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ドラマ「しずかちゃんとパパ」KYが問題をシンプルに解決するね。KYいい!

  始めはそんなに期待していなかった。音のない世界で生きてる父親とその娘の話。なんとなく先が読める。
 そこにとてもハンサムな空気読めない系の不動産会社営業マンが登場する。その男、道永圭一はしずかちゃんの住むさびれた商店街の再開発を進めるために派遣された。町はこぞって再開発反対。しずかちゃんもパパももちろん例外ではない。
 
 
  物語の登場人物のバックグラウンドは豊富だ。パパが憧れている小学校の先生はバツイチで自信がない。パパの姉は手話が出来ない。しずかちゃんは、子どもの頃から素直が故に同性からウザいと言われるコンプレックスがある。先輩の女性は反対の性格で自己嫌悪から意地悪をしてしまう。兄貴みたいな男は、いい奴なのに女性にもてない。それぞれが不安やコンプレックスを抱えているのに、パパと発達障害っぽい圭一だけは、自分のありのままの姿で、ぐいぐいとみんなの中に入っていく。
 

  それは、人が常識と思っていることの不自由さに気づかせてくれる。素の心で考えてみれば、思い悩んでいることが、すんなりと解決されたりする。それは、しずかちゃんのコンプレックスを解放し、パパの面倒を見なければというかたくなな常識は、自分の弱さや自信のなさが作ったものだったと気づく。パパは自立したがっていたのに。最終回のいつもしずかちゃんの手話通訳無しではパパと会話が出来なかった町の人が、まるでジェスチャーゲームみたいに、みんなでパパの言っていることを理解するところは、つい笑ってしまうが感動する。
  

  しかし、このドラマのもう一つのすごいところは、役者さんがみんな自然な演技で、聾唖の人を演じ切った笑福亭鶴瓶、本当の親子のようだった吉岡里帆、KYな青年になりきっていた中島裕翔がこの物語の柱として屋体を支えていると思った。彼らの演技がリアルでとても好感が持てた。

 
 シナリオもいいのだと思うが、ややもすると社会問題をはらんだ真面目なドラマになったり、ふんわりしたホームドラマになったりしそうだが、演出と役者さんの熱のこもった演技と、セリフが観ているこちら側の「問い」に迫るすてきなセリフが多かったと思う。
私は、毎回、圭一が投げかけるセリフを聞き逃さないように集中した。
セリフは脚本家が作るもの。どんな人が書いたのだろうと思ったら、
蛭田直美さん。この方の「これは経費で落ちません」もおもしろかった。


  私もこんなおもしろいシナリオが書けるようになりたいなあ。キャストの個性がうまく反映されていたと思う。キャスティングは大事だ。シナリオが良くても、キャスティングが納得いかないと観ている方は感情移入できない。
 

 ドラマ好きな夫も、納得の「しずかちゃんとパパ」だった。「おまえも、こんなシナリオを書けるようにならんと」と励まされてしまった。
よーし頑張るぞ!
と言ってすぐに出来るものじゃないけど、目標の旗を立てて、その方向に進んでいくことは大切だ。私のシナリオで、いつかドラマが出来るようにこつこつ進もう。



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