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給湯室から会社を変える

最近、本当に建築士であることを忘れられそうなので、今日はちょっと建築に絡んだことを書こうと思います。

少し前になりますが、メディアにも数多く取り上げられるようなユニークな経営手腕で知られ「世界の大企業と直接取引する日本の町工場」的な存在のとある中小企業の社長(現在は会長)とお話させていただく機会がありました。

そうそう、この方とお食事をご一緒させていただいた際に、私の話を聞いて「本を書きなさい」って言われたのですよね。
それはさておき、その会社の給湯室改革のお話は有名で、この話は私も事務所の設計をするときにいつも気にしています。

給湯室って会社とは関係ない独自のルールが生まれることがある場所です。
その場所においての声の大きな人のルールになってしまい、この場所独自のヒエラルキーが生まれるという、小さいけれど厄介なことになりかねない場所です。

ある企業の設計をしたとき、その企業でも給湯室のあり方についてはやはり問題意識をもっておられ「コーヒーマシンを執務スペースに設置するだけよいので給湯室をなくせないだろうか」とのご相談がありました。しかしコーヒーマシンに入れる水を用意したり、マシンや布巾を洗ったり、マイカップを置いたりするスペースは必要です。冷蔵庫やレンジ、ゴミ箱を置くスペースも必要です。新しいオフィスでそれらが執務スペースから丸見えの状態はあまり好ましくない気がします。

そこで、個別の部屋ではなく執務空間に給湯コーナーを提案しました。
中の様子は見えるけれど雑多なものは見えない、家庭のカウンター式キッチンの様な感じです。役員フロアや応接室用の給湯室も閉ざされていない空間にしました。結果おおむね好評で、目につくためキレイに保たれているようです。

知り合いの事務所ではフリースペースの中にオープンキッチンを設置してカフェのようなインテリアにしているところがあり、日頃の打合せ以外に、社員同士のコミュニケーションスペースや社内外のパーティにも利用するなんて使い方をしているところがありました。

段々と日の目を見るようになってきたこの給湯室という空間は、様々な会社で色々工夫された事例がありますので、ネットで検索してみると楽しいと思います。新社屋をリノベーションしたり新築したりする際はぜひこの給湯室にも目を向けていただいたらと思います。
小さい空間だけれど会社の雰囲気を変える場所になるかもしれません。

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