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ショッピングクレジットの話② 電器屋さんが生まれた日

90年代の店舗側にとって、クレジットカードと肩を並べ重要な決済手段
「ショッピングクレジット」について

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受付できれば「できる」店員

店舗にとっては、現金よりも、ましてやクレジットカード決済よりも煩雑な業務である「ショッピングクレジット」は、その性格上必然的に、趣味品よりも生活必需品かつ高額品である買い物に利用されることが多い。

家電店でいえば、エアコンや冷蔵庫、洗濯機などがその代表であり、したがってショッピングクレジットを受けるというのは、

  • 設置型の家電販売ができる。

  • 配送・工事の受付ができる

  • ショッピングクレジットの手続きができる。

  • NGともなれば客のメンタル面のフォローアップもできる。

等のスキルが求められ、店員としてはこれらのフルコンボを決められるベテラン従業員の証でもあった。

顧客もお店もロックオンされた

高額品を販売するための大きな武器でもあり、定期的にこれを利用した「10日間限りの金利手数料無料キャンペーン」などは大きな販促効果を生んだ。最低利用金額も店で設定でき、期間中の客単価もある程度コントロールできた。

9万円の冷蔵庫を見ている客には「今なら10万円以上のお買い上げは金利手数料無料の10回分割払いが使えますよ!」と声をかける。畳みかけるように9万円と10万の商品の差や主婦心をくすぐる新機能を、身振り手振りを交えた軽やかな口調でご披露する。

これは効いた。
単価も上がるし、今日決まる。
「カタログ貰って考えてきます」と帰られないから、他店に客を奪われたり、また今度にしようか、と思いとどまられることもない。

ショッピングクレジットは高額品を扱う店にとって、最強の武器と言ってもいい時代があった。

当然、これを支える信販会社は店の強力なパートナーとしての地位を得られるうえ、申込書や承認電話のやり取りだけではない商売仲間としての一体感が生まれる。

主要取引先として他社の侵入を阻み、その店舗の商売を独占的に取り扱える関係性ができていった。

ショッピングクレジットは基本的にカードの申し込みではなく、都度の取引だが、クレジットカードの申し込みも同時審査という形をとることで、クレジットカードに抵抗感を持つ顧客に対し「じゃあ、申し込んどくか」とハードルを下げる効果をもち、クレジットカードの普及にもつながった。

カード会社、信販会社にとって、店に入り浸りお店と顧客の信頼を勝ち取ることは、その後メインバンクのようにその店をの取引を独占でき、カードも普及させれば自社直接の顧客に取り込める最強の営業手法であった。

この時代に店舗とカード会社は「ショッピングクレジット」で利害関係を一致させ、蜜月関係を築いていった。

TV放送とともに電器屋さんが生まれた

では、ショッピングクレジットがどこから生まれてきたのか。
もとはと言えば、家電店や家具店の黎明期に一括で支払えないお客に対し、お店で約束を取り付け月賦販売していたものを、店舗作業の軽減を謳い信販会社が間に入りこんだんものだ。

高額品と言えば古くでいえば呉服屋、家具屋、家電店であろうが、中でも家電店は比較的その成り立ちが新しい。

1953年NHKによるTV地上波の放送が始まると同時に「テレビジョン」を製造販売するため、その以前から存在した扇風機や白熱電球なども一手に販売する、いわば電気に関する総合店、スーパーストアとして生まれたのが「電器店」や「家電店」だった。

その前時代は当時最新の通信機器を販売したことに合わせて「○○ラジオ商会」や「○○無線」(当時の世相から「ムセン」というカタカナ表記が多かった)といったのが最先端の業態。

ここから発展しTVを販売する家電店は庶民にとっては憧れでもあり高嶺の花。近寄りがたい店でもあったが、朝鮮戦争から始まる経済成長を経て、町の電器屋さん、家電店として商店街に、日常を豊かにする店として溶け込んでいった。

時代も好景気真っ只中、メーカーの製品も増えていったことで自社製造をやめて販売に専念できるようにはなったが、やはり冷蔵庫1台、テレビ1台で、一般人の給料の数か月分。

欲しがる客も増え、売るためのトークやセオリーも蓄積されていったが、足りないものは支払い方法の確立。後払いの「月賦販売」は時代の要求であった。

当然これに取り組むことになるのだが、まずは各小売店が個別に顧客の懐具合を勘案して、お互いの信用で契約し毎月集金に行くという、三河屋さん方式であった。

つづく

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