見出し画像

西日本新聞連載コラム「オコシゴト」①「育てるカフェ」作りました。

「消費する遊びより、生産する遊びがしたい」

これは東京から久留米へ帰ろうと思った理由の一つである。


カラオケ行ったり、ショッピングしたり、映画行ったり、飲み会したり。そのちょっとした楽しみのためにあくせくお金を稼いで、稼いだお金を消費して快楽を買う。

それはそれでもいいんだけど、なんだか飽きちゃったというか、正直もうそんなに楽しくなくなっちゃったんです。

お金を消費して遊びを買うよりも、遊びからお金を生産するほうが断然面白そうだ!

というのは、東京にいるころからずっとあって、ただそういう環境に身を置いていなかったから、頭の中にはあるけれどなかなか実現せずにいた。

機会があれば、タイミングが合えば、と後回しにして、いつかやれればいいなって思ってた。


で、ひょんなことから久留米に帰ってくることになり、そしてひょんなことから空き家をタダで手に入れた。

「消費する遊びより、生産する遊びをしようぜ!」

って高校の同級生に声をかけて、DIYを始めた。


けれど、生産する遊びは本気にならないと続かない。

楽しめない。

DIY熱も冷めて、空き家はほったらかし。

誰も寄り付かなくなっていた。

なんかしたいけど、腰が重い。

何したらいいかわかんない。

作業が全然進まない。

誰かやってくれるやろ。


で、またタイミング待ち。

そのまま一年が過ぎた。

でも、やっぱり遊びは本気じゃなきゃ面白くないし、本気じゃなきゃ続かない。

これまで目標もなく、なんとなく秘密基地でも作ろうか!みたいな雰囲気でやってたDIYを、

「3月にカフェをオープンする!」と決めて作業を再開した。


そして3月になった。

完成には遠く及ばない出来。

だけど、僕はオープンすることにした。

あと半年かけて完成させてもよかった。

未完成のものを披露することに不安もあったし、うまく行く保証もなかった。

けど、失うものもなかったし、この逆境を楽しむほうが面白いだろうなって思って、未完成のままにオープンさせることにした。

これが、育てるカフェの始まり。

余白を残すことで、僕ら以外のいろんな人が入り込む余地ができ、変化を楽しむことができる。

まだまだスタートを切ったばかりで、僕自身、これからこの場所がどんな空間になるのか、あまり想像がついていないけど、想像がつくことほどつまらないものはない。


ということで、時に任せることにした。

その時、その時の自分や周りの人、関わってくれる人と一緒に、その時の直観、楽しさ、ワクワク感に任せて、この場所を育てていきたいと思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?