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【読書記録】ドラキュラ

2024年57冊目。

2023年に光文社古典新訳文庫から吸血鬼小説が3冊刊行されるというので読んでみました。

まずは吸血鬼の代名詞ともなっている『ドラキュラ』からです。既訳では創元推理文庫の『吸血鬼ドラキュラ』(平井呈一訳)を読んでいます。

ドラキュラより以前の吸血鬼小説は、ポリドリの『吸血鬼』や『カーミラ』など、実は数多くあるのですが、それら先行作の影響を受けつつまとめ上げて、今の吸血鬼像を作ったのはストーカーだと思います。土俗的な吸血鬼像も小説の吸血鬼像もすべて取り込んだので、多彩な能力を持つ一方で弱点も多くなってしまいました。

注釈が多かったので読んでいて面白かったです。ドラキュラ城で登場する女吸血鬼がカーミラであるというのは興味深かったです。イギリスがプロテスタントであるのに対して、ドラキュラに対抗できるのはカトリックというのも面白かったです。

輸血やタイプライターなど、当時としては最新の科学技術が用いられているのも面白いところです。また、手記や日記を並べることで実話であることを強調しつつも、原本がドラキュラによって失われることでこの物語が幻想である可能性を残すというのも面白い指摘だなと思いました。

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