見出し画像

第219号 山に分け入って見えるもの

1、遺跡を守るには

ミヤギには文化財パトロールという事業があります。

県から地域の郷土史に詳しい方に委嘱をして、遺跡の現状を確認してもらいます。

無断で開発されていないか

地震や大雨、山崩れなどで壊れていないか

など、時に遺跡は人目に触れない場所にあったりするので定期的にチェックすることは必要です。

これだけ聞くと

いい制度だな

と思われるかも知れませんが、なかなかどうして、課題も多いのです。

2、ここでも担い手不足が深刻に

まずは、そもそも遺跡の絶対数が多い、ということ。

遺跡数はおよそ全国に46万ヶ所あると言われています。

単純計算でも一県あたり1万ヶ所になるでしょうか。

事実わが町でも100ヶ所以上が登録されています。

このうち毎年5ヶ所を確認します。

つまり20年に一度くらいしかチェックされない遺跡もある、ということ。

一巡した頃には再度パトロールすることが必要になるでしょう。

そして、なり手の問題。

事業が始まった頃は民間の郷土史家や社会科の教員など、地域の人材に事欠くことはなかったのでしょうが、

現在では高齢化が著しく、僻地の踏査など体力が必要なこの業務を受けられる人材が確保しづらくなっています。

この間、県の若手と雑談したところでは

学生さんなど若い人にも積極的に参加してもらえないか

などと考えているようですが、過疎化した地方の町では、考古学や歴史に興味がある若者を探すのも大変だろうと思います。

やはり特定の専門家ではなく、地域の文化財は地域みんなで守っていく、そのような形が望ましいのではないでしょうか。

3、城を攻める足軽の気持ちと鳥の目線

先日、私も文化財パトロールの一環で、調査員の方と一緒に、わが町屈指の山城を踏査してきました(Facebook参照)。

中世の山城はそもそもが敵に攻められることを意識していますし、人が入らなくなると藪に覆われてしまうので、毎回相当苦労します。

今回も堀切と呼ばれる、人の動きを遮断するために尾根と直交する方向の溝を登ったり降りたりしながら現状を確認しました。

歩くのに苦労する、ということはその分、山城としての機能はまだ十分残っているということでもありますので、複雑な心持ちです。

同行メンバーの一人がドローン所有者で、玄人はだしの腕前なので、上空からの映像もいただきました。

流石に林の中からは飛ばせないので、少し離れた展望地点からの眺めがトップの画像です。

Oさんありがとうございます。

城の姿も、城下の様子も大きく様変わりしましたが、最新の技術の力を借りれば、中世の人が眺めた景色をイメージできるかも知れませんね。

#文化財 #パトロール #山城 #堀切 #ドローン #鳥の目 #足軽 #担い手不足


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

ありがたいです。またぜひお越しください。
7

綱渡鳥@目指せ学芸員2.0

中世考古学が専門の行政内研究者。夢は晴耕雨読。歴史文化の価値が高まる社会の実現を目指す。仕事ポートフォリオ:自治体学芸員として【松島町歴史文化基本構想】考古学者として 【2018「中世」『宮城考古学』20】
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。