見出し画像

新しい旅のカタチ「VFR」とは?│「再会の旅」訪問レポ!

みなさん、こんにちは!
ツナガル広報の藤田です。

突然ですがみなさんは、誰かに会うことを目的とした旅をしたことはありますか?

「Visiting Friends and Relatives (VFR)」とは友達や親族に会うことを目的とした旅のことで、実は「観光」や「ビジネス」と並んで、旅の三大目的のひとつと言われています。

今回の記事では、台湾と北海道の人々と実施した「再会の旅」の訪問レポを通じて、ツナガルで体験できるVFRの旅を楽しんでもらえたらと思います!


VFR=「人」に会うことが目的の旅

見知らぬ土地への旅、そこで味わう初めての体験。

「どこに行ったらいいんだろう?」
「知らない土地で楽しい体験ができるかな?」

など、少し緊張してしまったり、興味があってもなかなか最初の一歩に踏み切れなかったりすることもあるかもしれません。

でも、もしその土地を案内してくれる知り合いがいたら、心理的な距離がぐっと縮まりませんか?

その地に暮らす人から、「知られざるオススメ」を案内してもらえたり、一緒にその土地を散策したり。

今回の「再会の旅」ツアーでは、そんな「会いに行く人」をツナガルがプロデュースしています。

それでは、台湾と北海道をつなぐ「再会の旅」の体験レポをお楽しみください!

再会の旅ってなに?

「再会の旅」とは、北海道の地域に住む「人」と「生活」をテーマにした文化交流体験プログラム

北海道の一次産業の生産者などにガイドになってもらい、彼ら自身が携わる産業について案内してもらいます。

この旅のユニークなポイントは、オンラインでの「旅マエ」体験を通じた台湾と北海道の人々の出会いづくりから、現地を訪問しオフラインで「再会」するまでが一つのパッケージになっていること。

<「再会の旅」ツアーの流れ>
オンラインで出会い、「あの人に会いたい!」という動機をつくる
       ⇓
交流(連絡のやりとりなど)
       ⇓
現地を実際に訪問し、オフラインツアーでの「再会」

今年6月には台湾の人々と北海道の生産者がオンラインで交流を行い、ついに8月、北海道で「再会」を果たしました!

↓「旅マエ体験」の様子はこちら!

再会の旅のはじまり

8月18〜22日に実施したツアーでは、世界遺産の知床、農業が盛んな滝上、そして国立公園に指定され固有の自然を有する東川町の大雪山を巡りました。

↓行程はこちら

「現地の習慣をもっと体験したい!」
「有名な観光地以外の北海道を知りたい」
「普段目にすることがない、一次産業について理解を深めたい」

旅マエ体験を通じて、それぞれの期待を胸に北海道を訪れた台湾の参加者たち。

今回の「再会の旅」では、生産者の皆さんに「案内人」となってもらい、北海道の人や土地を深く知るアクティビティに参加してもらいました。

知床:五感で感じる自然との共生

知床で「再会」するのは、この場所で暮らしを営む台湾人のネイチャーガイド・藍屏芳さんと、鮭漁師・圓子 瑞樹さん。

藍さんとは、知床国立公園を散策しながら人間と野生動物との距離に関しての考え方や地域が抱える問題を学びました。

知床はヒグマの生息地であり、現在400~500頭のヒグマが暮らすと言われています。

藍さんによると、知床は「熊」の家。
人間が熊の家にお邪魔しているという考え方なのだそうです。

だから熊との適切な距離を保つために、食べ物を持ち込まない、餌をやらないなど、生態系を尊重し、野生動物との付き合い方を学ぶ必要がある、と参加者に伝えます。

園子さんとは、漁港や漁船を見学し、鮭をとる現場を見学。

さらに圓子水産の調理スペースで、魚捌き体験にチャレンジ!

捌いた魚を、刺身や炉端焼きにして、その場でいただきました。

スーパーマーケットで食材を買う時には見えづらい生産者の顔。
魚が海で水揚げされてから口に入るまでのプロセスを体感することで、生産者の思いやこだわりへの想像力を育みました。

持続的な「食消費」を考える酪農見学

滝上へ移動した一行は、ほっと心が温まるような井上牧場オーナー・井上秀幸さんと一緒に、北海道の美味しい牛乳を生む牛の世話を見学しました。

井上牧場では、牛を放し飼いにする「放牧酪農」という飼育法を採用しています。

効率重視の現代において、牛乳の収穫量が比較的少ない「放牧」を選ぶ酪農家は少なくなっています。
舎飼いのほうが人間にとって管理しやすく、牛乳の生産量や質を一定に保つことができるからです。

