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思い出のエロゲを語りたい①〜グリーングリーン〜

はじめに

こんにちは。みなさんは青春時代にハマった趣味はありますか?私の場合は大学生時代に友人の勧めでやってみた成人向けPCゲーム(以降:エロゲ)がそれになります。

「いやいや、エロゲっておまえ笑」と思うのでしょうが、いやこれがまた奥が深くて見事に沼にハマりました。どちらかと言えば私も当時は「成人向け恋愛ゲーム」というジャンルのゲームに抵抗があった方だったんですけどね・・・。

私がこの手のゲームにのめり込み始めた2000年代前半の当時は、いわゆる二次元が好き=キモいと思われていた時代で、本当にそれっぽい格好のオタクの人がグッズを持って秋葉原にいたのを見たことがあります。

私はそのような人たちのようになりたくないと思っていましたが、あの時は申し訳ありません!結局そっち側の人間になりました笑

これでも他者から見るとスポーツマンなイメージのほうが強い人間だったし、同じくスポーツマンの彼女がいました笑

確かに大人向け&人を選ぶジャンルとは言えるけれど、小説や漫画、音楽が大好きな人々と同じように、心の底から楽しむことができる趣味の一つだし、その界隈のファンとして楽しむ、というベクトルは同じだと思うので、気楽に読んでいただけると嬉しいです。

このテーマで書こうと思ったきっかけ

実は先日、学生時代の友人たちとのLINEグループでこの話題が出て、「当時はいろんなゲームをプレイして夢中になったよねー。あの作品は感動したよねー。あの絵描きの絵が好きだったなー」とみたいなことを言い合いました。すると、初めてその作品をプレイしてから20年も経っていることに気づいたんです。

時間が経つのは本当に早いなと驚いたし、ちょっと寂しさを感じました。だからこの機会に、当時私が感動し夢中になったキャラクターや声優が出演していた作品を思い出して、青春を振り返りたいと思って、文章を書くことにしました。noteはそういう場所ですからね。エロゲがテーマでもいいよね

今回は、私が夢中になった最初の作品である「グリーングリーン」について話したいと思います。(下記リンクはリメイク版で絵柄が変わっていますが、私がプレイしたのは2001年に発売された方です。プレイ自体は2002年とかだったかと)

グリーングリーンという作品について

ちょっとX(旧:Twitter)でキーワード検索すると、今でもツイートしている人がいるんですよね!びっくり。そして初めてプレイした作品です、という人の多いこと。私自身も初めてプレイした作品ということもあり、今でも印象に残っている作品です。

本作(本記事では主に初代タイトルのこと)はなんといってもストーリーを奏でるキャラクターたちがヒロイン・サブキャラ関係なく面白いこと、アニメ調のイラストということもあってさらに面白さが倍増した気がします。エロゲ童貞卒業がこの作品でよかったと今でも思います。

実はグリーングリーンというタイトルは、後継シリーズとして2や3がありますし、コンシューマ移植版(ヒロイン追加あり)だったり、さらにそれをPCに逆移植(18禁要素追加)するなど、シリーズとしては人気を博しました。

そして、グリーングリーンシリーズ全ての作品に共通するのが、ゲーム内の音楽にかなりこだわっているということです。ヒロインごとに専用のエンディング曲が用意されていたり、ボーカルアルバムやサウンドトラックが発売されるなど、milktubというユニットの音楽の素晴らしさ、またそれらの曲を歌ったNANA、佐藤ひろ美、YURIA、UR@N(AIRI)などのアーティストの歌唱力が最高でした。ワクワクする曲調のOPをまずは聞いてほしい!前奏のエレキギター(楽器詳しくないので間違ってたらすみません)の感じが最高なんです。歌っているのはNANAさん(正体不明なのですが、石田燿子さんとお友達らしいのですが、石田さんの公式サイトだったりなんだりで何故かNANAの情報が出てくるんですよねー?あるぇー?なんでだろうねー?わかんないなー?笑笑笑)

本作のあらすじとしては、田舎の男子校に夏の1ヶ月間の期間限定で女子が編入(次年度の共学化を見据えた試験編入)してきて、それからの日々のドタバタを描く作品となっています。普通であれば恋愛ゲームなんて友人キャラ(特に男キャラ)なんかはストーリー上のつなぎで会話に混ざることが多い印象ですが、本作(後継シリーズも)では、この青春時代のリビドー爆発テンションなおバカな友人たち(3バカたち)の絡みも抱腹絶倒もので、ギャグアニメをずっと見ているかのような気分になりました。

また、ヒロインのシナリオについても、普通の学園ものと見せかけておいて、ヒロインたちには様々な背景や事情があり、それがまたSF要素やファンタジー要素もあるところが注目ポイントでした。しかもその設定についても、そこがメインでゴリゴリくるというよりはアクセントとしてシナリオ内に構成されているので、良い意味でイレギュラーに感じさせないテキストもあの時代の作品としてはよくできていたのではないかと思います。

