目が悪いから平気

 恋人が買ったまま放置してあったレッグウォーマーのタグを切る。履き口のところだけかと思ったら、先の方と、あと真ん中あたりにもついている。
 調子よく切っていたら、刃先が当たって一部が毛羽立ってしまった。
「あっ」と思うけど、心は冷静なまま。
 平気、平気。だって、彼は目が悪いもの。
 安心した側から、「コンタクト」という心のささやきが聞こえてくる。

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