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約束は重石

「○○くん、よかったら今度Excelの使い方教えてもらえる?」
「あ、全然いいですよ」

といったように、約束とは簡単に交わされるものだ。非常に手頃で、誰だって交わすことができる。ただ、その利便性とは裏腹に、効果は絶大である。

例えば最初の会話、この約束は、お互いがどんな関係であるかによって変わってくる。
お互い初対面だったら、社交辞令かもしれないし、気の許せる友達だったら、ただ本当に教えてほしいのかもしれない。
どっちも同じ約束なのだけれど、この約束の重みは2つの状況下ではまったく違う。

さらに厄介な性質が、関係が薄ければ薄いほど約束は重くのし掛かってくる。お互いの関係が明確でない以上、交わしてしまった約束の扱いに困ってしまうのだ。

こういうわけで、僕は毎回約束を持ちかけられた時逡巡してしまう。こんな軽々しく了解していいのだろうか‥‥責任をとれるのだろうか‥‥
僕は断れる性格ではないので、嫌な顔せず「もちろん、いいよ」とすぐに返事してしまう。僕には積もりに積もった約束の重石が数えきれない程のし掛かっている。

最初にした会話、これは実際に僕がした会話だ。彼とは今連絡を取っていない。僕が一方的に関係を切ってしまったのだ。次に彼と会ってしまったとき、どんな顔で喋ったらいいのだろうか。僕は今、約束の処分に困っている。

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