キャラデザは、本作のシリーズを通して担当された片倉真二さん(あの絵にハマりすぎて、コミケのブースで絵を描かれるところを拝見しに行ったこともあります)。そしてシナリオには、その後ゼロの使い魔でも人気を博し有名になったライターであるヤマグチノボルさんなどが参加されています。

本作が出た2000年代前半は、私の感覚ではまだまだギャルゲー黎明期ということもあり、知る人ぞ知る作品だったかもしれません。それでもファン界隈ではかなり人気が出ていた作品です。とはいえ、古い作品なので逆に今のギャルゲーマーさんたちには認知度が低いかもしれませんね。(2013年にクラウドファンディングを使ってリメイクされたので、それで知ったという方もいるかもしれません)

作品のテーマとキャラクターの位置付け

当時プレイした紳士同志たちならお分かりかと思いますが、この作品のテーマには一夏の青春というものがあります。どんなに酸っぱい思い出・苦い思い出でも、きっといつか、あの青春時代を笑って話せる日が来るのだろう・・・だからこそ、その一瞬を全力で生きろ!みたいなやつですね。

期間限定での編入ということもあり、日常シーンではギャグのシーンが多い反面、各ヒロインのルートに入ると、切ない別れやサヨナラについても表現されています。1ヶ月という短い期間でヒロインと結ばれても、一時的、もしくは永久にそれぞれの理由で離れなければならない等、青春時代ならではの苦い経験がこの作品のテーマとしてあります。「最低でも最高の夏」というキャッチフレーズがあったような気がしますがまさにそんな感じです。

そう、お分かりかと思いますが、この作品のテーマにある通り、完全なハッピーエンドはありません。長い目で見ればうまくおさまった感じのあるシナリオもありますが、青春時代の苦い経験というものを味わうことができる、そういった経験をして少年たちは大人になって行くんだろう、という我々も学生時代に経験したようなことが物語でも起きます。(まぁ我々が青春時代に体験した思い出にSFやファンタジーはありませんけどね笑)

というわけで、本作品のテーマの大枠をご紹介したところで、ヒロインの紹介やストーリーがどうテーマと絡み合うのか一緒に振り返ってみましょう。(リメイク版は買っていたのですが、まだ積んでいる状態です。当時を思い出したりネットに残っている情報から書き起こしているので、多少思い出補正や認識違いがあるかもしれないのでそこはご了承ください)

では、魅力的なメインヒロインたちをどうぞ!


千歳 みどり(ちとせ みどり)

引用元:https://nlab.itmedia.co.jp/games/wall/green2/index.html

パッケージとしてはメインヒロインのような扱いです。その他のキャラの位置付けや後述するシリーズ後継作品のメッセージ性とかもあるので人によっては捉え方が違うかもしれません。

彼女は他の女子たちと一緒に編入してきましたが、その正体は1000年後からきた未来人。たしか、退廃していく世界をどうにかしようと過去の先人たちからノウハウを学ぶためにやってきたとかそんな理由だったかもしれません。

主人公たちとは少女時代にも現代であっており(というかこの女子編入のタイミングで「小みどり」としてやってきます)、優しくしてもらったお兄ちゃん(主人公)に会いに少し大人に成長した状態で来たのです。

上記の理由があるため、会った初日から主人公への好感度が限界突破しているのが結構面白いキャラでした。イラストだと活発系に見えるかもですが、割と不思議ちゃんなところもありました。(たしか腐葉土食べようとしてた気がする笑)

未来人は現代人と体の作りが違うため、現代では長く生きられないという設定もあり、シナリオ上では主人公と結ばれた後、いったんは未来に帰ります。その後、大人になって教育実習生としてまた再会するエピローグがありましたが、どうしても先述の未来人設定のせいでハッピーエンドになるとは思えないほろ苦い終わり方でした。

普通であればこのエピローグで「大人になってまた再会できてよかったね」というのが一般的ではありますが、どうしたって主人公と同じ時代をこの先の何十年も一緒にいられない、というのは未来人という設定がある限り不可能であるというのも、振り返ってみて感じますね。

後継作品である2にも出てきますが、本作の主人公とは結ばれていない設定のようです。(2の主人公も未来人でそっちとある意味仲良くなるのか?未プレイかつ評判が悪い2の話はこれ以上しません笑)

エンディングテーマはYURIAさんが歌う「モノクローム」。私はみどりを最初にプレイしたのですが、この曲調や歌詞がみどりにあっていて、かつ、重すぎず軽すぎない感じの曲なので、みどりのエンドロールが流れて、思い出の写真の映像と一緒にこの曲がスーッと入ってくる心地よい読後感でした。


