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【地方創生】能登半島移住論から考える地方集約方法

まず初めに、令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお悔やみ申し上げます。一日も早い北陸地方の復興を願っております。


この地震に際しSNSで持ち上がったのが、能登半島は復興を諦めて住民を全員都市部へ移住させるべきではないか?という議論である。

能登半島でも人口減少や過疎の問題が深刻であり、復興したとしても人が定住しない、インフラの維持がいずれ成り立たなくなる、東日本大震災で被災した地域も人が結局減ってしまった。であれば、これを機に街の集約や移住を議論すべきではないか? こうした話が随所から持ち上がっているのである。


最も、SNSで議論されている内容の大半が、

・どうせ田舎なんて今更若い人は済まないし、また災害が起きたりするリスク考えれば残すメリットなんてない!人もモノも全部都会に集めろ!

・田舎にだって長年の伝統や文化があるし、今も住んでいる人達は土地に愛着があるから住んでいるのだ!それを踏みにじるのか!見捨てろだなんて許さん!

という感じで移住派も維持派も極端な意見が多い。正直あまり議論として成立していないし、筆者はそれを見させられて辟易している。


この件に関しては、政治家の米山隆一氏の意見が最も現実的であり的を得たことを言っていると感じる。


地方や田舎の中でも特に限界集落と言われている場所を解体し、住民を地域の中心部へ移住させる、インフラや行政施設も中心部へ集約させることで、地域全体の破綻を防ぐ。一番地方の持続の道としてアリだと思うし、筆者もこの考えに賛同である。

街の集約と言うとこれまでコンパクトシティの概念がよく用いられ、推進が試みられてきた訳だが、実はこの考えをより広めた立地適正化計画という構想が政府の中では持ち上がっている。大都市に全てを集めてしまおう等という極端なものではなく、地域の存続も考慮した現実的な施策だ。


雑なイラストで恐縮だが、このような形で地方の存続を目指していくのが良いのではなかろうか。点と線の考え方で街やインフラを維持していき、それ以外の場所は放棄するか、維持するにしてもこれまでと違う街の体制を作る。鉄道でいえば赤字ローカル線の廃止だけでなく、主要駅以外の駅を廃止して拠点間の輸送に特化させることも検討するのである。


と、このように地方の今後については現状維持に拘らないやり方を議論していく必要がある訳だが、一方で維持派の人達が主張するような、今も地方に住んでいる人達の意思も考慮する必要も同時に発生する。

SNSの移住派の人達は田舎に対して元から良い印象が無かったり、或いは自分の住んでいる都会(東京)の暮らしを基準にしてものを考えているからか、「田舎に住んでいたら(自分にとっても周りにとっても)都合が悪いんだから、さっさと移り住んでしまえばいいじゃないか」と簡単に言ってしまってる事は否めない。

地方に住んでいる人達には先祖代々受け継いできた土地を今も守っている、土着文化の中で生きている人達や、デメリットが多いことは承知の上でその土地が好きだから住んでいる地元愛の精神を持つ人達も多い。移住を実際にするかはともかくとして、議論の中ではこういう立場の人がいる事を考慮して発言をしなければ、当人たちにとっては一方的に「どうにもならないんだから諦めろ」「見捨てろ」と言われている気分になってしまう。対立が激化したり分断が深まったりするだけで、議論が進まなくなる可能性が高いだろう。


能登に限らず今後多くの地方で、持続の仕方について議論が必要になることが予想される。情にも合理性にも偏らない中庸な形で話を進めていくことが必要である。

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