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前向きに生きるデザイン

ソーシャルディスタンスという言葉が今やもう耳慣れて、特に違和感なく日常会話の中に溶け込んでいる。

2020年の終わり頃、コロナによって大半の仕事がなくなり、暇を持て余し、ネガティブな気持ちに押し潰されそうになっていた。しかし、このままでは何も前には進めない。何か手を動かさなければと思い、建築家・デザイナーとして、コロナによって変化している社会や空間に向き合ってみることにした。


今回は、そんなこんなでパブリック家具をデザインすることになった話を、プロセスやその時の気持ちを交えながら書いてみたいと思う。

暮らしを前向きにするデザイン


周りを見渡すと、様々な空間で、人と人の間にアクリルという名のバリアを設け、あれはダメ。これはダメと。ダメダメグラフィクがあちらこちらに貼られている。

コロナは嫌なやつだし、いなくなってくれたらみんながハッピーだ。でも過去には戻らない。嫌なやつも受け入れながら上手くやっていかなければいけない。それが社会というものだ。

であるならば、コロナやコロナによって変化した状況を否定や拒絶するのではなく、社会全体で受け入れ上手く付き合っていく。そして、これからの僕たちの暮らしを前向きにするデザインを提案出来ないかと考えた。

(もしかしたら、当時はデザインという作業を通して、コロナによって生まれたネガティブな気持ちを、晴らそうとしていたのかもしれない。)


現状と課題

日本国内においては第5波の真っ只中で、収束の見通しは未だに立ってない。これから数年間は「日常と自粛の間」を行き来する生活が続いていくと想定しても大袈裟ではないと思う。

空間を仕事として扱う身としては、どうしてもソーシャルディスタンスが与える影響が気になってしまう。

公共空間においては、強制的に距離を保つ事が求められ、人と人の間に物理的、心理的バリアが生まれてしまった。

さらに、ソーシャルディスタンスへの対策は、従来の空間やそこに置かれていた家具では対応できていない。公共空間や施設においてはただ無駄なスペースを生んでいる状況だ。そして、様々な制約が書かれた張り紙が、空間全体にネガティブな印象まで与えている。 

2id_家具_201112-9 のコピー


パブリックファニチャーの提案

当然、従来の家具がデザインされた時には、コロナは存在しなかった。
ならば、コロナありきでデザインされた家具はどんなものになるのだろうか?

今のネガティブな空間や暮らしをポジティブなものに変化するパブリックファニチャーのデザインが出来ないだろうか?と考えた。


『ソーシャルディスタンスに機能を。 』 
『ソーシャルディスタンスに付加価値を。 』 


この二つのキーワードが浮かんできた。

ソーシャルディスタンスは必要なことだけど、ただ距離を取るだけでは、空間が無駄になってしまう。つまりソーシャルディスタンス = 無駄 という構図だ。
であるなば、その「無駄」に機能や付加価値を与えることができたら、ソーシャルディスタンスに違う目的が生まれる。ただの無駄から付加価値が加わった空間は、ポジティブなものに変換されていくのではないか。と考えた。

具体的には、公共空間に置くベンチシステムとしてデザインに落とし込んでいった。
新たな機能を加えることで「ディスタンス」を確保し、空間全体に付加価値を与えるソーシャルディスタンスベンチシステム ( sdbs  / social distance bench system)である。

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まずはベースパーツがベンチとして機能する。そしてそれらを繋げつつ、ディスアンスを確保するのがジョイントパーツである。ここに様々な機能/付加価値を加えた。


植栽が必要な空間にはプランターを設置する。
商業施設などではサイドテーブル、キャンペーンなどを掲示できるグラフィックレールとして使ってもいい。
空港や駅などでは充電ステーションやゴミ箱が必要だろう。
図書館などでは本棚もいいと思う。
子供が使う空間なら、遊具をデザインしても面白い。

こうして設置される場所に合わせたデザインが可能になっている。

parts のコピー


レイアウトもベンチとジョイントパーツの向きによって自由に組み替えられるようにした方が、汎用性があり、大小様々な空間に適用できるのではと考えた。

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ベンチ部分の素材についても、間伐材などを使用してみることで、地域性を持たせてみても、違いを出せるかもと思った。

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2021年7月現在、このパブリックファニチャーはまだ実現できていない。
(興味ある方はお声がけしてくれるとうれしいです。)

しかし、このデザインが生まれたプロセスを、個人的な背景を含めて残しておくことが、少しでも世の中に為になればいいなと思っている。

最後に。

ソーシャルディスタンスという新しい身体感覚は、社会的な繋がりを分断するものではなく、新たな価値を生むものになるべきではないかと思っている。

それをパブリックファニチャーのデザインを通して表現したかった。

この提案を通して、身体的にも心理的にも心地よく過ごせる公共空間がもっと増やしていきたい。そして、社会課題が新しい付加価値へと変換されることで、社会全体がより前向きに進むことを願っている。


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