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バスクラリネットでジャムセッションに行ってきた

日曜日。セントラルパークで5時間バスキングしてから一旦帰宅し、クタクタの身体に鞭打ってジャムセッションに行ってきた。

普段、ジャムセッションにはソプラノサックスで行くことが多いのだが、それには理由があって、持ち運びもセッティングも後片付けも簡単だからである。ジャムセッションにおいて参加者が全曲演奏することは稀にはあるが、大抵は一人2曲くらいしか順番が回ってこないので、

  • 呼ばれたら素早く楽器を用意する

  • 自分の番が終わったらケースにしまうか、或いはカッコ悪いけどずっと首からぶら下げておく

ということをしないといけない(椅子やテーブルに置きっぱなしにする勇気はない)。

これがバスクラリネットとなると

  1. そもそも楽器が重くて持ち運びが大変

  2. 組み立てるのに時間がかかる(最速でも3分)

  3. 音が小さく、マイクも2本立てないとほぼ音を拾わない

  4. レパートリーが少ない(これは個人的課題)

  5. 分解しないとケースには入らないし、置き場所がないので常に抱えているしかない(横にするには長すぎるし、立てかけるには重心が上すぎて不安定)

  6. 万が一人にぶつかるなどした時故障の危険性が高い(キーの数がとにかく多い)

  7. 後片付けもサックスの倍の時間かかる(木でできている為、水滴は放置してはならない)

とかなり面倒。

1と4は体力と経験を増やして解決できるけれど、特に2の「組み立てが面倒」な割に、3の「音が小さくて聴きにくい」のが悲しい。

そうは言っても「練習してもっと上手くなってから」なんて言っていては永遠に上手くならない。ジャムセッションという絶好の機会を使い、人前で失敗してこそ上達するのだし、それでやっと4の「レパートリーが少ない」問題にも取り組める。

それで最近は少しずつバスクラリネットでも参加するようになったのだが、組み立てと片付けの問題は結構深刻なので判断はセッション会場の様子を見てからにしている。小さい店、暗い店、混雑している店だとどうしても躊躇ってしまう。

あと、新たに発生した問題として「サックスと運指が違うから指が回るか心配」というのがある。レパートリー自体は大幅に増やしたので曲自体を知らない事はほぼ無くなったのだけど、曲は知っているけど楽器が違うから吹けないという可能性はまだ十分にある。バスクラリネットでジャムセッションに参加するとき、私は正直サックス初心者だった頃と同じぐらい緊張するのである。まあ、よく言えば「気持ちが若い」ということなのだけど。

今日のジャムセッション会場は狭くて混んでいる「持って行かない」方のお店だったのだけど、今日は心境の変化と言うか、新たな挑戦の必要を感じて持っていくことにした。楽器の出し入れから、音の小ささ、演奏ミスなど不快になるであろう要素はいっぱいあったけれど、今日は公園で一日中吹いた後で疲れ果てて、どうせボロボロの演奏をするなら間違えて当たり前のバスクラリネットでいいかと。

このお店にバスクラリネットを持っていくのは初めて。案の定、店は激混みで楽器をセッティングする場所は店の一番奥にしかなかったが、組み立てた楽器に人がぶつからぬよう気をつけながらステージの方へ戻ると運良く次の曲を吹けることになった。

最初にコールされたのがWhat Is This Thing Called Love。これなら吹ける。ContrafactのHot Houseも吹けなくはないが過去に一度失敗してからまだ練習中だ。しかし、そのWhat Is This Thing Called Loveも他の参加者が知らないとNGになって、結局There Will Never Be Another Youになった。難易度は同じくらい。Ebの曲はバスクラリネットだとやりやすい。

次にボーカルが加わってBlue MonkをGメジャーでやった。メロディーのトランスポーズは難しくなかったが、そもそもバスクラリネットでGのブルースを吹いたことがなかったのでソロは苦戦した。あと、バスクラリネットで一番低いGがそんなに迫力がないので、1オクターブ上の中音域より上でソロを組み立てなければならないことに気付いた。

二曲吹いて一旦セッションからは外れたが、今日は管楽器奏者が少なかったのでまた吹けることになり、しかもセッションホストの計らいでバスクラリネットの音がちゃんと聞こえるようにとミディアムテンポのHow Deep Is The Oceanをやることになった。これもバスクラリネット対応済み。

セッションから外れると、女性だけのトリオでGroovin Highが始まった。この曲は大好きなのだけど、バスクラリネット未対応。インプロはできるけど、テーマが難しい。次回は是非挑戦したい。

セッション最後の曲はホストバンドに戻るのだけど、リーダーが誘ってくれてsit inすることに。「(Ceder Waltonの) Hindsightやるけど知ってる?」にSureと答えて参加決定。原曲を知らなければできないと思うけど、テーマもコードチェンジもそんなには難しくないし、家ではバスクラリネット対応済み。実地で試す良いチャンス。前テーマでは一箇所間違えたけど、ソロ回し中にサックスの運指を思い出してクラリネットの運指に変換して、後テーマでは問題なく吹くことが出来た。あと、やる必要はないけれど、折角低音が出るのだからリズムセクションのカウンターラインは吹けるようにしておきたいな。

今日のセッションは初めて会う人が多かったのと、やはりバスクラリネットという楽器の珍しさも手伝って、沢山の人と挨拶することができて良かった。吹いたら黙って(或いは仲間内でだけ握手して)帰るタイプのジャムセッションもNYにはあるけれど、私はやっぱり友達が増える可能性が高いセッションの方が好きだな。決して人恋しくて目立つ為にバスクラリネットを吹いているわけではなくて、純粋にバスクラリネットの音が好きだからその精進の為に持っていってるんだけど、結果的に両方の目的を果たしてるからまあいいか。

ああそれにしても早く全曲バスクラリネット対応済みにしたいわー。あと何年かかるかしらん。

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