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烈海王ボクシング挑戦。現実の格闘技界にも通ずる孤軍奮闘記。

年明けより地上波放送が始まる「範馬刃牙」史上最強の親子喧嘩編。今シリーズは範馬親子の物語だけに非ず。もう一つの物語が同時進行で展開される。烈海王がボクシングに挑戦する

唐突な展開に戸惑った読者も多かっただろうが、異種競技からの転向では那須川天心の先駆けともいえる。ここでは前回記事とは別に現実の格闘技界と照らし合わせながら、その挑戦記を紹介。

ピクル戦で片足を失うも武人としての歩みを止めない烈。脚が使えずとも拳は使えると新たな道としてボクシングを選択。都内ジムの門戸を叩いた。烈の脚を見て渋る会長以下会員たちの目の前でサンドバッグを木端微塵にし、入会を認められると、公開練習に来ていたマニー・パッキャオ似のプロアマ無敗の現役ボクサーを一撃でKOしてしまう。

今年10月29日。
元UFCヘビー級王者、フランシス・ガヌーと現WBC世界ヘビー及び3団体統一王者、タイソン・フューリーがボクシングルールで対戦。フューリー絶対有利の大方予想もガヌーの左フックが直撃し、フューリーまさかのダウン。全世界衝撃、ボクシング業界からすれば事件ともいえる事態が起こった。

判定は2-1でガヌーが惜敗。
だが崩れ落ちるチャンプを見下ろし咆哮した瞬間がカメラに激写され、世界に報道された。「試合に負けて勝負に勝つ」とは正にこの事。限りなく勝利に近いその状況に、ボクシング界は黙ってるはずがなかった。

試合後WBCはガヌーを世界ランキング10位に入れた。これはガヌーを認めたというのもあるが、ベルトを懸けてでも奴を倒すという意思でもあり、個人vs個人から個人vs競技あるいは権威に変わった瞬間でもある。

烈も同じ。パッキャオ(仮)を倒して全ボクシング界を敵に回したも当然。アメリカからレジェンドプロモーターのカイザーが来日。彼を世界中の強豪との闘い。大金入り乱れるショーアップされた興業の世界に誘う。

このカイザーという男。多分ドン・キングがモデルなのだろうが声がPRIDEやRIZINの煽りVで知られる立木文彦氏なのもあり、RIZIN榊󠄀原信行CEO、或いはUFCダナ・ホワイト代表を想起させる。

派手な演出、ショーアップされた戦いの場に困惑する烈だが、記者や観客も彼の存在に困惑する。中国の修行僧として武術を学び、正確な戦績不明且つ全て非公式試合。どんなルールで戦ってきたのかも定かでなく、それで片足を失っている。本当に戦えるのか?本当に強いのか?

現実だとモンスター路線時代のK-1が採用するタイプだと思う。ボブ・サップ、チェ・ホンマンが活躍した頃に所謂色モノ枠としてトップ所と充てがわれ消費された選手も多々いた。だが、彼は烈海王でここは刃牙ワールドだ。ここから全米を世界をビビらせる旅が始まる。

烈自身は全く変わらない。
右足がなくても、初めてのルールでも培った武を崩さない。ボクシングという競技に敬意を忘れず、自分を良く思っていない会長にも理解と謝意を見せる。大金を手にしても奢らない(但し無礼な態度は許さない)。

カイザーを前に装着したボクシンググローブを自らのパンチで突き破る。呆気にとられる周囲に対し本人は「何故新品を使わなかった!?」と自責する。新品どうこうの問題じゃないと思うのだが、己に厳しい彼らしさを示している。作中屈指の人格者ポジは変わらず。多くの登場人物が範馬親子狂騒曲に踊らされる中、ただ一人ゴーイングマイウェイの単独行動に進んでいく。

なお、こちらの知識が浅く、烈のように隻脚の格闘家が実在するかはわからなかったが、両足の無い格闘家は実在する

愚地克巳と同じ隻腕の選手もいる。先日、武尊vsロッタン、青木真也で日本大会開催を発表したONE。その予選を制し本戦の出場を決めた映像がTLに流れてきた。安全面の是非は別にして、克巳の言う唯一無二のオリジナルを体現していると言えよう。

年明けから始まる地上波放送は最終回のクレジット後までお見逃しなく。烈挑戦の成果が分かる。これから起こる未来の不穏さと共に。

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