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「いつものひと」への、恩返し

常連さん。
行きつけの店。
お馴染みの人。
いつもの人。
その存在はきっとお客さんもお店の人も、お互いを満たしてくれるとても気持ちの良い関係性なんだと思います。
オンライン販売を始めるにあたって、考えた形です。

とても長いので、ご面倒な方は目次の最後の「まとめ」をご覧ください。ギュッとまとめました。

〜Mio bar〜

イタリア人が一日に何度もバールに通うことはよく知られていますが、彼らが自分の贔屓のバールのことをなんと呼ぶかご存知ですか?

 "Mio bar(ミオ バール)" といいます。
和訳すると「私の(お気に入りの)バール(=My bar)」という意味です。
"Mio Barista(ミオ バリスタ)"で「私の(お気に入りの)バリスタ(=My barista)」という言葉もあるようです。

一日に何度も、を毎日繰り返すので、イタリア人にとってバール、バリスタというのはまさしく家庭と職場に並列する、もう一つの居場所=サードプレイスとなるわけです。

こういうの、なんだかすごくいいなあと思うんです。
私は飲食店に行っても店員さんに話しかけるタイプでは全くありませんが、あるお店では何度も何度も通ううちに顔を覚えられて、「いつものですね」と声をかけてくれるようになりました。
それに対して「はい、お願いします」と応えます。
頂いたら「ごちそうさまです」と伝えて、お会計を済ませて退店します。

当たり障りのない、味気ないコミュニケーションだと思いますか。

店員さんはどう思っているかわかりませんが、私はすごく居心地が良いのです。
いつもの場所に行って、いつもの人だと思われて、「いつものですね」といつものご飯を頂いて、目を見て「ごちそうさま」と言う。
そういうお店がある生活は、心から満たされる気がします。

「誰が焼いたか」で選ぶ時代

珈琲屋というのは、イタリア人にとってのバールのように毎日訪れる人はほとんどいないと思います。
まして珈琲豆についていえば、2週に1度買えば多い方で、普通は月に1度くらいなのではないでしょうか。たぶん珈琲豆の期限をそれくらいに設定しているお店が多いからだと思います。
さらに今や日本全国から、様々な珈琲豆が取り寄せられるので、日常的に珈琲屋に通う、という人も少ないのかもしれません。

これからは珈琲豆を選ぶ基準として、珈琲豆の銘柄の風味よりも「誰が焙煎した珈琲豆か」で選ぶ時代になってくると思います(もうなっているのかもしれません)。

そんな中で、自分の焼く珈琲豆を気に入ってくださって、何度も飲んでくださったら、とてつもなく嬉しいじゃないですか。
そしてオンライン販売が当たり前になったこの時代に、そういう店頭での「いつもの」の感覚が欲しい。
私にとっても、お客さんにとっても、お互いが「いつもの」という関係性が、なんか嬉しいし安心します。

「いつものひと」への恩返し

私は、そういう「いつものひと」に、特に感謝したいし、何かそれを形に表して恩返しとできないかと考えました。
そこで「いつものひと」からは、普通に販売しているお品物に加えて、あらゆるご要望をお受けしようと思います

例えば
・販売している豆を違う焙煎度でほしい
・試飲済の、メニューに加えていない銘柄を裏メニュー的に焙煎する
・こんなイメージの珈琲をブレンドで作って
などなど、まあ簡単にいうと珈琲をより自由に楽しめる、という感じです。

バリスタは、お客さんのわがままを叶えるのが仕事だそうです。
私は焙煎人ですから、「マイロースター=あなたの焙煎人」として、珈琲に関するお客さんのわがままを、できる限り叶えることで、恩返しとさせて頂こうと思います。
個人の、少量焙煎のロースターだからこそできるやり方を考えたら、ここに行き着きました。

縛りも決まりもありません

これは制度的なものでもなければ会員的なものでもありません。
もちろん定額費用のようなものも余分な手数料のようなものもありません。正規の豆のお代だけ頂戴します。
そしてこうすれば確実に「いつものひと」になってもらえますよ、といった条件のようなものもありません。
強いて言えば、何回かご購入くださっていることと、私に「いつものひと」の対象となる方を増やして対応する余裕があること、でしょうか。

