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【台湾語学留学】発想力問われる選択科目「繪本閱讀與討論」

授業紹介第3弾は「繪本閱讀與討論」。

水曜日の朝8時10分から受けている。日本語に直訳すると「絵本の読解&討論」という講座名だ。毎週1冊、だいたい5〜6歳向けくらいの中国語の絵本をクラスメイトと読み、内容や、その背景にある寓意についてディスカッションする授業である。

最初にシラバスで授業内容をみたときには、正直な話、「絵本…? あんまり役に立たなさそう……」って思っていた。スケジュールの関係でこの授業しか受けられるものがなく、しょうがなく取ることした講義だった。

ところが、受けてみるとコレがなかなか面白い。

わたしは日本では6歳児と1歳児の父親なので(台湾でも父親であることには変わりないか……)、普段からわりと絵本というものには触れているつもりだった。が、頭を使わず子供に読み聞かせしているのと、ある程度テキストの読み解き技術を身につけている学生同士で一緒に絵本を読むのでは、まったく違う体験なのである。

たとえば、まず文字の部分は隠して、絵だけを追って「読んで」みる。文字情報はゼロの状態からどんなストーリーが読み取れたかをクラスメイトと(もちろん中国語で)ディスカッションする。みんな答えがバラバラなのがおもしろい。

あるいは起承転結の「承」までたどりついた段階で、「あなたならお話をどう転がしますか」という質問が飛んでくる。これもみんな答えがバラバラになる。

最後は定番の「この物語から読み取れることはなんですか。どんな寓意があると思いますか」。これも一番それっぽい寓意だけでなくて、伏線的に語られていること、さらにその周縁で示唆されていること……と考えていくと本当にいろいろある。

読む絵本はもちろん中国語だけど、日本や欧米の絵本が翻訳されたものも結構ある。これまでに授業で読んだ絵本を振り返ると、

「方眼男孩」(四角い眼をした男の子)
「白貓黑貓」(白い猫と黒い猫)
「紙袋公主」(紙袋を着たお姫様)
「菠菜在哭」(ほうれんそうが泣いている)
「活了一百萬次的貓」
「樵夫的大鬍子」(木こりの大きなひげ)
「禁止黑暗的國王」(真っ暗禁止の王様)
「注音練習」(注音記号を練習するおばあさん)
カッコ内は私の勝手な訳です。上から5番目はご想像にお任せします

という感じ。

環境問題やジェンダー、自尊心の大切さ、ステレオタイプに囚われることの怖さ、マジョリティーが正しいとは限らない、幸せとは何か、社会にひそむ声なき声……いま思い出してもよくもこんなにいろいろなテーマが絵本から語れるものだと驚く。

逆にいうと、こういうことを授業中にクラスメイトのまえで語るには、中国語以前の発想力が問われるともいえる。そういう意味では普段ぼけーっと生きている人間にとっては結構疲れるクラスだったりします。


【2022/10/26の日記】

机に向かっての勉強時間は1時間26分。

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