朽木 双葉(くちき ふたば)

引用元:https://nlab.itmedia.co.jp/games/wall/green2/futaba/640.html

王道ツンデレヒロイン。ちょっとガサツで言葉遣いも乱暴ですが、徐々に主人公に惹かれその気にさせようと奔走します。実は後継作品であるグリーングリーン3では、本作の主題歌にもあった「恋とキスの答えはどこにあるの?」の答えを示すような完結作として高い評価を得ていますが、そのキーパーソンの1人がこの双葉ちゃんです。(なので、ある意味シリーズ通してのメインヒロインは彼女であり、ファンからも人気の高いキャラです)

彼女の家は代々陰陽師系の家系であり、彼女自身も式神を使うことができます。なんやかんやあって主人公のことが気になり始めてから、式神を使って花を贈るシーンが何度か出てくるのですが、主人公に気づかれないように、花言葉に気持ちを込めて花を贈るっていうのが普段のツンツンしている態度と真逆でいじらしい、というのが彼女の魅力ですね。

その主人公はなんだこの花?と花言葉すらわからない何も気付かないヘタレ野郎で、そういったことも後のすれ違いに繋がったりして、おいおいこいつらどうするんだ?と目が話せないシナリオです。彼女のシナリオは今作の中で1番青春でしょうね。素直になれない気持ちとどんどん惹かれていく自分の気持ちに気づいて、なんとか主人公と結ばれたり喧嘩したり仲直りしたり。でも結局編入期間が終わってしまい一時的にお別れします。

帰り際のバスの窓から黄色い花(おそらく再会を匂わす花言葉のもの)を主人公に渡して、来年の共学化でまた会いに来るよ!というような流れの終わり方だったように思います。全体的に、ほわぁっとした温かさに包まれるようなシナリオ構成でした。1番青春として現実的なストーリー。

エンディングテーマは佐藤ひろ美さんが歌う「ラブレター」。アップテンポなガールズポップという感じで、まさに双葉の心境を表現した、思春期の素直になれない女の子を歌ういい曲です。グリーングリーンは曲が大人気ということで、カラオケ化計画が進み、ほぼ全ての曲がJOYSOUNDだったかで歌えるようになりました。友人たちと歌ったこともありましたね。


朽木 若葉(くちき わかば)

引用元:https://nlab.itmedia.co.jp/games/wall/green2/wakaba/640.html

双葉の妹。グリーングリーンのシリーズでは結構、兄弟や姉妹といったつながりの上で構成されるシナリオも他にありますが、若葉ちゃんは双葉の妹としてやってきます。もちろん彼女もただの妹ではありません。その正体は双葉が陰陽師の力で人間に具現化させたサボテンです。(今作の人外枠)

いつも本体のサボテンを持ち歩いています。また、彼女は普通の人間なら持っている感覚がわからないため、羞恥心なども当然持っていません。ストーリ序盤は女子に飢えた主人公の悪友(通称3バカ)のパンツ見せて!などにも馬鹿正直に応えていましたね。でも基本はめっちゃいい子です。

本作はヒロイン側から好意を寄せるような流れが多い(主人公がヘタレなのであまり自分から告白しないシナリオが多いせいかも)のですが、主人公が割りと好意をもっていたような(気にかけていたからかな)来まします。結局人間じゃないから主人公を好きになってはいけない的な思いを隠し持っていて、それでも結ばれた後は主人公のために生きようとします。

終盤で主人公が大怪我をしてしまい、それを自分の持っている力を全部使い助けます。主人公は命に別状はなく助かりましたが、若葉ちゃんは力が枯渇してしまい人間の形を保てず、サボテンに姿が戻り枯れてしまいます。やっぱりいい子!

多少なりともショックをうけるシナリオですが、エピローグでは枯れたサボテンの脇から新しい芽が出ているシーンがあり、もしかしたら?が期待できるようなシーンで終わりますが、このキャラも人外なので双葉がまた若葉ちゃんを形成できるまで何年かかるのか?形成できたところでそれは若葉ちゃんなのか?などなかなか前途多難な未来がエピローグの後に波乱として待っていそうではあります。

とはいえ、姉妹愛がお互いにあり、その後発売されたスピンオフ小説である、鐘の音スタンドバイミーを読んでさらに姉妹愛を感じられたキャラでもありました。基本的にいい子すぎるんですね。

エンディングテーマはYURIAさんが歌う「フルール」です。もとがサボテン(植物)である若葉ちゃんの心境をうまく表現している、これも神曲です。


美南 早苗(みなみ さなえ)

