見出し画像

ストーリーカテゴリー3「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」

「主人公の行動」によって分類されるストーリーのカテゴリー、する今回は、主人公が不思議な体験をする物語「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」について、ご紹介したいと思います。

「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」はどんな物語か

「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」は、日常生活をする主人公が驚くような超常的で不思議な体験をする、そんな体験を描く物語です。
この「エブリデイ・マジック」とは、主人公のごくふつうの日常に魔法がかかる、魔法が現れる出来事のことであり、どんな「魔法」がかかるのか、それによって主人公は「どんな体験」をするのかによって、次のような5種類のストーリータイプに分類できます。

[3]「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」
 タイプ13「もしも願いが叶ったら」
 タイプ14「『怪物』と友だちになる」
 タイプ15「入れ替わり」
 タイプ16「ホラー」
 タイプ17「ミステリー」

タイプ13「もしも願いが叶ったら」は、主人公の願いが不思議な「魔法」の力によって叶ってしまう体験を描く物語です。

タイプ14「『怪物』と友だちになる」は、主人公が住む世界とは異なる世界の住人である「怪物」と主人公が出会い、交流し、心を通じあわせていく友情を描く物語です。

タイプ15「入れ替わり」は、不思議な「魔法」によって、ある人物と別の人物の心と体が入れ替わってしまう混乱と騒動を描く、非常に楽しい物語です。

タイプ16「ホラー」は、主人公を狙う「恐ろしい存在」に主人公たちが襲われ、必死で逃げ惑いながら、主人公の仲間が次々と犠牲になっていく恐怖の体験を描く物語です。

タイプ17「ミステリー」は、一見「不思議に見える現象、出来事」の謎を論理的に解き明かしていく物語で、とくに殺人事件などに付随する不思議な謎を探偵が解明する推理ものが多く描かれています。

物語を構想した時に、何らかの超自然的な出来事、不思議な出来事、体験、不思議な存在などのシーンやアイディアが思い浮かんでいる場合は、この「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」の物語を検討してみることをオススメします。

「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」のストーリー構造

エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーは、不思議な出来事、経験を描いた物語ですが、その不思議な出来事を描いただけでは、起承転結のあるストーリーにはなりません。
ストーリーというものは、基本的に「何らかの欠落、問題」が生じ、それを「解決」する過程を描いたものになります。
つまりストーリーをつくるには、基本的には「解決しなければならない問題や事態」がなければならないのです。

エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーでその点がどうなるのかといいますと、「不思議な出来事や体験の作用、影響で困った問題が引き起こされる」という形になります。
エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーの5つのストーリータイプでは、それぞれの不思議な出来事、体験によって問題や事件が発生していきます。
とくに「入れ替わり」の物語は不思議な出来事自体が大きな問題となり、「ホラー」の物語は、不思議で恐ろしい存在が襲ってくるという問題が始めからあります。「ミステリー」の物語は、事件などで発生した謎が真相を解明して事件を解決することの妨げとなる問題になります。
つまり、エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーの物語は、そうした「不思議な出来事、体験の影響によって生じた困った問題を何とか解決する」というストーリー構造になるのです。

「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」のつくり方

このカテゴリーの物語をつくるには、次の3つの要素を決めるようにします。

エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーに必要な3つの要素
1.「主人公」
2.「不思議な出来事、体験」or「不思議な存在」
3.「不思議な出来事によって引き起こされる問題」

このカテゴリーの主人公は、多くの場合、読者と同じ日常の世界でごくふつうの生活を送っている人物であることがほとんどです。そんな何の変哲もないふつうの一般人の主人公が、不思議な体験をするからこそ、その不思議な出来事、体験のインパクトが強調されるのです。
また、この物語をつくるうえで大事なのは、ストーリーのモチーフとなる「不思議な出来事、体験」をどのようなものにするかの設定です。この不思議な出来事は、5つのストーリータイプごとに。それぞれ次のような要素を設定してみましょう。

・「もしも願いが叶ったら」……主人公の持つ願いが不思議な「魔法」で叶う出来事。どんな願いが、どんなふうに叶うのか。
・「『怪物』と友だちになる」……違う世界からやってきた不思議な「怪物」。その怪物はどんな存在なのか。どこから来たのか。
・「入れ替わり」……どんな人物とどんな人物の心と体が入れ替わってしまうのか。なぜ入れ替わったのか、どうすればもとに戻るのか。
・「ホラー」……主人公たちを狙い、襲いかかってくる恐ろしい「怪物」。その怪物はどんな存在なのか。なぜ、主人公たちを襲うのか。
・「ミステリー」……事件とそれに付随する謎。その事件を引き起こした犯人、その動機、方法の謎。

さらに、不思議な出来事、体験がどんなものかが決まったら、その出来事体験によって引き起こされる問題、困った事態、事件をどんなものにするかを設定します。
この設定を決めるうえで大事なのは、不思議な出来事、体験、魔法が「原因」となって、それらの問題や事態が発生するということです。
主人公はそんな問題や事件をどのように解決するのか、どうすれば解決できるのか、その解決を妨げるの「障害」はどのようなものなのかといったことも、合わせて設定してみてください。

クライマックスは事件解決が描かれる

エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーの物語のクライマックスは、不思議な出来事、魔法によって引き起こされた問題や事件の解決を描くことになります。
5つのストーリータイプそれぞれの事件や問題、事態がどのように解決、収束するのかを描くようにしてください。

主人公は、そんな不思議な出来事、体験、そしてそれらの出来事が引き起こした問題や事態を解決することによって、大切なことを学んで、成長します。この成長の要素もしっかり設定しましょう。

---

この「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」の物語について、さらにお知りになりたい方は、筆者のKindle電子書籍『ストーリータイプコレクション[4]「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」5種 「プロット力」向上トレーニング 』にくわしく解説されています。
ご紹介した「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」のカテゴリーに属する5つのストーリータイプのそれぞれの物語について、その特徴と性質、つくる際のコツ、そして各ストーリータイプのプロットのテンプレートとして利用できる汎用プロット「ストーリーフレーム」も収録しています。
ご興味のある方は、ぜひお買い求めいただけたらと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?