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美術教育と美術の授業でdigitalを使うということ

 学校で学ぶ5教科にくらべ、美術の授業はanalogの世界の勉強である側面が強いです。
 本物を目で見て聞いて触って(input)、outputをanalogで行う。
 それは、人間がこれまでずーっと行ってきたことだし、今でもとても生きてるなかで大事なことです。だから、美術の教師はoutputをanalogで行う五感を重視した授業を誇りを持って実施していると思うのです。

 digital環境を使ってコミュニケーションをとり遠隔で商品を開発しよう、とか、参考作品を検索して見てみようと、情報だったりコニュミケーションツールとしてdesign領域として導入されることは多いです。しかし、制作上・表現上の理解を促進するツールとしてのdigital環境は美術教育の中であまり議論されていません。
 一方で、virtual表現として美術の教科書でも扱われたりします。しかし、デザイン、漫画、動画、アニメーションにしても高価な機器を必要とするため、美術室でこれらを扱うことは容易ではありません。
 これまで美術教育がanalog信仰に傾かざるを得ない環境であることは仕方のないことでした。

 ここまでまとめると、
1,美術教育ではIT機器がコミュニケーションツールとしてばかり使われる。
2,表現方法の一つとして認められるスペックの機器は高価すぎるため、一人一台IT機器が授業で使えない。
3,analog信仰
 これらが現在の美術教育において大体の問題になっているとかんがえることができます。

 これらの美術教育における不十分なdigital環境の問題とともに、「analogな領域をdigitalでより楽にそれらは習得できることがあるだろうか?」「digitalを使うんだけどanalogをより短時間に、よりスムーズに習得・理解できるのではないだろか、、、、」こういった疑問が私の中にありました。つまり、analog作業の理解をdigitalを使って推進する工夫です。
 「美術なんだから、もっと大事なことあるでしょう、digitalばかりの生活のなかで、粘土や絵具こそ大事でしょう?」と諸先輩達の声が聞こえてきます。でも、技法を習得するには膨大な知識と鍛錬が必要であることも確かなのです。この部分が障害となって美術に苦手意識を持つ人がいるのも現実です。
 私たち美術教育に携わる人間は、より多くの人のこれからの一生を、少しでもゆたかに過ごしてもらう大事な仕事をしているので、そのために小さな障害をひとつひとつ工夫することは、決して美術教育の本意からずれていないと考えるのです。

 現在私は私立の中学校と高等学校で美術の授業を受け持っています。既存の美術の課題をiPadを使い、より容易に学ぶべきことがらを習得できないだろうか、美術教育の持つ特性はdigital機器を用いても損なわれることはないどころかより鮮明にすることができるのではないかという教師としての試みです。
 「手を使ってものを作ること」「自分の世界がどんどんひろがっていく」ことなど、これまでの課題は依然とまったく変わりません。その中でよりストレスなく目的にたどり着いて欲しい、少ない美術の時間を有意義に使い、analogな大事なことを考える時間を確保したい、そんな思いで小技を導入し、記録しようと思っています。

 先にも書きましたが、美術教育で大事なことは絶対に曲げることなく、美術教育・技法の知識に十分に配慮した上でのdigital小技です。そのため、派手な使い方は少なく非常に地味ですw
 変わらず粘土を練ったり、デッサンをしたり絵具をといて、手を動かします。ほら、なんていうか、Appleって元々アナログ操作やアナログ思考のための機械みたいなところあるじゃないですか。あそこの階層にこのファイルがあって、と言ったことではなくて感覚の助けをしてくれる機械!みたいなイメージなんです。

 今流行りなことはしませんが、ちょっと教師も生徒も楽に表現の世界に近づけたらなと思ってこちらに記録していきます。
 うまく言葉にできたらいいなと、思います。よろしくお願いします。 



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