飼育法に放牧を選んだ理由を、井上さんはこう語ります。
「放牧酪農は牛・草・土・排泄物の循環で成り立つため、持続可能な土地利用ができる。牛も自由に行動できるので、ストレスの蓄積が少なくなるんです」

牛は、人間にとって長い歴史をもつ家畜動物。
より良い飼育方法を追求する上で、動物が健康で安全な状態で生活できる動物福祉の視点を参加者に提供しました。

和はっかの収穫体験

実は滝上は日本一のはっかの産地。
はっかの農業生産の実に95%を占めています。

北海道のはっか栽培には100年以上の歴史がある一方で、最近では安価な海外製などによって、和はっか栽培を行う農家が減少。

その中で、さばいでぃ農園の藤村利史(トシ)さんは、滝上町の希少な和はっか事情を知り、生産者になりました。

現在は、無農薬、無化成栽培で和はっかを心を込めて作り続けています。

そんなトシさんの畑にお邪魔して、作業のお手伝い。

20種類以上のはっかのにおいをかいだり、種類ごとにちがう特徴を観察したり。

蒸留所ではっかをオイルにするところも見学させてもらいました。

その後はみんなで和はっか、洋種のはっかのミント茶の飲み比べをしたり、滝上産のはっかを使ったアイスを食べて、生産しているところから食品にして口に入るまでのプロセスを体験してもらいました。

共同調理で文化交流

夜は、井上さんの娘さんがオーナーを務める「ふくらい屋」にて、滝上の地元住民と台湾人参加者合同で夕飯を作って交流会が開かれました!

台湾人参加者の中にシェフがおり、なんと台湾から香辛料をもってきたとのこと。
台湾の香辛料と井上牧場の牛肉をかけあわせた、台日合作料理ができあがりました。

なかには、トシさんが生産した和はっかで作ったミントソースを使用したメニューも。

言葉の壁があっても、ジェスチャーや簡単な英語・日本語をまじえながらのコミュニケーションで、台湾の旅行者と地域の人達は忘れられない夜を過ごしました。

東川:自分たちでもできる「持続的な森づくり」

一行は、滝上から移動し、東川町の大雪山国立公園へ。
荒井一洋さんが代表を務める大雪山自然学校のコンセプトは"Green to Brown"です。

「20年かけて育った木材で作った家具を30年使ったら、森は増えていく。
80年かけて育った木材で作った家具を10年しか使わなければ、どんどん森は減っていく。木(Green)がどんなプロセスで、自分たちの身の周りのもの(Brown)になるかのプロセスを知ることで、大切に使うようになるんです」と荒井さんは語ります。

薪割りから、自分で割った薪を自分の使いやすい食器などに加工するまでを体験をして、"Green to Brown"を体感し、「持続的な森づくり」について考えを巡らせました。

おわりに

旅を終えた参加者の感想です。

「事前にオンラインで出会う機会があったから、オフラインで会った時にガイドに興味を持てて、より深い体験ができた

「一般のツアーと違って、現地の住民と触れ合うことができるところが魅力。知り合った人から、その土地を案内してもらうことで、実際にどのような生活をしているかを見ることができてよかった

「地元の農家、漁師の生産者のプロとの交流を通じて、台湾と違う北海道の特徴を知ることができた。またこの人たちに会うようなツアーに参加したい

都市部に暮らす台湾の人々にとって、非日常を体験する初めて尽くしの旅となりました。

VFRの魅力の一つは、何度も会いに訪れる理由があり、リピート率が高いこと。

これは地域にとって持続的な観光収益をもたらすだけではなくて、何度も訪れることで、地域の事情を理解した上で、一般的なガイドブックにのらない場所に行ったり、地域に根差した食文化を知ったりといった、地域ならではのディープな魅力を感じられる利点があります。

今回の旅で、台湾人の参加者たちがたくさんの学びを得たのはもちろん、北海道側の人達にとっても、「自分たちにとって当たり前の日常が、相手に感動を与えられるものなのだ」といった気づきや、異文化交流の刺激を得られる機会となりました。

実際に会うことでより深まった、台湾と北海道のつながり。

ツナガルでは現在、台湾の人々が北海道の生産物を買えるようにする仕組みづくりや、再々会にむけてのツアーを企画準備中です。

「また会いたい」と互いが思える、「人」を基軸にした旅をツナガルはこれからもプロデュースしていきますので、ご期待ください!

この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?