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映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション』のこと

モノクロからカラーの世界に変わる原体験。
初めてゲームボーイカラーを手に取った感動は、いまでも特別な瞬間です。
いままでやっていたゲームボーイはなんだったんだ。
画面の中で色とりどりのキャラクターが踊っている。今まで想像するしかできなかったゲームの世界の「色」が、現実世界の「色」とリンクする。バーチャルと自分が地続きに繋がったような感覚。
それから時が経ち、色がある世界が当たり前になり、バーチャルの画面はどんどん僕らに近づいてきて、いつか同化してしまうんじゃないかとさえ思えます。

そんな時にふと、白黒について考える絶好のチャンスが来ました。
マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション。

モノクロの美しさ

2015年に生まれた大傑作。マッドマックス怒りのデスロードの白黒版。オールタイムベスト級に大好きな作品のモノクロ版。何度も観た作品だからこそ観るまでは、たいして変わらないのでは安易に推測していた私。もしタイムマシーンがあれば、過去の自分を正座させます。

白黒だからこそ荒野の砂塵、砂の一粒一粒が煌き、フィリオサの表情は鋭く立ち上がり、マックスの瞳の奥の優しさが、ダイレクトに観客に伝わる。ウォーボーイズの白い上半身は、神の使徒のように神々しく、群れをなして動くアクションがより映えてうつりました。

“この映画は白黒が一番だ”

と、監督のジョージ・ミラーが語ったように、白黒にしたことで、構図・カット割・役者の動き、言い換えれば画の力強さが増したように感じました。モノクロにして何かが損なわれたわけではない!もともとの映画がそのくらいの強度であること、とてもシンプルながら、物語が小手先の技術に頼っていない生身の力強さがあったからこそ、白黒にしたことでプリミティヴな美しさがいっそう前に出てきた。

ライムスター宇多丸さんの言葉を借りれば、「損得を超えた利他的な行動こそが真に英雄的である」ジョージミラーの作品哲学を表しているマックス。マックスは本作序盤、輸血袋と言われますが、それがラスト全く逆の意味になる伏線回収がほんとに素晴らしい。

ゲームボーイカラーを持った過去の私に

君が感じたワクワクは20年後、別の形で感じるはず。期待以上のものに出会えるはず。楽しみにしとけ!!




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