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校長先生、大変。

ご昇進、おめでたい?

 知り合いに、長年教職についていらっしゃっる方がいます。私よりかなり年上ですが、仕事(その頃はお互い教職ではなかったですが)で知り合った後、私が転職しても仕事で色々あった時も、何かと気にかけてくださいました。もう何年もお会いしていませんが、LINEは時々来ます。
 その方が、この春校長先生になりました。教頭の期間が少し長かったので、ご本人もそのまま定年までいくつもりだったようですが。まして、昨年度の学校には昨年度はじめに赴任したばかり。一年で管理職異動って、単純に考えてあり得ないのかと思っていたのですが、実は時々あるようです。ご本人はノーマークだったようで、校長昇進が決まった異動の日、随分驚いたとLINEがきました。
 校長先生ですからね。おめでとうございますとお祝い申し上げました。学校の管理職のことなどよく分からないのですが、校長先生が偉いってことぐらいは、私も知っています。いや〜、めでたいめでたい。
 ところが、ご本人からその後来るライン、私は返事に困りました。

管理職の地位の差<地域の差

 中間管理職って大変そうですよね。それは、教師の世界でも同じ。ですから、校長になってしまえば万事良くなるもんだと思っていました。実際、校長先生ってドンと構えるのが仕事ってイメージ。教頭先生は学校で一番忙しいけれど、校長先生は一番早く帰るよね……なんて思っていました。
 ところが、この新校長はなかなか今ご苦労なさっているようです。曰く、田舎の学校は、どんな地域かということと、学校の規模がポイント。どんなに大変な地域でも、小規模(各学年1クラス以下)なら、子どもや保護者もなんとかなるし、教員の働き方も融通がきくらしく。ところが、学校が少し大きくなると、一気に大変になるそうです。手が回りきらなくなるのでしょうか。田舎ですから、大きいといっても、せいぜいひと学年3クラス程度でしょうか。中規模って感じですね。
 この校長先生が赴任したある町自体は、実は去年あることでちょっとプラスイメージで有名になったことがある町でした。ですが、確かに県内では何か特別良いイメージはない町です。そして、教育界ではあまり評判がよろしくなかった地域らしく。そんな地域差があるんだと、少し驚きますが、新校長の勤務の感じを聞くと、なるほどと思わされます。
 この4月、始業式までに一週間ありましたね。その間、まだ授業が始まっていないのに、休めたのは日曜日だけ。土曜日は休日出勤、平日も帰宅は9時を過ぎたそうです。わお。教員、しかも管理職ですから、当然残業代なんてものはありません。また、詳しくは言えない(もちろん)としながらも、前校長からの引き継ぎは「すごく大変」だったそうです。※新校長の感想です。
 前任校は、確かに「穏やか」なイメージのある市町村の、小規模校でした。それでも、中間管理職教頭先生ならそこそこの大変さはあったような気がしますが、ご本人曰く「前任校でのんびり定年した方がよかった」らしいです。果ては、なかなか昇進できず(おそらく何人もの後輩に追い抜かれた)、その挙句こんな困難校(というらしい)をいきなり新任校長でと、県教委に対する恨み節まで。この田舎の教育界で、巷で噂の「教員の働き方改革」などというものはお題目でしかなく、取り組みが始まってから特に管理職はかえって大変になったのだそう。

励ますしかない。

 一番難しいやつです。がむしゃらに「ガンバッテクダサイ」とも「アナタナラデキマス」とも、絶対に言えないやつ。私はどう返事をしたもんかと、毎度知恵を絞っています。
 それでも、励ますしかないのでございます。恩のある方ですから、愚痴くらいいくらでもお聞きします。ただ、少々働き過ぎでお体が心配ですが。最近LINEの返事はそればっかりになってしまっています。

はぁ、組織。

 以前にも書きましたが、仕事を調整する前は私も長時間労働の組織で働いていました。それに適材適所とは言い難い仕事をあてがわれ、人間関係もよろしくなく体調を崩して今に至ります。こういうのは、昇進していけば変わる、自分が下っ端だからだと思っていましたが、管理職でもやはり大変は大変。しかも、この新校長は、もともと授業をしたくて教員になった方です。小規模の教頭では授業を持っていましたが、校長になると小規模でもそれはないのだそうです。人事配置と教員免許の関係があるらしいのです。そういえば、東京かどこかの学校で、教員経験のない一般人を校長にいきなり据えたところがありましたよね。あれは特別措置だったのか、校長先生に教員免許はいらないのか、よくわかりません。なんだか、管理職でも「やりたい仕事、やっていくはずだった仕事ができない」なんてことがあるのだと思うと、もう大きな組織で仕事をしていくのが嫌になりそうです。少なくとも、私には合っていないなと思わされます、ガシガシの組織でのガシガシの仕事。

 今回は、あまりポジティブな内容ではなかったのですが、この4月から(校長でなくとも)ご昇進された方のご苦労が多少はあると思います。ご昇進の皆様、何はともあれおめでたいです。実力が評価されたということですから。どうかお体にだけは気をつけて、とお伝えしたく思います。
 ただでさえ「ブラック」だと言われる教職の働き方にも問題あるとは思いますが、手放しで昇進を喜べない教育界、凄まじい。うちの県だけなのかしら。
 何はともあれ、今はただ新体制でのバタバタが大変なだけで、生活がリズムに乗ればもう少し落ち着いた生活になり、余裕を持って下さるよう願ってやみません。

 長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。


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