エキシビション
424字
六十五歳を過ぎると
言ってみれば
エキシビション
点数にこだわる必要もないから
難しいジャンプもしなくていい
着るものだって自由だ
と思っているのは私だけで
ダンナは
まだまだ点数に つまりお金を稼ぐということ
にこだわっている
課長だ係長だという事にも気にしないフリして実はとても執着している事を知っている
昔
ダンナは休みになると木を切って棚を作ったり
ウッドデッキや玄関アプローチなどレンガなどで自作して
私を驚かせた
こういうことはお金にはならないけれど
好きなんだなあとほっこりしたものだ
そして
いつか小屋を建てたい
そこで作業ができるようにと言った
私は きっと 作ってねと言った
あれから三十年以上が経つ
もうそう言う事はやらないの?
と聞くと
「時間がないだろ」
と返事をする
確かに長い長い老後を考えると働いてくれるのは本当にありがたい
でも本当にやりたいことは働く事なの?
明日死んだら後悔しない?
腰が痛いと毎朝のように湿布を私に張らせるダンナよ
わたしはもうやりたい事しかやりたくない
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?