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エンタメ全部盛り『ゾンビ特急"地獄"行き』(1972年の映画)

お前は『ゾンビ特急"地獄"行き』という映画を知っているか。俺は知らなかったがAmazon Prime videoに配信された途端に見た。そして、そこで得たものは、地球上でたったひとつのオールタイムベスト映画だった。

ゾンビ特急"地獄"行き

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よくきたな。お望月さんだよ。
ゾンビ特急"地獄"行き』(Amazon Prime Videoへのリンク)という作品に事故的に出会った。それはいつものようにアマゾンプライム対象に加わった新着映画をレビューがないものも含めてクロール調査をしていた時だった。

※AmazonPrimeVideoを検索するとき、通常ではオススメ度★★☆☆☆以外の作品は検索結果として浮上しない。このため新着作品を探す時には、意図的にフィルタリングを外して指定条件で検索を行う必要があるのだ。

何やら不穏なタイトル。
明らかに過積載な「ゾンビ」「特急」「地獄行き」というタイトル。不穏で胡乱である。これは絶対に観るしかない、そう思いタイムラインにシェアを行った。すると我が信頼できるデンゼル天然水ことにゃん平2号機さんからの反応があった。

これは間違いない!予感が確信に変わった瞬間である。

こうして、だらだらと感想の主文を後回しにしていることからわかるように、本作品は最高に愉快痛快なホラー作品であった。なるべく事前情報を入れずに楽しんでほしい。



というわけで感想です。

本作は、ゾンビ、北京原人、遊星からの物体X、オリエント急行殺人事件、ニンジャスレイヤー、トロッコ問題、新幹線大爆破、ロシア峰不二子、デビルマン、生命の起源、封神演義、酉島伝法、その他諸々のSFが混ざり合い、独特の味を生み出した怪奇傑作である。

まず劇中で暴れまわる殺人北京原人ミイラの設定が非常に良い。
このミイラの視線を浴びた生物は白眼を剥き血を流して死んでしまう。そして、死んだ人間は脳みそのシワがツルツルになってしまう。これは知識や記憶が殺人北京原人ミイラに奪われたことを意味している。

つまり、殺人北京原人ミイラは知性を現代レベルアップデートさせながら特急に潜り込み密かに殺人を繰り返す厄介な存在であるということだ。

そして、殺人北京原人ミイラには第二の能力がある。それは、彼が視線を送った相手に精神を転移させて生き残るというものだ。

例え、ミイラを破壊しても問題は解決には至らない。ミイラを殺した人物に"それ"は乗り移り、肉体と知性を近代化して、より違和感なく現代人へ溶け込んでいく、恐怖の存在であることが明らかになる。

ここで、物語はミステリーの味わいを帯びてくる。犯人は誰だ、北京原人は誰だ、そのような推理が乗客の間で交わされるようになる。

さらに、"これ"に対して、憧憬を抱く存在までが出現する。それは聖職者であるラスプーチン師である。彼は"悪魔"とも称される物体に対して服従し、あろうことか肉体を差し出そうとまでするのだ。

どうだい、まだまだ面白くなるぞ。
さて一方で探偵役の乗客には癖の多いキャラクターが多い。総じて顔が良く、画面に映っているだけで間が持つため、このようなミステリー作品にはうってつけだ。

中でも細菌学者を名乗るおばちゃんは良いキャラクターで、食事よりも死体解剖を優先させるマッドぶりを見せてくれる。彼女の解剖の結果、ミイラの能力や諸々が明らかになっていくのだから、本作に欠かせない人物だ。

彼女がミイラの死体(すでに死んでいるのだから不思議な話だが)から取り出した細胞をチェックすると、そこにはミイラが観た映像が浮かび上がることに気が付いた。殺された人々、様々な風景、プテラノドン、そして地球……どうやら"彼ら"は、遥か昔に外宇宙から地球へ訪れたことが明らかになるのである。

そして物語は佳境を迎える。吹雪の中、列車にコサック共が乗り込み事件の解決を図ろうとする。追い詰められた"アレ"は、ついに悪魔の本性を現し、事件と列車は大惨事に向かって走りだす。

ここから先のクライマックス。
そしてラストシーンの感動的な、あの映像はあなたの眼で確かめてくれ。

ニンジャスレイヤーファンにとっても、「ゲイシャ・カラテ・シンカンセン・アンド・ヘル」とか「ヨロシサン・エクスプレス」とか「カロウシ・ノー・リモース」への影響を強く感じる本作、見逃すわけにはいかない怪作ですよ。

絶対オススメ!!
(この記事は鑑賞直後に居てもたってもいられずに書き始めたものです)




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