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ストーリーカテゴリー2「バトル/トラブルシューティング」

「ストーリーが浮かばない」
「どんなストーリーをつくればいいかわからない」
「いつも同じようなストーリーしかつくれない」

物語には、このような悩みがつきものです。
しかし、誰でもストーリーの「型」を知れば、さまざまな物語をつくることができます。
そんな物語の「型」は、主人公の行動によって7つのカテゴリーに分類されます。
今回はその中で、主人公が戦う、争う、トラブルや問題を解決する物語「バトル/トラブルシューティング」について、ご紹介したいと思います。

「バトル/トラブルシューティング」はどんな物語か

「バトル/トラブルシューティング」とは、文字通り敵と戦ったり、トラブルや問題を解決する過程を描く物語の総称です。

このカテゴリーの物語は、どんな主人公がどんな敵とどのように戦うか、またはどんな主人公がどのような問題、難題、揉め事、トラブルを解決するかという、「人物像」「敵」「戦い」、あるいは「人物像」「トラブル、問題」の組み合わせによって、次のような6種類のストーリータイプに分類できます。

[2]「バトル/トラブルシューティング」
 タイプ7「弱い者が強い者に勝つ」
 タイプ8「戦士が似合わないことをするハメに」
 タイプ9「デス・ゲーム」
 タイプ10「じつは強かった」
 タイプ11「ヒーロー/アンチヒーロー/魔法少女」
 タイプ12「組織の腐敗と闘う一匹狼」

タイプ7「弱い者が強い者に勝つ」は、読んで字のごとく、戦力や物量、経験などにおいて敵よりも弱い主人公が、自分よりもはるかに強い敵を打ち破る物語、あるいは無能、未熟と見下されている主人公が、大きな問題、誰も解決できない難題を解決する物語です。


タイプ8「戦士が似合わないことをするハメに」は、戦いや問題解決を生業とする危険な世界で生きる主人公が、その任務や戦いのために「自分に向いてないこと、似合わないこと、苦手なこと」をしなければならなくなる面白さを描いた物語です。


タイプ9「デス・ゲーム」は、主人公が他の複数の人物たちとともに集められ、その中で最後の1人になるまで殺し合いを強いられる、そんな狂気のゲームに巻き込まれた主人公を描く物語です。敵は周囲の人物すべてという弱肉強食の争いが描かれます。


タイプ10「じつは強かった」は、一見弱そうに見えるが、本当はものすごく強い/有能な、理由あって本当の実力を隠している主人公が、誰も勝てない見るからに強そうな敵を鮮やかに打ち倒す、あるいは誰も解決できないようなトラブル、問題、難題を解決する物語です。


タイプ11「ヒーロー/アンチヒーロー/魔法少女」は、正義のヒーローである主人公が、悪の敵と戦う、あるいは不思議な魔法の力を持つ魔法少女の主人公が、困っている人々を助ける物語です。


タイプ12「組織の腐敗と闘う一匹狼」は、はぐれ者の一匹狼の主人公が、敵との戦いや問題、トラブル解決をする中で、本当の敵、黒幕である「主人公が所属する組織の腐敗した上層部」と戦う物語です。

あなたの物語で、主人公が敵と戦うシーンが浮かんでいたり、バトルやトラブルシューティングが売りの物語を書きたい場合は、この「バトル/トラブルシューティング」の物語を構想してみるといいと思います。

「バトル/トラブルシューティング」のストーリー構造

バトル/トラブルシューティングは、戦いや問題の解決が主題となる物語です。
従って、基本的なストーリーの構造としては、主人公が登場し、敵が登場し、敵に襲われて戦い、クライマックスの最後で敵を打ち破る/問題を解決するというシンプルなものになります。
短編作品では、このようなシンプルな構造のストーリーでも十分にお話を組み立てることができますが、長編の物語になるとシンプルな構造だけでは難しくなります。戦い/問題解決のシーンは物語のクライマックスで描かれますが、その戦いだけではクライマックスまでストーリーをもたせることができず、中身スカスカのお話にしかならないのです。

バトル/トラブルシューティングの長編をつくるには、クライマックスの敵との決戦/問題解決までのストーリーをどのように構成するかが大きなポイントになります。
方法としては、「序盤や中盤で敵の手下や中ボスクラスとの戦いを描き、最後に大ボスを倒す」というように何回かの戦いによってストーリーを構成したり、「敵の居場所や正体、問題の詳細や解決方法を謎にして、その謎を解明していく展開を入れる」などの展開によって、中盤のストーリーを充実させることなどが有効でしょう。

「バトル/トラブルシューティング」のつくり方

このカテゴリーの物語をつくるには、次の3つの要素を決めるようにします。

バトル/トラブルシューティングに必要な3つの要素
1.「主人公」
2.「倒すべき敵」or「解決すべき問題、難題」
3.「敵に勝つ/問題解決を妨げる障害」

まず、「主人公」がどんな人物なのか、どのくらい強いのか、弱いのか、なぜ戦う/問題を解決するのか、そんな人物像戦う動機を設定します。
同時に、「倒すべき敵」はどんな存在なのか、「解決すべき問題や難題」はどんなものなのかも設定します。
主人公と敵を考える際は、次のような感じで発想してみましょう。

「こんな主人公が、こんな敵と戦ったら面白い」
「こんな主人公が、こんな問題を解決したら面白い」
「こんな戦い方で、こんな敵を打ち破ったら面白い」
「こんな主人公が、こんな強敵を打ち破ったら面白い」

バトル/トラブルシューティングで大事なのは、「主人公と敵」、「主人公と問題、難題」の組み合わせの面白さなのです。

さらに、主人公が敵に勝つ/問題を解決するのを妨げ、ジャマする「障害」となる要素を設定しましょう。
主人公は、敵と戦って勝つ/問題を解決するには、それらの障害を克服していかなければならなくなります。そんな障害克服のドラマが、中盤のストーリーを盛り上げます。
さまざまな障害をおいて、敵との戦い/問題解決をジャマさせてみましょう。

クライマックスは最終決戦/問題解決が行われる

バトル/トラブルシューティングのクライマックスは、ついに敵との最終決戦が描かれます。または、問題解決シーンが描かれます。
主人公は強敵との戦いの中で、絶体絶命の大ピンチに陥ります。しかし、意外な方法で一発逆転で敵を倒し/問題を解決します。

主人公は、そんな敵との戦い、問題や難題の解決の中で、大切なことを学んで、成長します。または、主人公が助けるゲスト主演キャラクターが成長する場合もあります。
主人公、またはその他のキャラクターがどんな変化、成長を遂げるかも、設定しておきましょう。

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