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【詩の森】486 謀るコトバたち

謀るコトバたち
 
今日もニュースが
新しいコトバを連れて
この町にやってくる
すると競うようにそれを口にし
僕らが率先してそのコトバを広めていく
僕らは知らず知らず
コトバの伝道師に
なっているのだ
 
新しいコトバは
流行をつくり
古いコトバを駆逐していく
もし僕らが何も気づかず
そのことに加担しているとしたら
君はどう思うだろうか
自己責任というコトバが大手をふれば
政治責任は影を潜めてしまうだろう
 
パンデミック
三密 ウィズコロナ ポストコロナ
気候危機 脱炭素社会 昆虫食
新しいコトバは
誰が作りどのように広めるのだろうか
そこには世論を誘導する
隠された意図が
あるのではないだろうか
 
僕は今
流行語の蔭に追いやられた
コトバたちについて考えている
政治責任 政教分離 死の灰
原子力緊急事態宣言
どれも今の政治を照射する
ほんとうは大事なコトバたち
ではないだろうか
 
ひところ流行った
忖度というコトバも
全てを実行者の責任に転嫁し
指示者Xの存在を否定するための
巧妙なトリックだったと
僕は今でも思っている
そして公共放送は国営放送の仮面だと
密かに疑ってさえいるのだ
 

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