第468回 喧騒の中の静けさ
1、上野のお宮
上野公園内には史跡名勝も数多く、いつも博物館で力尽きてしまい、ゆっくり散策してみることも少ないので始めて訪れました。
上野東照宮。
言わずと知れた徳川将軍家を祀る神社です。
2、忠誠心の競い合い
まず迎えてくれる迫力ある石鳥居は酒井雅楽頭忠世の寄進。
境内には各地の大名が競って奉納した灯篭がところ狭しと並んでいます。
中程に進むと案内板があるので、番号と照らし合わせるとどこに誰が寄進したものがあるかはわかるようになっているので、地元のお殿様のがどこにあるのか探してみるのも面白いです。
例によって松平〇〇守ばかりなので探すのは一苦労かもしれません。
金属製と石製品があり、造型も少しずつ異なっていますが、パッとみた限り規則性は見出せませんでした。
境内での位置はやはり社殿に近いところは御三家など格付け通りになっているようですが。
1番大きいものはお化け灯篭と呼ばれ、
佐久間勝之という外様大名が寄進したものです。
他の大身の大名たちが寄進した灯篭と比べてなんと大きいことか。
財力的に大丈夫だったのでしょうか。
無理してでも忠誠心をアピールする戦略があったのか
逆にやましいことがあったのか。
その効果があってお家は栄えたのか。
これだけで相当掘り下げる要素満載ですが、またの機会ということに。
3、重要文化財の威勢
社殿や唐門は1651年建立で国の重要文化財。
手入れが行き届いており、漆や金具類、彫刻の彩色も全く色褪せていません。
もちろん適切な時期に適切な修復を施しているということでもあるでしょう。
まさに桃山文化の名残が残る、バブリーな建築。
無料で見られるのは唐門までで、社殿を見るためには500円の拝観料が必要です。
せっかくだからと有料ゾーンに入ってみると
まずは大きな楠がお出迎え。
続いて、境内社として狸が祀られているのは狸オヤジのイメージがある徳川家康にぴったり。
社殿を囲む透塀も重要文化財で、平成25年までに修復され彩色が復活したそう。
彫刻は一枚一枚異なり、じっくり観察していると時を忘れてしまいます。
基本的には鳥の彫刻が多いですが、鹿など他の動物も。
人が大勢いる公園内において、ここだけは他に外国からのお客様がチラホラ見えるだけで、ゆったりした時間が流れていました。
そう、境内にはフォトスタンドを用意する工夫も。
文化財の社殿や庭園には三脚など持ち込み禁止のところが多いですので、気の効いた配慮だと思いました。
読者の皆さまも、もう少し涼しくなったら散策してみてはいかがでしょう。
(2019年8月12日追記)
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