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三重苦の障害を持つ風俗嬢が○務員になったレポ11 〜○務員を辞める決意〜


こんばんは。
多動OLと申します。

連載『三重苦の障害を持つ風俗嬢が○務員になったレポ』
11本目の投稿になります。

今回のテーマは「○務員を辞める決意」です。


 * * * * *


近い将来、私は○務員を辞めると決めました。

理由は、闘病と仕事の両立に疲れたからです。

これまで、闘病と仕事の両立のために出来る最大限の努力を尽くしてきました。
十分すぎるほど頑張りました。
もう限界です。
これ以上は頑張れません。

私は複数の障害や疾患を抱えています。

主なものは
・発達障害ADHD
・発達障害ASD
・睡眠障害
・うつ病
・聴覚情報処理障害
です。

これだけの重荷を抱えながら、たくさんの薬を飲みながら、今まで正規雇用の仕事をフルタイムでこなしてこられたことが奇跡と言えます。
本来であれば、これだけ障害や疾患が揃っていたら社会的救済の対象です。


また、○務員の業務や組織に適応するためには、素の自分を押し殺す必要があったことも大きな負担でした。
私は子供のころ、椅子にじっと座って集中することや、集団に協調することがとても苦手でした。
大人になり、表面的には「無難な社会人」として振舞うスキルを身につけましたが、根本的な特性は変わっていません。
○務員の仕事は、まさに本来の私が苦手とする「椅子にじっと座って集中すること」「集団に協調すること」が求められます。
社会に適合するために、本来の自分とはかけ離れた振る舞いを続ける過剰適応の日々は、心を削っていきました。


私の「○務員を辞める宣言」に周囲の反応は様々です。
「そういう生き方もいいね!」と応援してくれる人もいれば
「安定を捨てるのは危ういよ」と身を案じてくれる人もいます。


○務員を辞めるデメリットは、十分に理解しています。
私の場合、○務員を辞めるデメリットで特に大きなものが二つあります。


一つは破滅願望を抑えるブレーキを失うことです。
私は、生育環境や発達障害の影響から自尊感情が著しく低く、精神的な不安定さから「自分をめちゃくちゃにしたい」という破滅願望を抱えてきました。

全てを投げ出して失踪したい
売春しまくって自分の尊厳をぐちゃぐちゃにしたい
廃人になっても構わないから違法薬物に手を出したい

そういった願望を飼いならしながら暮らしています。

現在は、○務員である自覚から服務規律を守らねばならないと、破滅願望にブレーキをかけられていますが、このブレーキがなくなったら私はどうなるのか未知数です。
○務員の立場を手放すことは、破滅の道に繋がりかねません。


もう一つのデメリットは、セーフティーネットを失うことです。

私はあらゆる縁との繋がりが薄い人間です。

・親族と疎遠
・兄弟もいない
・パートナーもいない
・故郷を離れていて地域の縁もない

と天涯孤独に近い状態にあります。

そんな人間にとって、職場はセーフティーネットです。
大きな組織に勤めていることによって社会的信用が得られます。
職場に行けば、毎日誰かと話す機会があります。
孤独のあまり「人間との話し方を忘れてしまった」という事態は避けられます。
毎日通う職場があれば、万が一自宅で孤独死したときにも、職場の人が通報してくれて早期発見してもらえます。
何週間も発見されず遺体から腐敗臭を放つ、なんて事態を防げる可能は高いです。


○務員の立場を捨てるデメリットは、十分に承知しています。


でも私は思うんです。

○務員は安定がメリットというけれど、いつかの将来の安定のために、今を犠牲にしていいのかと。
未来の苦しみのリスクを多少下げるためだけに、今を苦しく生きるのは本末転倒ではないかと。

未来というのは今の続きです。
今の自分が感じることの連続が未来になります。
今を良く過ごすことが、良い未来に繋がると私は考えています。

それに、私たちはいずれ老いて労働社会から降ります。
どうせいつか降りるんだから、今降りたっていいじゃないですか。
昇っていく生き方もあるんだから、降りていく生き方があったっていい。


以上の考えから、私は近い将来○務員を辞めることを決めました。


かといって私は「○務員にならなかったら良かった」とは思いません。
○務員時代で得たものがたくさんあるからです。

日頃の業務を通じて、報連相の際には「まず結論から言う」習慣がつきました。
前例を非常に重んじる組織文化の影響から、過去を振り返ることの大切さを知りました。
巨大組織がどのように回っているのかを内部から見るのはとても興味深かったですし、社会の深い部分を見聞きして考えさせられたことも多くありました。
お決まりごとに雁字搦めの中でも、最善を尽くそうと奔走する職員らの姿に、人情がキラリと光って見えた日もありました。

本当に、貴重な人生経験を多くさせていただいたと思っています。
○務員になったことは後悔していません。

 * * * * *


連載『三重苦の障害を持つ風俗嬢が○務員になったレポ』は、これで完結です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。