ハーゲンダッツによる涎(よだれ)の実験

 恋人が目の前でハーゲンダッツを食べている。わたしの分はない。二週間も前に食べてしまったからだ。
 だけど彼はやさしいので、物欲しそうに見つめていると一口食べさせてくれる。今もそう、スプーンにすくってわたしの口元に差し出してくれた。

 大きく口を開けてスプーンを迎え入れる。ところが、もうちょっとで捕獲完了というところで突然スプーンが逃げていった。
 二回目のチャンスでは猛スピードで咥えにいったが失敗に終わり、三回目は彼の手ごとスプーンを掴んで無理やり食べようとしたけれどやはり寸前のところで逃げられてしまった。

 そんなことが四、五回も続くと、口の中は唾液でいっぱいになる。よくアニメなんかでキャラクターがだらだらと涎を垂らすシーンが出てくるけど、本当にあれくらい溜まる。
 そういった反射現象は特に珍しいことではないのだけれど、繰り返し行うことでここまで分泌量が増えるというのは新しい発見だった。
 これはたしかに、放っておいたら口の端からだらだらと垂れてしまう。

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ハーゲンダッツによる涎(よだれ)の実験

水流苑まち(つるぞの・まち)

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嘘つきは作家のはじまり

作家の日常、考えごと。 嘘や妄想も織り交ぜて、チラ裏にメモする感覚で軽く書いています。
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