第七の誤読

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アニメ『チェンソーマン』ちゃんと観る(2)

前回にひきつづき、MAPPA制作・中山竜監督による2022年のアニメ『チェンソーマン』を、あらためてちゃんと観てみようという記事です。 (前回記事はこちら。ただこれは基礎確認事項に集中しすぎていたし、ちょっとしかつめらしく書きすぎていた気もする。今回はもうすこしふみこんだ内容にできれば、とかんがえています) 今回は、全12話のなかでもとくに傑出した出来だとかんじた、8話「銃声」をふみこんでみてみようとおもう。絵コンテはこのあいだ『呪術廻戦』2期の監督もやっていた御所園翔太

    • アニメ『チェンソーマン』ちゃんと観る(1)

      1.はじめに MAPPA制作・中山竜監督によるテレビアニメ版『チェンソーマン』は、いまなお不幸な誤解にさらされている、とおもう。放送当時は原作と比較したルックの差異などから、「原作へのリスペクトが足りない」「作り手側の身勝手で原作が曲解されている」などと、ネットでとくに熱心な原作ファンからの批判が散見されたが、かんじんの映像演出についての具体的言及はあまり見受けられなかったと記憶する。大部分の批判はそれ以前の問題で、監督の発言を恣意的に切り取ったり、やれトランシーバーの使い

      • 後藤ひとりという光――『ぼっち・ざ・ろっく!』をただ観るだけ

        1.音楽みたいなアニメとしての アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』は音楽のようにすばらしい。劇中曲などの音楽がいいというだけではなくて(劇中曲ももちろんいいのだけれど)、アニメそのものが音楽みたいだとおもう。物語の内容を解釈するおもしろさではなくて、多彩な音色のアニメーション表現だとか、映像的なリズムの気持ちよさだとか、演出レベルでの構成の妙を、ひとつの連続的な時間の流れのなかで味わっていくのがおもしろい。ひとつの挿話はひとつの楽曲のように「聴ける」し、そのなかには好きなフレー

      アニメ『チェンソーマン』ちゃんと観る(2)