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【読書記録】遠巷説百物語

2021年222冊目。

百鬼夜行シリーズに並ぶ京極夏彦の代表作、巷説百物語シリーズがリブートです。雑誌『怪と幽』で連載していた作品ですが、連載時に比べて大幅に加筆されています。

今回の舞台は遠野。主人公の宇夫方祥五郎うぶかたしょうごろう御譚調掛おんはなししらべがかりとして、巷の噂を南部遠野家当主である南部義晋よしひろに報告する密命を受けていました。話を集めている中で、祥五郎は遠野に流れてきた仲蔵なかぞうという男に出逢います。仲蔵は絵を描いたり細工物を作ったりという表向きの仕事の他に裏の仕事も請け負っていました。祥五郎は噂話の真相を探る中で様々な事件に巻き込まれることになります。

過去作『前巷説百物語』のキャラクター、長耳の仲蔵が再登場です。今回は仲蔵が中心となって仕掛けが展開されます。工作が得意な仲蔵の仕掛けとあってド派手な演出の話が多くなっていました(京極夏彦自身はインタビューで怪獣総進撃と表現していました)。

遠野は言わずと知れた『遠野物語』の舞台であり、民話の里として有名なだけあって、巷説百物語との親和性が高いですね。ただ今回は悪役の計画が荒唐無稽な感じがしました。荒唐無稽な犯罪に対してさらに無茶苦茶な仕掛けで挑んでいった結果が怪獣総進撃だったのかもしれません(ちなみに怪獣総進撃はゴジラ映画のタイトルです)。

次回作はすでに『怪と幽』で『了巷説百物語』が連載中です。これが本当のシリーズ最終作とのこと。連作短編集の巷説百物語シリーズに長編が構想されていることは以前から語られていましたが、それがついに登場ですね。敵側の視点から物語がすすむというまさかの展開に驚きですが、今後どうなってしまうのでしょうか。

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