引用元:https://nlab.itmedia.co.jp/games/wall/green2/sanae/640.html

はい来ました。本作は日常シーンがポップなノリで爆笑する一方、ヒロインとのお別れシーンはライトなビターさを残すシナリオがほとんどなのですが、それをぶっ飛ばす勢いの激重ダークで一切救いのないシナリオ担当の早苗ちゃん。病弱なため体型が小さく細く、無口でおとなしい少女。本作の幸薄ロリっ子担当。もうこの設定だけでお察しできるレベルですよね。紳士同士賢者の皆さんなら。

早苗ちゃんはずっと小さい頃から重い病を患っており、余命いくばくもないと言われていましたが、無理を言って学園に通わせてもらうことに(両親も正直諦観していて、最後のお願いのようなモノだったはず)。

本来は学校になんか通えないのですが、本人曰く「ビタミン剤」を大量に持ち歩いてそれを服用することでなんとか学園に通えているという設定。当然体育の授業は見学ですしその境遇から勉強も遅れており、用務員のおじさんや主人公と一緒にこっそり勉強しているなど健気なところも日常シーンでみることができます。

編入してきた最初、あまり主人公やその友人達、当然同級生とも打ち解けるそぶりが全くなかったのですが、ストーリーが進むにつれ、怪我をした野良の子犬を主人公と一緒に世話したり、体育の見学中に主人公と話して仲良くなったり、今まで見たことがないという満点の星空を見に行こうと主人公と出かけたり(結局曇り空で見られなかったけど流れ星は見えた)するうちに主人公に心を開いていきます。(主人公からもらったたんぽぽを愛でるシーンのCGは最大の萌えポイントでもありました。あれ?主人公があげたんだっけ?うろ覚えですごめんなさい)

これはロリ属性なくても萌える

そのうち休日にデートしたり、なぜか私のブルマみたいですか?とか言いながら見せにきたり、私の裸みたいですか?という感じでどんどん主人公に好意を見せていきます。(好意以外も見せてるけど笑)

そうやって仲良くなって少したったある日、体調が良い日に先輩へ贈るものを探しに1人、校舎近くの森に入ったまま彼女は行方不明になります。なんとか主人公が探し出しましたが、穴に落ちており自力で這い上がれない状況でした。またそのせいで薬も飲めずかなり体調が悪化していました。

ただ、以前主人公に渡していたピルケースを彼がたまたま持っており、その薬を飲ませて助け出します。ですが思ったより体調は芳しくなく緊急入院し、そのまま編入期間が終わって女子達は学園から去ってしまいます。

入院中、体調が良くない状態ではあるけど、いろいろ主人公にここで事情を喋ります。そのうえで「私だって女の子なんです」と主人公に抱いてもらいます。(そこはね、18禁ゲームですからね。ただまぁオカズにはならない)

ここからが彼女のシナリオのやばい(褒め言葉)ところなんでちょっとだけ長めに紹介しますね。

早苗ちゃんは入院当初こそ元気にメールを送ってきていました(主人公はPHSを持っていましたが、使用料を払っていないので早苗ちゃんのメールを受信しかできず返信できない)。お見舞いに行きたいけど慮って行ってなかったのかヘタれてだだけなのかは忘れました。

ですがある日「アイタイ デス」と一言メールをもらった主人公は、何かを感じ意を決して病院に行きます。そこには痛々しいほどに点滴チューブと酸素マスクで早苗ちゃんがいました。早苗ちゃんはこれまでの楽しい日常の中で、死期が近いと分かっていても願ってしまったのです。生きたいのだと。先輩(主人公)ともっと一緒にいたいのだと。

次の日手術をすることになってしまっていましたが、成功確率の低い、しかも成功したところでたった数週間延命するだけの、手術を受けるくらいなら、と。最後のお願いを主人公にします。それは、いつか見れなかった満点の星空を一緒に見ることでした。

主人公はダメと分かっていてもなんとかしてやりたい一心だったのでしょう。身体中のチューブを抜いて(なんでや)、早苗ちゃんをおんぶして約束の星空を見に学校の方へ向かいます。その途中、今にも消え入りそうな声の早苗ちゃんとやりとりしているシーンは本作内屈指の号泣シーンでした。

現実だったらありえないけどね病院を連れ出すとか

早苗「あのね・・・言いたいこと、あるの」
主人公「なんだよ」

(これまでの思い出のシーンのイラストが表示される)

早苗「せん、ぱいに・・・、言いたかったけど、ずっと言えなかったこと、あるの・・・」
主人公「だから言えばいいだろ」

(これまでの思い出のシーンのイラストがが表示される)

早苗「あの、ね・・・」
主人公「うん・・・」
早苗「あ・・・ぁ、の・・・ね・・・」

プレイ動画などで復習しましたがだいたいこんな感じです(間違ってたらすみません)


ああああああああああああああ(泣)

