第1436回 2023年の10大歴史ニュース 日本国内発掘調査成果編

1、今年の10大ニュースその2

2回目となる今回は日本国内での発掘調査成果の中から、独断と偏見で選んだ10件をご紹介します。


2、ニュースラインナップ

①奈良市の富雄丸山古墳の未盗掘の埋葬施設から、過去に類例のない盾形の銅鏡と蛇行剣が出土

②茨城県笠間市で旧筑波海軍航空隊の遺構の調査

https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16763803104196

③富山県射水市の沖塚原東B遺跡で出土した鎌倉時代の網代団扇に白居易の漢詩

④島根県松江市の松江城跡で堀尾家の家紋を用いた軒瓦が出土


⑤鹿児島県西之表市馬毛島で行っている発掘調査終了

⑥九州大学の研究者らが鹿児島県種子島の広田遺跡から出土した古代の人骨に意図的な変形があることを発見

https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/959

⑦北海道礼文島の浜中2遺跡でアワビを神の国に送り返す「貝送り」の儀式を行ったとみられる遺構を発見

⑧群馬県前橋市の総社村東03遺跡で10万枚を超える埋蔵銭が出土

⑨宮城県仙台市の仙台城跡の整備基本計画に関する調査で、復元を目指す大手門の礎石跡が見つかる

⑩東京都千代田区の英国大使館跡から弥生時代の集落跡


3、傾向と展開


いかがだったでしょうか。

皆様ならどのニュースを選ぶでしょうか。

大まかな傾向としましては、高輪築堤問題を契機に、近現代の遺跡に対する意識は確実に高まっていることが挙げられるかと思います。

話題性や画期性という点からすると最も大きいのは富雄丸山古墳の成果でしょう。

調査成果がまとまりどんどん情報が公開されていくと、その度に報道に載ってくる、という注目度の高さです。

あと、今後に大きな影響が出てきそうなのは、最後に取り上げた千代田区の例。

遺跡の調査成果を公開することは義務として課せられたものではありませんが、「善」とされてきました。

「記録保存」という原則だけでは意識の高い層からは批判を受けるような時代になってきました。

このような問題は全国各地にあるでしょうから、今後どう展開されていくのか注目です。



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