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【roots2】《29章》父母の想い

トレバーが発掘調査の機械を大学から運んでサイラスの下を調査した。
確かに地中に何かが埋まっていると判断して
タイラーに重機を出してもらい慎重に掘りおこした。

棺のような大きな石の箱が出て来た。
土から引き上げるのは容易じゃなく、周りの土を綺麗にどかして蓋を開けてみる事になった。
重機を使って蓋をずらすと中にも小さな箱がいくつか入っていた。

砂埃を払うとキラキラと光る貝細工の模様が入った白い箱。
綺麗な飾り文字でRが刻まれていた。
ルビーのRだろう。
タイラーがどうぞとルビーに右手で箱を指した。
ルビーが手に取り箱を開けると手紙と包みが入っていた。手紙を開くと文字が読める。
魔女から両親からの想いが一つ叶うと言われたので「ルビー自身が心から願えばいつでも真実が見えるように」としてもらったと。人を信頼して真っ直ぐに見つめられる人生でありますように。王子に愛されて幸せでありますようにと書かれてあった。
まるで箱から愛情が溢れ出ているのが見えるようだった。

Oと刻まれた黒い箱。大きく紋章も刻まれていた。両親からの手紙は「サイラスのゆりの木から取ったリリーという優しい女性と支え合い生きられるように」と魔女に頼んだ事。
王子を助けて立派な守り番となるようにと書かれていた。リリーが運命の人だったのはオーウェンの両親からのプレゼントだったのだ。

細かな金の細工が施された一際大きな箱には赤ん坊の頃のデイブと王と王妃が並ぶ肖像画が入っていた。湿気でカビてはいるが高貴な人物だと判る絵画だ。中に小さな箱が沢山入っていた。
縦長の箱には手紙が2通。今まで魔法がかかっていたかのように虫食いも無い。金の縁取りがある美しい封筒だった。開けるとペンで書かれた濃いブルーのインク文字が浮かび上がった。

愛しい息子デイビッド

あなたを地下に閉じ込めて、少しでも長く一緒にいたいと願ったのは私たちの間違いでした。
広く美しい世界を見せてあげられる方法をもっと早く探すべきだったのです。
母は愚かでした。許して下さい。

あなたを愛するあまり、手離す勇気が持てずにオーウェンやルビー、ご家族にまで悲しい思いをさせてしまいました。
どうか、デイブ。
あなたが二人を愛し大切にして下さい。
感情を失って、心を閉ざすようにしたのは母です。いくら懺悔の日々を送ろうと直接あなたに償う事が出来ず胸が痛んでいます。

世界はとても愉快で美しく温かい事に気づき、大切な人をちゃんと大切に出来る当たり前の幸せを手にしてくれますように。
この手紙を読む、今のあなたがルビーとオーウェンと沢山の人々と家族のように心を通わせて笑顔溢れる暮らしをしていますように。

あなたの笑顔をもう一度見たい。
母はあなたを愛しています。
             アリソン

「え…」アリソン。母さんはアリソンって言う名前なの?涙をぬぐって肖像画をじっくり見つめた。顔は全く違う。きっと僕に会いたいと願ってくれて現れたんだな。アリソンは温かくて正直で優しい人だった、この手紙のように。
もう1通は父からだと分かった。
心して手に取った。
封筒にロウで封がしてある。Dの飾り文字。紋章ではないのでプライベートな手紙に使っていたのだろうか。
デイブは出来るだけ丁寧に封を剥がした

to be continue…
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ワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀
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