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夢の中の現実感と現実の中の現実感

 ガスコンロ用のゴムホースにIHヒーターを繋げてみた。無理やり差し込んだら動き始めたのだけど、すぐに発熱して煙が上がりはじめた。
 熱と電気が反応したら化学爆発が起こると、なぜかそんなことを思って、突然怖くなった。その場から離れようと、もつれる足で移動する。揺れる目の前の景色に、爆発に巻き込まれる自分のイメージが重なった。
 もしかしたら私はもうすでに死んでいるのではないか、という懐疑に襲われた。手足が痺れるように震えはじめる。
 必死でこれが現実であるという証を探した。すぐに、「これだけ強い現実感があるのだから、そんなはずはない」と思い直した。自分は今、たしかに現実の世界に生きているのだという確信があった。
 それなのに、目が覚めてしまった。起きてみたら夢だった。疑いようのない現実感を持っていたのに、すべて幻だった。

 夢の中で「これは夢だ」と気づくことがある。疑いさえすれば、夢と現実の区別がつくのだと思っていた。
 それなのに、今朝方見た夢の中で、私は自分の夢を見抜くことができなかった。夢かもしれない、ではなく、「もしかしたら自分はすでに死んでいるのではないか」という懐疑だったけれど、どちらも「目の前の世界は現実ではないのではないか」という意味を含んでいるのだから似たようなものだろう。
 現実感って、なんて不確かなものなんだろうって思った。手を触れることはできるけれど、それが実在するという証なんてどこにもない。すべては脳みそが私たちに見せている幻想なのかもしれない。
 ホログラム宇宙論とか、この世界は観測している一部だけが一時的に実体を持つ(誰も観測していない部分には何もない)とか、あと映画『インセプション』とか、そういう世界が身近に感じられた。
 これまでにもそういう感覚が出てくることはあったけれど、こんなにも強く感じたのは今日がはじめてだった。
 この感覚を、目の前の現実世界に重ねて生きていたい。リアリティと非リアリティとの間を、いつでも好きな時に行き来できるように。

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