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【無料頒布】日本語フォント「ビルの谷間と高架下」を作りました

こんにちは、Typingart & Co. の中井といいます。
普段は鉄道会社で鉄道運転士兼車掌を、たまにフォントを作ったりしています。
最近は諸事情があり電車の運転を全然やっていません。。

先日、日本語(和文)フォント「ビルの谷間と高架下」を公開したので、素人のフォント作りについて少し書きたいと思います。記事の下にはフォントファイルのリンクもありますよー。

日本語フォント「ビルの谷間と高架下」

たくさんの漢字を個人で作るの大変

前回作ったフォント、「うさぎと満月のサンセリフ」は常用漢字2,000字以上を収録した和文フォントです。グリフ上部がすこし大きく、二頭身キャラのような雰囲気があり、少しだけ膨らんだ曲線と角丸処理、うさぎのしっぽみたいな濁点など、いろいろ可愛さを詰め込んだフォントにしました。また、肉太なウェイトなので、動画に使いやすいかなとも思っています。

日本語フォント「うさぎと満月のサンセリフ」

ただ、和文は漢字をたくさん作らなくちゃいけないので、当たり前ですが制作時間がかなりかかってしまいます。漢字を一文字ずつ作っていて、この字は使う機会あるのかなと感じることは度々あります。かといってフォントとして成立させるには常用漢字、せめて教育漢字はそろえたいよなというジレンマもあるわけで。

日本語フリーフォントを作りたい

今度作るフォントはフリーフォントとして、無料で頒布したいと考えていました。そのためには効率よく作りたい。

  • 収録漢字は使用頻度が高いものを選ぶ

  • 前回作った「うさぎと満月のサンセリフ」のフォルムを真似て作る

  • 制作ツールをIllustrator+GlyphsからGlyphsのみに絞る

この3つを軸に作っていきました。

使用頻度が高い漢字1,000字を収録する

文化庁の国語課が公表している「漢字出現頻度数調査」を基に収録漢字を決めました。これは国内で流通する書籍の組版データを分析して、漢字の出現頻度を順位付けしているそうです。教育漢字が1,026字なので、この調査の上位1,000字を収録漢字として選びました。

漢字出現頻度表

以前作ったフォントを真似る

「うさぎと満月のサンセリフ」のフォルムを一部踏襲し、リメイクのような感じでグリフを作っていきました。下書きをしてトレースすることもなく、最初からパスツールで制作を始めた感じです。直線メインで少し曲がってるところもあるかな程度のものに仕上げました。

制作ツールはGlyphsのみを使う

今まではグラフィックツール「Illustrator」で一文字ずつ下書きをトレースして、それをフォント制作ツール「Glyphs」にコピペして調整を加える作業をしていました。今回はIllustratorをすっ飛ばして、最初からGlyphsでパスの描画を始めてみました。操作はIllustratorに近く、文字組みもすぐに確認でき、スペーシングやカーニングの調整も編集ビューから可能です。フォント制作ツール「Glyphs」の使い方はこちらの書籍が分かりやすいですよ。

Glyphs 編集画面

完成した日本語フォント「ビルの谷間と高架下」

そんなわけで2か月ちょっとで漢字1,000字を含むフォントが完成しました。でこぼこ感が可愛い、動画やVtuberさんのサムネイルにもぴったりなフォントかと思います。もちろん各種印刷、スクリーン媒体にも使い所はたくさんあるかと。Xのアカウント @sakujitetsu をフォローしていただければ連絡不要で商用利用可能です。無料のフリーフォントですのでダウンロードのうえ、ぜひお試しください。

フォントのダウンロードはこちら


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