そして、口元のアップのシーンに変わり、そこで何かを言いかけ、笑ったような口になった後、早苗ちゃんの手が力無くだらんとするアニメーションが入り、早苗ちゃんは主人公の背中で帰らぬ人となってしまいます(ああああああああああああ)。

それでも主人公は冷たくなった早苗ちゃんと満点の星空をみて、「早苗ちゃんが幸せになりますように」と流れ星にお願いをするんです。

そして、そのままエンドロールに入るわけですね。ここで、なんというか良い意味でプレイヤーが置いてきぼりにされます。え?え?終わっちゃったの?という感情を持つであろうプレイヤーに容赦なく突き刺さる、エンドロールの背景に流れる思い出のシーンたち。

唐突なお別れを飲み込めないプレイヤーをよそに楽しい思い出や最期のシーンの写真が映像として流れるわけです。これは立ち直れない。END曲の佐藤ひろ美さんが歌う「星空」の歌詞も「もう少し近くにいれば、もう少し早くに会えば、きっと(大好きなあなたの前で)かわいい女の子でいられたのに。あなただけずっと見ていられたのに。キスだってずっとしていていられたのに。」と後悔を滲ませるような歌詞になっており、切ないメロディと合わせてさらに号泣させます。ここで何千人の作品ファンが一生分の涙を流しただろうか・・・。

ちなみに、各ヒロインのエンドロールってだいたいエンディングに入る前の直前のシーンとかがアルバム写真として表示されながら始まるんですが、早苗ちゃんだけは最初セピア調の背景だけ(作品全体のイメージである葉っぱはありますが)で始まるんですよね。つまり何もないこと(最後のシーンがある意味なくなってしまった。思い出として残らなかったことを示唆しているのかな?)を表現したのかなと。

ちなみに当時、私は正直そこまで感情移入してませんでしたし、プレイ済みの友人からネタバレをされてしまった上でプレイしていたし、ロリコンでもないのでそこまでショックを受けませんでした。でもおじさんになった今、これを書くために画像や映像で復習したのですが、書きながら思い出すだけでくるモノがありますね。そうかこれが老化か。

たしかにちょっと昔とはいえ、シナリオに無理がある感はいなめませんが、最初の話を思い出しましょう。この作品にはひと夏の青春のなかにある別れというテーマが含まれていると。たまたま構成上犠牲になったのが早苗ちゃんになったということ。若葉ちゃんもある意味死別に近いですけどね。

で、これでおわらないんですよ。プレイヤーへの怒涛のメンタルブレイク波状攻撃は。

エンドロールのあとはまた、少しだけ時間が経過していて、早苗ちゃんを失ったショックから立ち直れず、3バカに元気付けられても凹んだままの主人公なんですが、結局そのまま夏休みに入って、みんな帰省したりで学校からは誰もいなくなります。帰省する気力もなく寮にいた主人公ですが、なぜか受信専用のPHSの着信音がなります。

そこには生前の早苗ちゃん(おそらくアイタイと送った日くらいと推測)が送信日時を予約していたメールの文章が表示されていました。(おそらく予定では手術が終わっているくらいの日に受信できるように)

気になる方は、ネットを調べたりニコニコ動画にもまだプレイ動画が残っていたりするのでそちらを視聴すれば分かってもらえると思います。内容としては一部わかりやすくするために普通に書きますが、本来は全部カタカナで表示されます。

  • 明日は手術、怖いな

  • でも頑張って受けたいな

  • このメールを先輩が受け取った時私は手術をちゃんと受けましたか?

  • 先輩の隣に元気になった私がいますか?

  • そして、ずっと言えなかった「大好き」を言えましたか?

  • それとも、もう私は先輩に会えなくなってしまったでしょうか?

  • 怖いけど知りたいな

  • メールを受信した先輩の横に彼女として私がいればいいなって思います

  • ソレデハ マタ アエルトイイネ

  • サナエ

みたいなことが書かれています。(最後だけ割りと有名なのでママで書きました)

背景が真っ黒い中、淡々とこのような感じのメッセージが無機質なカタカナで表示されます。そして何がやばいって、このメッセージの後、スーッと暗転してタイトル画面に戻るんです。なんの救済もフォローも、メールを受け取った主人公の心情を表現することもなく。

タイトル画面で流れるアップテンポなOP曲がまた、プレイヤーにとどめのダメージを負わせたでしょう。そのくらい演出としてはとことんエグいモノでした。ゲーム制作した人たちもこれだけの数のプレイヤーが早苗ちゃんの人生に翻弄されて、作った甲斐があるというモノですよね。当然、私の大学の友人のひとりは早苗ちゃんがストライクなキャラクターだったため、しばらく学生生活に響きました。以降、彼はもうエロゲはしない、なんて言っていたような気がします。

