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インド滞在記 #13(2004年~2005年)

2004年12月6日~7日 アーマダバード:与える側と受ける側では感じ方が大きく異なる「人助け」。

午前3時ちょっと過ぎ。昨夜10時にウダイプルを出発したバスがアーマダバード駅前に到着しました。バスは列車にくらべ遅れが少ないのは素晴らしいのですが、むしろ早く着きすぎて到着が夜明け前、とかいうのは違う意味で正直困りものです。

もちろん、到着後にバスの中で(当初の到着予定時刻まで)夜明けを待たせてくれるなどという、心温まるサービスがあるわけもなく、しょうがなく次なる目的地(であり、帰るべき場所である)ゴアへの切符を手に入れるために、列車予約センターが開く朝8時まで、アーマダバード駅の構内で寝て過ごしました。列車を待つ周りのインド人と同じように・・・。

さて、と地べたに横になり、ふとハッとなる自分。「我ながら染まってきたなぁ」と、迂闊にもしみじみしてしまいました。パブリックスペースだろうがなんだろうが、当たり前のように一番快適な体勢(姿勢)を自然に取ってしまうようになっている自分が、そこにいました。日本じゃホームレスのみなさまでも、多少申し訳なさそうにイスで寝たり、簡易寝床を整えたりして、肩身の狭い思いをして寝ていらっしゃるのに・・・。

ここインドだと、駅の入口付近、階段、待合所、どこでも横になれるスペースがありさえすれば、車や人や牛に危害を与えられたり、追い払われたりしない限りは、みなさん普通にくつろいでらっしゃいます。「周りもみんなそうしてる」という現実から、いつからか自分も同じようにすることに抵抗感を感じなくなり、そうすることが「フツウ」に感じてしまっています。

人間の環境適応能力、といえば聞こえはいいですが、これはおそるべきことです。日本での「当たり前」を、やっと認識することができたと思ったら、もうインドでの「当たり前」に染まりつつある自分に気づきました。人が、いかに、自分の周り(の人)や環境に、行動や思考や感情の面で影響されやすい存在かということを、身をもって学んでおります。

さて、朝8時になると同時に列車予約オフィスへ突撃し、とにもかくにもゴアまでの切符を買うには買えました。この時期(年末年始の超ハイシーズン突入!)のゴアへの列車なので、ある程度覚悟はしていましたが、さすがにWL100オーバー(ウェイティングリスト。要は座席が割り当てられるかどうかは100人以上のキャンセル待ち)にはシビれました。インド人の切符販売員にも「本当にいいんですね?」みたいに念押しで確認される始末です。が、ゴアにたどり着けさえすれば、もう家(ホームステイ先)に戻るだけなので、正直もうどうにでもなれという感じで押し切りました。が、あー、ちょっとだけ心配になってきた・・・。

アーマダバードの話に戻ります。列車チケットを購入した後は、宿探しです。駅前にあるA-Oneというホテルを覗いてみた際に、日本人の女の子2人組に会いました。そのうちのお一人は、年季の入った旅行好きの方に思われたので(あっさり)私もそこに泊まることにしました。

宿泊手続きをするも、まだ午前中ということもあり部屋(シングル or ドミトリー)が空いていなかったので、荷物をその子ら(日本人の女の子2人組、個室をシェアしているようでした)の部屋に置かしてもらって、観光に出かけてみました。今日もたくさん歩いたなぁ~。

Sidi Bashir Masjid ⇒ Rani Sipri Ki Masjid ⇒ ヴィクトリア公園 ⇒ エリス橋 ⇒ バスで Adalaj Vav へ(アクセス面倒、でもよかった!) ⇒ 帰ってきて Sidi Saiyyad Mosque(悪ガキがいた) ⇒ コナ・レストラン(ターリーとラッシーがうまかった) ⇒ Teen Darwaza ⇒ Jama Masjid ⇒ Rani no Hajiro(近くのインド人女の子、めっちゃ美人やったなぁ)

トレーニングか、っていうぐらい歩いた気がします。途中で飲んだ瓶ペプシ(インド仕様)がやけにうまく感じました。なお、観光名所ではアダーラジの階段井戸、ジャマーマスジットが特に素敵でしたよ。

話しは変わりますが、アーマダバードは大都市でもあるため、コルカタのように空気がとても悪いです。そのため、また喉と鼻がやられました。大気汚染は、本当にインドの大きな問題の1つだと身をもって体感しております・・・マスク必須です。。。

翌日(12/7)、本当はこの日の午後にアーマダバードを発って、翌朝(12/8)ゴアに到着、という予定を考えていたのですが、残念ながら目的の列車の運行曜日が、手持ちの "Trains at a glance"(インドの列車時刻表ブック。日本の「JR時刻表」的なモノ)に載っている情報から変わってしまっていて、急きょ 12/8 にアーマダバード発へ変更となったのでした。

インドはすべてアバウトです。これが受け入れられない方には、つらい旅先なんだろうな~と思いました。

そういうわけで、本日(12/7)はなーんにも予定がなく、またぶらぶらとその辺を歩いてきました。まぁ、いつものごとく、ぶらぶらというには長い距離でしたが・・・。

まず Dada Hari Ni Vav へ行って、そのあとで Hatheesing Jain Temple へ行ってきました。前者は(もちろん素晴らしいのですが)Adalaj Vav とほとんど同じ、後者はかなりきれいで素晴らしかったです。アーマダバードでどれか1カ所だけ行くのなら、私的にはたぶんここ(Hatheesing Jain Temple)が一番いいんじゃないかなと感じました。精密な石の彫刻、吹き抜ける風、鳥の鳴き声、鐘の音・・・。

いかんせん、わかりづらく、かつ行きづらい場所にあります。途中、道に迷ってしまって、しょうがなく道を尋ねたのですが、教えてくれたおっちゃんがめっちゃイイ人で、JainTemple までバイクのケツにのっけて連れて行ってくれました。昨日(12/6)も、アダーラジで道を聞いたら、のっけてくれた人いたなぁ。

完全に個人的で乱暴な言いっぷりですが、インド人はガキと金持ち以外は、ええ人が多い(気がする)。おっさんしかり(リクシャーワーラー除く)。すみません、言い過ぎました。冷静に分析すると、アクセスしづらいところだったから、外国人観光客に対して金ヅルという認識がまだなく、なにやら困っている珍しい生き物みつけた、みたいな感じで、「わざわざこんなところまで巡礼にくるなんて感心な異国人だ、ちょっくら助けたるか」くらいの軽い心持ちだったのかもしれません。とはいえ、与える側と受ける側では感じ方は大きく異なるものでして、私的には「まじ感動!!!」ってなくらいの忘れられない体験だったのでした。この気持ちを忘れずに、ちょっとしたことでも人助けを与える側になれるよう心掛けたいものです。

そういえば、あと Rani Rupamati Masjid を見ました。が、あかん全部いっしょに見えてきた・・・。


本日もたくさん歩きました。歩き疲れて、道端で買ったスイカ5Rs。ほんのり甘くて、みずみずしくて、おいしかったな。・・・おもいっきり手でよそわれたけどね。
(つづく)

さて、いよいよ次回は「北インド方面をぶらり一人旅」編の最終回(になるハズ!)です。WL100のゴア行き列車がどうなるか、ぶじ家まで帰りつけるのか、とくに楽しい話もたいしてないかもしれませんが、最後までお付き合いいただければ幸甚です。

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