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【治験】米の匂いで気絶したあの日を想う

最近、予防接種を受けに病院に行ったのだが、その際にふと思い出した記憶がある。

生活に困窮し、最後の手段にと治験を受けに行ったときの話だ。


ちょうど旅行記で米博物館の話もしたことだし、あらためてあのときのことを掘り下げてみよう。

この記事のタイトルにあるように、自分は『米の匂いで気絶した』のだ。


何を言っているかわからないと思うが、その経緯を語ろう……!



ある日、お金が無さすぎて死にそうになった若かりし頃の自分は、治験に参加して状況をどうにかすることを目論んだ。(普通に働けばいいのに)

「治験」とは、世に出る前の薬を健康な人や患者に使うことで、効果や副作用の確認を行う試験のことだ。

ものによっては何十日も病院に拘束されて薬を投与されるのと引き換えに、数十万円もの報酬を受け取れる。

しかし自分の体に何があるかわからない治験は、個人的に最終手段だと考えていた。

だが死ぬよりはマシである。

当時の自分は命を引き伸ばすため、治験に参加することに決めたのだった。


……治験当日。

病院に集まった他の参加者との語らいはとくに無く、続々とそれぞれのベッドに案内されていく。

その後一通り最初の身体検査が終わったあと、

薬を飲み、

何度も採血をし、

特に暇つぶしをすることもなく昼ごはんの時間が訪れた。


食事は別の広い部屋で食べるのだが、移動はまさかの車椅子である。

まさかこんなところで車椅子デビューするとは思わなかった。

移動させられた先には食事がもう用意されており、内容は普通の和食という感じ。当時食生活が荒れまくりだった自分にとっては素晴らしい内容だ。

健康食を食べてお金も貰えるとか最高だなと思いつつ、

さっそくご飯の器を手にとり、ホカホカの米の香りを嗅いだ瞬間……


意識を失った。



……気がつくと、なんだか周囲が慌ただしい。

大丈夫ですか!?

具合は!?

周りの白衣の人達がすごい剣幕で話しかけてくる。

これは確実になにかあったようだ。


自分は少しぼやけた頭で、「あ、大丈夫ですから…」と返答し、再び箸をとって味噌汁をすすり始めた。

いや絶対大丈夫じゃないし、飯食っとる場合かという話なのだが、なにせ頭がボケているので仕方がない。

そんな自分を見て、周囲の白衣の人たちはまだ警戒を解いていない様子。

そして今度は米の容器を手にとり、湧き上がる米の香りを嗅いだ瞬間……


意識を失った。



……気がつくと今度はベッドの上だった。

何やら検査機器のようなものを体にペタペタ貼られているようだ。

しかし今度はかなり頭がぼやけており、まさかの言葉が話せない


記憶にあるのは米の匂い

そう、米の匂いを嗅いだら意識がなくなったのだ。

(どんな理屈でそんなことに……?)


その後、しばらくして話せる状態にはなったものの、治験継続は無理ということで、1泊の後に強制退場となった。

一応1日分のお金は出たが、往復の交通費を抜いたら普通にバイトでもしてたほうがマシだったのは言うまでもない。


その後、自分はもう治験には参加しないことを心に誓い、

職業訓練時代を経て、稚内に行くことになったというわけである。



自分でも書いていてすごく懐かしいが、

そもそも米の匂いで気絶するってなんだよという話である。

自分は別に米に触れてこなかった人生というわけではないし、むしろ炊きたてのご飯の匂いは好きな方だ。

しかしどう考えてもあの気絶は米の匂いのせいだと思う。

味噌汁をすするのはOKでも、米の匂いを嗅いだら一瞬で2度も気絶したのだから。


実は米の匂いに関して検索すると、ネガティブな意見がそこそこあったりする。

つわりのときに炊飯した米の匂いを嗅ぐと気持ちが悪くなるとか、
子供が米の匂いを嫌がって食べないとか、
外国人はあんまり良い匂いに感じていないとか、色々だ。

(残念ながら匂いを嗅いで気絶したという情報は見つからなかったが)

そして中には、「洗ってない犬の匂い」「赤ちゃんのうんちの匂い」というような、もはや食べ物としてNGな意見もあるようだ。


……しかし、その意見はありえないものでもないのかもしれない。

福井大学が『炊きたてのご飯の香り成分を分析する』というニッチ過ぎる研究をした結果、炊飯した米からインドールが検出されているからである。

インドールは少量を入れるとジャスミンのような良い匂いになるので香水にも使用されたりしている物質だが、量が多いと糞尿臭になる。

人によって香りの感じ方はそれぞれなので、香りへの感覚が鋭い人は、炊飯した米から巧みにインドール臭を感じ取ってしまうのかもしれない。

子供は味覚や嗅覚が鋭いらしいし、そういうものを敏感に感じる子がいるのかもだ。

品種や育て方によって臭気成分が多めになったりとかもあるかもしれないし、おかしな意見として切り捨てるのは早計なのだろう。



あと関係あるかは微妙だが、お米の話のひとつとして、『イノシシが入った田んぼの米は臭くて食えない』という話がある。

これに関しては、「んなわけあるかい」とツッコミも入っており、実際のところは根拠のない風評被害だそうだ。

イノシシが増えまくっているとされる現在、頭が痛い話である。


そして自分はこの記事を書くためにあれこれ検索したことで初めて、『香り米』なんて存在を知ったのだが、米と匂いの関係は思ったよりも深いらしい。

そのうち米を探求するのも楽しそうだ。



そんなわけで米の匂いで気絶した話でした。

別になんの解決にもなっていないが、もし同じ経験をした人がいたらお知らせ願いたい。


そしてできることなら治験以外の方法でお金を稼いだ方が良いと思う。

色んな意味で。


健康第一!!


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