第1468号 いつか日本刀を買おうと決意した
1、日本刀は買えないけど
先日こちらにお邪魔してきました。
ちゃっかり私も写っていますが、
「刀剣商による日本刀基礎講座」ということで
きっちり座学を受けた後に刀の持ち方、鑑賞の仕方を学んできたので
少しだけシェアさせていただければと思います。
2、現状と課題、そして魅力
まずは日本刀の現状。
現在日本の法律、銃刀法で所有が認められる美術品としての刀は約230万本。
この数字を多いとみるか、少ないとみるか。
蔵から新しく見つかった!などの場合は警察署に発見届を提出します。
美術品として価値があるか、は警察には判断できないので、発見地の県教育委員会が所管する審査会で判定することになります。
ここで重要なポイント。
「日本刀」として美術的価値を認められなければ没収されてしまうというのです。
ではその条件とは。
一つには作り方。
鉄を叩いて折り返して重ねて作る、というのが日本刀なので
単純に鋳造して形だけ模してもそれは日本刀として認められないんですね。
あとは材料。玉鋼という特殊な金属が使われています。
これに加えて、職人の技によって生み出される刃紋があってはじめて日本刀になる、ということ。
この条件から漏れてしまうもので、昭和の軍刀があります。
近代化され、大量生産によって作られたものは玉鋼を使っていないものもあったようで、美術的価値を認められない場合もあったようです。
ここで気になったのは歴史的な価値の問題。
いわゆる民俗資料としてであれば十分に昭和の軍刀でも価値を見出すことができるでしょうし、
戦後はもう遠くなりました。
50年以上経過したものは文化財的な価値を見出すことができる、という一般論からしても昭和の時代を象徴する軍刀というのも
立派な歴史資料となるでしょう。
それでも「美術品」として価値がないとだめなんでしょうか。
これはうちの県ではどうしているのか、担当者に尋ねてみたくなりますね。
さて話は戻って、刀剣商の話。
組合に加盟しているのが170人ほどで、未加盟の人や美術品商として刀剣以外の骨董品も扱う人がいるので、業界としては300人くらいの規模だということ。
これも多いのか少ないのかピンと来ませんね。
都道府県に1人ないし2人程度であとは首都圏や関西圏に集中、と考えると少ない感じですね。
日本刀の魅力とは、という本題部分に入っていきますと
まず結論から言うと、「手入れされ続けたことの魅力」だそうです。
確かに、他の骨董品と比べても定期的な手入れが不可欠に感じます。
掛け軸なんかは年に1回か2回の虫干しくらいでしょうし、
陶磁器なんてほとんど手入れしなくても大丈夫そうです。
講師の方が考える鑑賞のポイントは「姿」「地金」「刃紋」の三つが挙げられています。
実際に持たせてもらってライトに対する角度を変えながら見ることができるのは貴重な体験でした。
なかなか本で知識を得ても実感が湧きませんでしたが、やはり実物を数多くみるしか詳しくなる方法はありませんね。
それでもガラスケースの中に入ったものを食い入るように見つめるよりも
手に持ってみることのほうが格段によくわかります。
3、こんなビジネスモデルが
なんとこの講習会は無料。
積極的にセールスされることもなく、何時間でも、また何度でも鑑賞してくれ、という大盤振る舞い。
一本当たりの利益が高い、としてもすごいビジネスモデルです。
個人的には何も買わずにじっくり見るのは気が引けるので
講習の資料代くらい取ってもらったほうが心置きなく見れるのにな、と思ってしまいました。
次回は10月くらいにあるそうですので
また日程調整をして参加したいところです。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
おまけに宣伝です。
私も少し執筆している、松島のガイドブックが発売になりました!
ぜひお手に取っていただければと思います。
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