ちなみに早苗ちゃんからのメールは前述の予約送信メール以外の時も全てカタカナです。その理由なんですが、今の方にはわからないかもですが当時PHS(ピッチとも言ってた)という携帯電話の仲間がありまして、そのメール機能はPメールといって、英数字かカタカナでしか文字が打てなかったとかだったんですよね。自分は持っていなかったので聞いた話なので間違っていたらごめんなさい。で、そのカタカナなのがまた精神ダメージを負わせる要素の1つになっているっていうのをうまく演出に使ったという感じでしょうか。

なんども述べた通り、この作品はひと夏の思い出と別れがテーマです。早苗ちゃんの場合は別れ=亡くなるということだったんですよね。他のヒロインは一時な別れだったり、生まれた時代の違いによる別れだったり、生物としての違いの別れだったりするんですが、早苗ちゃんには容赦ない永遠の別れ。

あと、考察・感想サイトやプレイ動画のコメントを見なおしてみてわかったんですが、早苗ちゃんひとつも願いが叶ってないんですよね。

①満点の星空を先輩と一緒に見たい → 最初は曇りで、最後は間に合わず
②手術を受けて元気になる → 受けなかった
③大好きと伝える → 伝えようとして・・・(※後述している考察の余地はある)
④先輩の彼女になる → なれないまま(主人公も好かれているのは察していただろうけど、自分からは言わないヘタレ鈍感ニブチンだし)
⑤また会えるといいね → 永遠に会えなくなった

元気に走り回って遊ぶ、とかもありましたっけ?(忘れた

ちなみに、早苗ちゃんが亡くなったあと、序盤の方で世話していた犬も姿を見せなくなったという描写があり、その犬ももしかしたら?という状況で、ここまで救いがないのも当時の学園ものとしてはすごいと思いますけどね。ただ、個人的にプレイ動画を見直したんですが、大好きと伝えようとして息を引き取ってしまうシーンについて物申したい。(考察余地の部分

あれって最後笑った顔で終わっていることもあって、その直前ちょっとだけ口が空いてて、動いているように見えなくもないんですよね。口パクとしては大好きって言えてないんですけど、もう動かせない口で、主人公には全く聞こえないし声も出ないけど、頭の中では浮かんでいた大好きっていう言葉を最後に伝えられたから、満足げに笑ったんじゃないかなと思っています。だってそう思いたいし、それくらいの救いはあってもいいんじゃないかと。

考察ブログやプレイ動画のコメントで、早苗ちゃんの前置きのセリフが長くて主人公がさっさと言えばいいだろって言いたくなるようなやりとりだったり、「あのね・・・」を何回も言ったりしてるのは、今それを伝えてしまうと主人公の枷になってしまうから言えないんだよなぁなんていうモノがありました。考察は自由なので私はそれを否定しませんが、私は違う風に感じています。

結局は予約送信メールで大好きって言えましたか?って触れているし、おんぶされてるときも言おうとしてたので、言わない選択肢はないんじゃないかなぁと個人的には感じています。力尽きる寸前の痛々しい表情ではありましたが、本人としては無邪気な感じで子供が言う「あのね!あのね!ずっと言いたかったことあるの!それはね!それはねー!」に近いようなテンションだったのではないかなって思います。


飯野 千種(いいの ちぐさ)

引用元:https://nlab.itmedia.co.jp/games/wall/green2/chigusa/640.html

きましたよ。私の嫁!
誰が呼んだか、その豊満おっぱいを名前でもじって、Eの乳房と揶揄される美人保健医の先生。彼女がある意味、第一作目としてのテーマのゴールにふさわしいキャラクターではないでしょうか。

当時、秋葉原のアトレがまだなくてアキハバラデパートだった時代。ビルの総武線乗り場に続く店内通路だったかそのあたりの端までいくと、二次元キャラクターのガチャガチャがあって、そこでグリーングリーンとかホワイトブレスのフィギュアを500円まわして買いまくってたなぁ(遠い目

彼女は引率兼女子生徒のサポートとして編入にあわせて来たわけですが、恋愛禁止の学園ルールにおいて、「グリーングリーン」と名乗って、ラジオDJよろしく校内放送で「恋愛をしよう!」って広めた人物でもあります。

シナリオとしては主人公からアプローチしていくような流れなんですが、主人公のことをナンパ君と呼び、最初は相手にしませんでした。いろいろあって、結ばれはするんですが、主人公に向けたようなメッセージを放送室からをしたあと、いったんは主人公の前から姿を消します。(放送室に行ったらすでに誰もおらず、他の先生に千種先生はもう先に帰ってしまったよと言われます)

主人公が追いかけて駅に行くと、雨でびしょ濡れのまま駅に佇んでいる先生。主人公が追いかけてくると思ったので待ってたってさ!(うひょおおおせんせええええええ!)

