩上がりに転じた格好だ。純損益は408億1100万元(約6877億円)の赤字だったが、赤字額は前年同期に比べ33.15%縮小した。

なお、国鉄集団の四半期決算では1~3月期の純損益が例年赤字になっている。同社は公益輸送の役割を担っているため、運営コストは売上高をはるかに上回る。通常、1~3月期から7~9月期までは赤字経営で、年の最後の10~12月期に国から支給される公益輸送補助金で赤字を埋め合わせていた。

ただ現時点では、鉄道の旅客輸送人員は新型コロナ前のレベルに戻っていない。国鉄集団の公式サイトのデータによると、1~3月の旅客輸送人員は、のべ5億2900万人で、前年同期比40%増だったが、2019年の同時期と比較すると63%のレベルにとどまっている。(財新記者:白宇潔)

参考文献・参考資料

中国高速鉄道、見えぬ収益改善 延伸でも旅客需要鈍く - 日本経済新聞 (nikkei.com)

中国高速鉄道網は経済の時限爆弾か 需要不足で負債120兆円 | JAPAN Forward (japan-forward.com)

中国新幹線、2035年に総延長2倍 投資額70兆円か - 日本経済新聞 (nikkei.com)

中国の国有「鉄道会社」過去最悪の赤字額の深刻 新型コロナ流行と旅客量の大幅減少が大打撃 | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

スタグフレーション - Wikipedia

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