消防団を見れば町づくりの失敗がわかる。
至極簡単に言うと、消防団に入るメリットが明確にあるならば、地域おこしは難しくないということである。
誰か教えてほしい。消防団に入るメリットを。
試しにヤフー知恵袋を覗いてみると、そこには
「消防団はボランティアであり、メリットを求めるものではない」
「個人のメリットではなく、地域のメリットのために入るものだ」
「地域の役回りでメリットのあるものなんかない。それでもやらなければならない。地域で住みにくくなってもいいならお好きにどうぞ」
という意見。もはや屁理屈、脅し、恐怖政治。
じゃあ聞こう。
どうして新入団員のほとんどの目が死んでいるのか。
ボランティアとは進んでやるもののはずだ。だからこそ意味がある。しかし、新入団員の口から出てくる言葉は「無理やり入れられた」「仕方なく入った」「帰りたい」「眠たい」…ボランティア精神のかけらもない。完全にやらされ感で動いているではないか。
地域のメリットのため。それは素晴らしい意見だと思う。
確かに消防団がいれば火事や災害時のダメージが減るだろう。そういう意味でも消防団はなくてはならない存在である。しかし、それだけで個人が地域のために動く理由にはならない。その理論だけでどれだけの人が消防団に入りたいと思うだろうか。地域のメリットになるから入れ!は消防団に入るための理由にはならない。
地域で住みにくくなってもいいならお好きにどうぞ。
そんなことをしているから町から人が減っているのだ。だれも率先して消防団に入りたがらないのだ。そしてそんなことを言われて入れさせられた消防団員が、ここぞというときに地域を守るとは到底思えない。ぼくならそんな人に町を守って欲しくない。
町を持ったことがあるか
消防団に入る理由。この動機付けで最も正しいのは「地域のためになるから」だと思う。ただし、地域のために何かをしたいという意識が先にある前提での話だ。
そもそも「誰かのためになる」という理由で人が動くのは、その人のために何かをしたいという気持ちがあることが大前提だ。安倍晋三のためになる、という理由で動く人は、安倍晋三のために何かをしたいという人だけで、安倍晋三が嫌いな人、安倍晋三のために動きたいという理由がない人にとっては、それは行動を起こす理由にはなりえない。
そもそも地域に何かをしてもらった覚えがない、地域単位で動いているという意識がない。地域や校区とは読んでいるけれど、結局は個と個の繋がりで、地域の中で関わりの濃い人もいればそうでない人もいる。それをまとめて「地域のために」というのは無理がある。人が行動を起こすためにはボランティアでもなんでもいいが動機付けが必要なのである。
そしてこれは消防団だけに関わることではない。先程の回答で出ていたように、地域の役回りとして挙げられる、自治会長,町内会長,自主防災会,交通安全対策協議会など,どれをとっても個人としてのメリットよりも地域のためになるという理由でしか引き受けることができず、そして地域のために何かをしたいという気持ちが前提となる。
では、なぜ住民には地域のために何かをしたいという意識が芽生えないのか。簡単に言うと、地域を使って自分にプラスになることをしていなからです。
何度も言いますが、人が行動を移すには何かしらの理由があります。お金のため、経験のため、やりがいのため、楽しみのため、将来のため、好きな人、大事な人のため。主語はもちろん自分です。
このような言い方をするとなんとも論理的人間のようで嫌なのですが、家族というコミュティに感謝しているから家族のために何かをするんでしょ。お金を稼ぐ必要があるから仕事をするのでしょ。その人と一緒にいると楽しいから自分の時間を使うんでしょ。
地域に感謝することもなければ、地域のために働いてもお金にならない、地域で動いても楽しくない、なのに地域のために何かをしろ!地域の問題を解決しろ!というのは筋が通っていない。昔はそれでもよかったんだろうけど、今の世の中、そんな理屈でしのげるほど甘くないですよ。そんなことを言わない地域に引っ越します、さよなら。で終わりです。だって今は全国人取り合戦、移住者大歓迎の時代ですよ。魅力的な町はそこらじゅうにあります。
で、人がいなくなって困るのは誰か。もちろんそこに住み続ける人たちです。地域のために何かしろといった張本人です。
問題解決よりも前に、地域で動くことから始める
ぼくはだらだらと文句を垂れたいわけではありません。そんな時間は無駄以外の何物でもないです。ただ僕が言いたいのは、消防団に人を入れたいならば、町の役員にしたいならば、地域のために何かをして欲しいなら、まずは楽しいこと、地域住民にとってメリットがあること、感謝されること、やりがいがあること、経験になることから始めなければならないということだ。
僕らは町なんて一度も背負ったことないんだから、まずはその感覚を味わうことが先だ。そのために頭を使う。楽しいことをするのは決して楽なことではない。だけど、楽しい思いを経験するかどうかは、問題解決するための大きな一歩になる。
それができないならば、地域で動くメリット明示する。金でもいい、人でもいい、経験でも、やりがいでも、自己満足でもなんでもいい。人が何にメリットを感じるかはその人次第だから。それもなしに地域のために何かやってよ!はないだろう!と。
……結局ぼくは誰にこのメッセージを伝えたかったのか。
たぶん地域おこしという仕事をしている自分自身にだろう。
そして、地域のあり方を理解せず、地域の扱い方が下手くそな、全国の口だけ団体に対してだろう。