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薄淡い幸せの記憶

久しぶりに施設の母の面会に行ってきた。年末に行って以来だからずいぶん時間がたってしまった。本当はお正月に息子たちがそろったところで会いに行きたかったけれど、久しぶりに帰省した息子たちは忙しくて、なかなか3人揃うというのは難しい。今日は三男が帰省していたので、やっと孫を連れて行って、母を喜ばせることができた。

このnoteを始めたきっかけは、三男が大学に進学して家を離れる寂しさを吐き出すことだったけれど、その三男も既に大学2年を終え、もう春休みだ。1週間前に帰省してきて、スノボ旅行だとか飲みに行くだとかで、ほとんど家にはいなかった。そういうことにも、すっかり慣れてきたなぁと思う。子離れできたということなのだろう。

髪を長めに伸ばしてパーマをふわっとかけている三男と私が並ぶと髪型のせいか、よく似ている。
「よく来てくれて、ねぇ、、」と車椅子に乗った母が笑顔で近づいてくる。いつものことだが、母は面会に来た私のことを自分の妹だと思っている。今日はその妹が娘を連れてきてくれたのだと思っているのだ。「よかったねぇ、大人にになって、、」と涙ぐんでいる。
「これは孫の〇〇だよ」と言っても、最後までピンとこないようだった。
母の記憶は薄くぼんやりとしてしまっていて、その中にまだらのように昔の幸せな記憶が残っているのだろう。でも、そういう薄淡い光が母を時々幸せにしてくれている。

母が会うのを楽しみにしている妹だが、実は先月急に遠くへ旅立ってしまった。母に妹が亡くなったことを知らせる必要もないだろう。私が会いに行くことで、これからも母は大切な家族に会えて幸せな気持ちになれるのだ。

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