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あの頃14

合評会は続く。次は
2年生。現代詩。小説はでていない。

まったくわからない。
勿論事前に読んでいるが、それから、ずっと、まったくわからない。
感想も出ないほど、何が書いてあるかわからない。
わからないわからない。
合評会で出てくる言葉もわからない。

感想の順番が回ってくる。何か言わねばならない。

えー、あのー、うんとおー。そのですねえー。なんというかあー。

たまらず、詩人チーフのMさんが助けてくれる。

○○くん。貰おうとしてちゃ読めない。拾いに行きなさい。
自分の足で。

さすが詩人。Sさんと言うことが違う。
で、なんとかへどもどしながら感想を言った。新入生の感想は、概ねみんなへどもどしていた。全員撃沈。Hだけが、ランボーがどうとか言っていたけど。

1年の後に2年の感想。特に女性陣T Aさん、S Aさんの読みに、ああ詩ってそう読むのか、と得心した。お二人の詩の朗読は美しかった。
勿論、Mさんの読みは別格だった。

続いて、3年。
Dさんのは、村上龍調。

無軌道な若者の生態を渇いたタッチで描きながら、底には透明な抒情が流れる。

「限りなく透明に近いブルー」の評が、まんまハマるような。しかし、書き振りは上手い。

続いてSさん。
いろんな解釈ができるような不思議な小説。みんな色んなことを言いながら、明らかに楽しそうである。盛り上がる。
合評会は次第に解釈合戦のような様相を見せていく。

しかし、私は何か気に入らない。勿論、小説なんだから、何をどう書いてもいいけれど、こういう小説のあり方は、私の目指すものでなかった。

なにが面白いんだ。

私はひとりで怒っていた。

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