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【読書メモ】『外科医 須磨久善』(著:海堂尊)

早いもので3月も上旬が過ぎ、4月というか新年度の仕込みも本格化してくる時期になってきました。個人的に、なにがしかの変化の兆しを感じる時に思い出すことが多いのが、『外科医 須磨久善』との一冊になります。

卓越した外科医として文字通りに世界を股にかけて活躍されている須磨久善先生の半生を『チーム・バチスタの栄光』の著者・海堂尊さんがご本人の談話をもとに綴ったモノで、ふと背筋を伸ばしたいなぁ、なんて思ったときに読み返したくなる内容であったりも。

その須磨先生、日本で初めてバチスタ手術を行った外科医として「プロジェクトX」などでもとり上げられていますので、ご存知の方も多いかと思いますが、、私は寡聞にしてこちらで読むまで存じ上げませんでした。

不測の事態が起こった時に、論理的にその理由を考えることは、医学に限らずすべての学問の基本

出典:『外科医 須磨久善』

自分がこうと決めた仕事に社会的な有用性を見出しつつ真摯に立ち向かっていく。そしてそのためであればどんな失敗とも向き合い、そこから派生してくる逆境をも厭わない、、純粋なプロフェッショナルとはこういうものかと、ガツンと叩きのめされるような感覚を思い出させてくれます。

この手術にはふたつの命がかかっていた、患者の命とバチスタ手術の命だ

出典:『外科医 須磨久善』

自らのプリンシプルを曲げずにただ実践を重ねる、言うは易く行うは難しと思います。外科医としてだけでない、一人の人間として尊敬に値する、そんな方なのだろうと強く「こころ」を引き込まれました。

本物の外科医は背中で語る。それができなければ一流の外科医とは言えない

出典:『外科医 須磨久善』

文中でしばしば破境者という言葉が出てきます。その意味するところは「国境を越え、仲間にその方法を伝授することで、多くの人々を引き連れてその国境を破壊していく」、自分が越えるだけの越境者ではなく、世界そのものを変えてしまうような光跡を残すといった、イメージでしょうか。

大人は子どもにカッコいい姿を見せればいい

出典:『外科医 須磨久善』

人を教え育むということの本質をついた言葉と、思います。身体を張っているのか、本気で事にあたっているかどうかは、子どもはすぐに見抜きます。その裏打ちとなる本質もあわせて。純粋さからくる本物を感じとる嗅覚はけっして侮れない、その事をあらためて認識させてくれた言葉でした。

海堂さんの『チーム・バチスタの栄光』の主役の一人でもある桐生先生には、この須磨先生の影響が投影されていると見ていますが、ちょうど同じくらいの時期に連載されて、映像化もされていた『医龍』の朝田先生も、この須磨先生をモデルにされてるとのことです。その全てのを破っていくかのような生き方にどこか共通点を感じたのも、道理で。

ちなみに、『チーム・バチスタの栄光』も『医龍』もどちらも映像化されていますが、須磨先生はそのどちらともの医事監修を務められているとのことです。ついでに言うと、この本自体も2010年にドラマ化されていたそうです(水谷豊さん主演)、アマプラとかでないかな、、探してみよう。と思ったら、アマゾンリンクの挙動が怪しくなっているようで、、ブクログから拝借してみよう(余談です)。

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