また、「いつものひと」になったら毎月買わなければいけないとか、1年買わなかったら「あなた1年も買ってくれなかったから、もうダメだよ」というような決まりも作るつもりはありません。

縛りは無しです。
自由にしてください。むしろいろんな焙煎人の珈琲豆を楽しんでください。
私は仕事として、お客さんは暮らしの一部として、「珈琲を一緒に楽しむ」ための試みでもありますから。

きっと「いつものひと」にはいつの間にかになっているはずです。
「今日から常連にさせてください!」とか「いくら払えば常連になれる?」なんておかしな話ですからね。
一度そういった関係性になれたら私の頭がパンクしない限り憶えているものです。

最初のひとたち

まず最初は、「珈琲 綴」という屋号も何もない頃、ただの素人だった私の焙煎豆をフリマアプリで複数回ご購入くださっていた数少ない方々を対象とさせて頂きます。
ご注文くださる機会があれば、その時はフリマアプリでのアカウント名をお伝えください。複数回ご利用してくださった方はすぐわかりますので。

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購入当時のピカピカの焙煎機

私はこれまで、フリマアプリで珈琲豆を販売していました。
目的は、良い出来の豆を極力廃棄しないため、そして焙煎練習を継続するために格安でいいから少しでもお金にするためでした。
原価の計算は一切せず、チェーン系のコーヒーショップ(豆や雑貨販売のKさんやシアトル系のSさんあたり)の値段を参考に、お客さんが買いやすいことを一番に考えました。

そのおかげで、ほんの少しではありますが、「常連さん」と思える人たちができました。
その方々には個別にInstagramのアカウントをお伝えしていたので、おそらく数人は認知してくださっていると思います。
その方々は何者かもわからない私の豆をちょこちょこ買ってくれて、たまにありがたいご感想なども伝えてくださって、本当に本当に嬉しかった。

しかしそういう方々には大変申し訳ないことに、以前までの価格よりずっと高い値段でお売りすることになります。
おそらく送料など込みで、1.5倍以上の価格差になるかと思います。
しかし私が珈琲屋を生業とするためには避けられないことです。
これだけ価格が上がったら買わなくなってしまう方も当然いるでしょうが、出来る限りのことはしたい。
だからこの常連さんたちには、価格差以上の、何か恩返しができないか、と考えた果ての「いつものひとへの恩返し」という形なのです。

「いつものひと」まとめ

「いつものひと」へのサービス内容
珈琲豆に関するできる限りのご要望にお応えします。
ex. お品書きの銘柄を違う焙煎度で焼いてほしい / 生豆在庫のあるお品書きに載せていない豆がほしい / こんなイメージでブレンドを作って欲しい、etc...

「いつものひと」になるには
・何回か(4〜5回?)豆をご購入してくださっていること
・私に対応させて頂く余裕があること(すみません)
→ご注文のご連絡の前後に、「よろしければ・・・」のような旨をお伝え致します。

※出来る限り対応させて頂くつもりですが、特に2つ目については未知数なので正直全くわかりません。そのため、例えば10回も買っているのに「いつものひと」になれない、ということもあり得ます。申し訳ありません。

「いつものひと」の注意点
・何でもできるというわけではありません。出来ないことは申し訳ありませんと心から謝罪します。
・ご要望によっては少し時間がかかると思います。
・ひとまず「実店舗を持つまで」とさせて頂きます。

最近ちょこちょここういうご要望ベースでの珈琲作りをさせて頂く機会があるのですが、やっているこちらも非常に楽しいです。
刺激的というか、わからないことを手探りでやっている感も楽しいですし、もしそれがお客さんに喜んでもらえたら最高です。

想像する限りお客さんにデメリットになることはないので、こんなことやっているんだなーという程度に思っていてください。

近日、オンライン販売を始めます。

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