見出し画像

コーヒーに取り憑いてしまった男たち

いつもはいろいろな珈琲屋さんで各々の時間を過ごされていた方も、今年は不自由を感じながら我慢した方が多いでしょう。
あるいは普段家では飲まないけれどもこの機に飲み始めたり、応援の気持ちを込めて珈琲屋さんに珈琲豆を注文されたり、という方も多いでしょう。

お店を続ける「地力のもと」

応援といえば、改めてお伝えしておりませんでしたが、最後なので十一房珈琲店のひとりのスタッフだった者として書いておきます。
以前、春頃に緊急事態宣言が出されて、銀座の街が静まり返っていた時に、私は恥をかき捨てnoteで助けを乞いました。
天災なのか人災なのか、政府の対応如何では助けられる命(お店)があるはずなのに、こんな理不尽な終わりはあんまりではないか、と。
豆を買ってください、と。
私が知っているだけで、それに応じて数件ご注文を頂いておりました。
その方々がこれをご覧頂いているかわかりませんが、その節は本当にありがとうございました。
救われました。

経営が傾いたら立て直す工夫と努力をすればいいでしょうが、心が腐り折れてしまえばそれを修復するのは容易なことではありません。そういうものです。
私はただのアルバイトでしたが、ご注文してくださった方がいらっしゃるということを知った時は、嬉しさというよりありがたさでいっぱいでした。
これがお店を続けるための「地力」となるんだなと教わった思いでした。

取り憑いたのは、どっち?

今月、十一房珈琲店を退職しました。
2年前にcoffee tramを閉店に伴って退職しました。
この2つのお店で働けたことは私の誇りです。
身内を持ち上げるのは胡散臭くて気持ち悪いですが、本当に良いお店でした。
どちらも珈琲に対して奇人変人変態のごとく「本気」の店主です(私はそう感じています)。
「コーヒーに憑かれた男たち」という書籍がありますが、彼らこそコーヒーに憑かれた、否、その強さ故に逆にコーヒーに取り憑いてしまった男たちでしょう。
そしてそんなお店で働かせて頂いて、少なくとも何かを受け取る(盗む)ことが出来ただろうかと思いながら、いま自店の準備をしています。

綴の珈琲豆販売について

10月に珈琲豆販売を休止してから3ヶ月が経とうとしています。
当初、数週間を目処としていたことが、もはや詐欺ではないかと罪悪感さえ芽生えております。
お待ちの方に謝罪することすら自身で嘘臭く感じてしまいます。

神奈川県で、自家焙煎したコーヒー豆を販売予定の方、近々noteにまとめようと思っていますが、少し注意が必要ですよ。
まあ理由はそれだけではありませんが、とにかくお待ちの方、申し訳ありません。私の物事を円滑に進められない手際の悪さ、考え込んでしまう決断力の無さがこの事態を引き起こしております。

もう少し待ってください、などもう言えません。
勝手で申し訳ありませんが、今はまさに過渡期です。
思い通りにいかないこともたくさんあるけれど、極力ひとつひとつちゃんと納得のいく形で進めたいのです。
もしかすると1月、2月、とどんどん月日が進んでいかないという保証もできません。
なので、再開する際には必ずご報告をしますので、その時にまだ関心を持ってくださっていたら、ご注文のご連絡をください。
どうぞ、宜しくお願い致します。


2021年が
今より、ほんの少しだけでも
平穏な世の中になることを祈って

珈琲 綴
髙橋 麻也
2020年12月31日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?