その後一旦戻って愛を確かめ合うわけですが、主人公が目を覚ますと置き手紙があって、「ふたりとも子供だからもっと大人になってから再会しましょう」っていう感じで、駅についたときにはとっくの昔に先生は今度こそ本当に帰ってしまっていて、エンドロールに入ります。またこのEND曲の「男の子」がいいんだこれが歌詞がね。年上とわかるような表現はないけど子供っぽい男の子に惹かれていて、自分の事を見てほしい的な内容になっています。最高にお気に入りの曲!

エピローグでは、浪人になった主人公がラジオを聞いていると、どこかで聞いたような声のDJと、主人公に向けて言っているようなメッセージ。主人公は部屋を飛び出し、約束の場所へと走り出すのでした的な終わりかた。双葉とはまた違った、ありそうな別れと再会がテーマになっています。ところで約束の場所ってどこだっけ?駅か学校?

くそ!嫁なのに早苗ちゃんより書く文字数すくないの悔しい!

というか、再会を匂わす演出自体はいいけど、浪人かよ!そしてそんなに年数たってないやんけ!というツッコミはご遠慮ください笑

グリーングリーンをプレイしたいろいろを思い出してのまとめ

冒頭にも書きましたが、初めてプレイした作品ということと、日常パートのギャグ要素や主人公を含む3バカ友人たちの下ネタのやりとりがかなり面白い作品で、ヒロイン以外にもサブキャラが立っているのはすごく良かったということでかなり印象に残っている作品。ちなみに今でもApple MusicやAmazon Musicのライブラリには、本作のアルバムのリストが入っています。名曲揃いなのでぜひ。大好きすぎてスピンオフ小説も全部買いましたねー。普段本なんか読まないのに何回も読み直した記憶。

振り返って思うのは、どのヒロインも完全なハッピーエンドではないところが魅力というところでしょうか。たしかに再会を匂わすエピローグのあるヒロインもいましたが、彼らの背景や事情を考えると手放しでは喜べないキャラもいます。早苗ちゃんに限っては救いがないですしね。

OP曲のサビの最後に「悲しみやサヨナラが2人を待っていても」というフレーズがあるのですが、本作の各ヒロインのシナリオがそれらの結果として演出されているというのがなかなかいい感じだと思います。

あの頃を思い出してプレイしたくなったのでリメイク版をそのうち開封しようかなって思います。(絶対やると言ってない)

おまけ(早苗ちゃんショックから立ち直りたい人必見)

シリーズは2やコンシューマ移植版、逆移植版での追加シナリオなどがあり、最後の完結の3へと続きますが、実は移植版では早苗ちゃんに救済シナリオがあるんです!(安易に救済すべきではないと言う方もいますが、安心してスッキリしたい人にはありだと思いました。)

一応、基本的な流れはPC版と一緒なんですが、運命の分岐点(星空を見に病院から抜け出そうとするところ)で手術をちゃんと受けさせる選択肢が発生します。(いったんは鬱エンドを体験しないとフラグがたたない仕様のようで早苗ちゃん√を再プレイする必要がありますが)そのあと主人公は手術がどうなったか怖くてお見舞いにも行けなくなっていました。

早苗ちゃんと一緒に世話をしていた犬は残念ながら虹の橋を渡ってしまっていたのですが、主人公が犬のお墓に行くと、たんぽぽの花が一輪だけ備えられていて・・・っていう終わり方をします。

たんぽぽは早苗ちゃんが好きな花だったし、お墓にこれそうな他の生徒はいないしで、まさか・・・早苗ちゃん!?って匂わせる感じのちょっとだけほんわかする終わり方です。本人を登場させずにあくまでプレイヤーの想像に任せる手法もいいですよね。

さらに「鐘の音ダイナティック」という逆移植版(コンシューマでヒロインも増えてるんだけど、それをまたアダルト版にしたやつ)では、本作の各ヒロインの追加シナリオがあるんです。

これはまぁパラレルワールドっぽい立ち位置かも。未プレイなのでプレイ動画などをみただけですが、本作のヒロイン5人に関してはそもそも編入のタイミングで来るんじゃなくて、なぜか編入が終わった夏休みに何故か学園にいて主人公と出会うところから始まるショートストーリーです。

やっぱり制作陣も力を入れたなぁって思うのが、早苗ちゃんの追加シナリオ。単純にプレイ動画で見る分には一番再生時間が長いんですよね。制作陣が世間の反応を見てどう思ったかはしりませんが、明らかに力が入っている模様。

早苗ちゃんはなぜか、編入生を乗せたバスが事故にあったあと、気づいたら学校近くの草原にいて、主人公と出会います。そしてそのまま遊ぶという内容。私幽霊になっちゃいましたってケロッと喋ってるので、本編とは違った軽さがあり、本編ではできなかった駆け回って遊ぶシーンはほっこりします。無口でおとなしかった口調の本編とはうってかわって、楽しそうな声がまたいいですよね。

その後、先輩である主人公と過ごす中でやっぱり主人公を大好きになってしまいます。幽霊なので満足したらお別れが近くなってきたらしく、その大好きを言おうとした瞬間ちょっとずつ体が薄くなって消えていきます。(お前・・・消えるのか・・・?)

やっぱりこっちでも本編みたいに大好きって言わせてあげられないのかよー!っていうプレイヤーの反応を手のひらで転がしている製作陣はさすがですね。ですがここからが違います。

気づけば、病院のベッドの上の早苗ちゃん。実は生死の境をさまよっている中で見ていた夢だったらしいです。・・・そして、母親から「なんか毎日同じ時間にお見舞い来てた子いるよ?」と言われ、そんな友人いないのになぁって思って名前を聞くと夢の中で聞いたことがある主人公の名前。せっかく一命を取り留めたのに、びっくりして逝きかけました(おい笑

久しぶり?はじめまして?どう挨拶しようかな?お風呂入ってないけど臭ってないかな?なんて思いながら、いつもの時間に主人公がお見舞いにきて、満面の笑みで迎える早苗ちゃんの表情でEND。

パラレルな追加シナリオだけど、えがったえがった・・・(泣)

方向性としてはちょっと違う方向の路線にいったけど、たとえ追加シナリオでも救済されてよかった、という声が大きいのも事実。もうこれがトゥルーエンドでええんやでというファンも居るようです。

おまけのおまけ

これはゲーム外の話になるのですが、いち作品ファンとして最後に語らせてください。

本作に参加された声優やスタッフの方々は現在も活躍されている方、あれ?どこかで聞いたことある声だな?という方もいます。たとえば私が大好きな千種先生の中の人は、戦国無双の濃姫だったり、ゼノサーガのKOS-MOSだったり、にっぽん百名山のナレーションをされていたりします。まだ有名になる前の神谷浩史さんなんかもサブキャラで出ていましたね。

そんなすごい声優さんやスタッフさんたちがいた中で、物語同様に悲しい別れをしてしまった方もいます。

杉本沙織さん

惜しいことに、早苗ちゃんを演じた杉本沙織さんは2021年に病に倒れ56歳で亡くなりました。しまじろうのらむりん役でもおなじみでしたね。・・・若くして早苗ちゃんと同じ結末になったことは残念です。ですがそれと同時にやっぱりすごい声優さんだったんだなって思いました。

年齢に注目してほしいのですが、グリーングリーンが発売されたのは2001年です。つまり、杉本沙織さんは36歳のときに早苗ちゃんを演じていたんです。普段の無口でおとなしいボイス。最後の力を振り絞りながらも弱々しく想いを伝えようとするシーンのボイス。あれをその年齢で演じていたということに尊敬しかありませんよね。

田中一成さん

田中さんは世間一般的な知名度としては低かったかもしれません。わかりそうなものを挙げると、ペルソナ5の金城潤矢とか、ハイキューの烏養繋心とか、地獄先生ぬ~べ~の木村克也とかでしょうか。

本作ではバッチグーというあだ名の主人公の悪友(バッチグーっしょが口癖)を演じていて、キャラにあったエロにしか興味がない男子学生を見事に演じていました。本作が人気になった後、クレヨンしんちゃんにバッチグーのそのままのキャラで出演したのを偶然みたときは、バッチグーがなんでしんちゃんに出てるの!って興奮しましたね。

彼も2016年ころに病でお亡くなりになっています。ニュースをみたときは本当にショックでした。

ヤマグチノボルさん

ヤマグチノボルさんもまた、闘病の末に早世されてしまった方です。彼についてはもう余計な説明はいらないでしょう。ゼロの使い魔、グリーングリーンのスピンオフ小説などほんとうに楽しませてもらいました。

早苗ちゃんのシナリオは彼ではなく桑島由一さんが担当したので違うのですが、それでも他のヒロインたちのシナリオなどでは笑ったり感動させてもらったりしました。

本当の最後の最後のまとめ

作品に携わった方々が早世されるというのは本当にショックで、思い入れの深い作品だっただけに、もう彼らが関わる作品はないのだなと寂しくなります。

それでも、私がこの作品に出会ったことで後の人生に影響をうけた(良くも悪くも笑)のは事実であり大切にしたい思い出です。(この作品によって友人たちと一喜一憂したことも)

今回をスタートとして他の作品も振り返る記事を出して行こうとおもっています。もし目にする機会があればよろしくお願いしますね。こんな長文レベルすら遥かに超えた長文の記事を最後まで見てくださってありがとうございます。私としても吐き出すことができてよかったです。

ソレデハ  マタ  アエルトイイネ

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