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「DX補助金」を紙の申請書でしか受け付けない、地方行政の罪

地方は小規模事業者が利用できる補助金・助成金が意外に多くあります。

小規模事業者にとって、少額であっても事業投資に利用できる補助金があるのは非常に助かります。

一方で、行政の補助事業に対する姿勢には、疑念を抱いてしまうことがあります。

DX補助金を紙で申請させる地方行政

先日、山形県の補助事業であるDX補助金というものに申請しました。

DXの定義にはご存知の通り、デジタル技術を活用した業務プロセスの改善が含まれます。

にもかかわらず、山形県のDX補助金は書類の郵送をもってしか申請ができませんでした。

別の例ですが、酒田市でここ数年募集のあるDX補助金に申請した時のことをお話しします。

以前、酒田市のDX補助金には2つの類型が用意されており、1つがデジタル技術を活用した新たな事業の創出、もう1つが業務プロセスの改善でした。

弊社は前者で申請し、デジタルギフトのサービスを自社のECサイトで開始するといった内容の事業計画書を書きました。

そして、市に補助金に適合する内容であるかどうかを確認したところ、過去にこの補助金が採択された例がないので、わからないという返答をもらいました。

採択されたことがない補助事業に毎年予算をつけているのもおかしな話ですが、もっとおかしなことがその後にありました。

申請をする際に、「審査する人間が高齢者ばかりなので、事業については詳しく記載してほしい」と言われたのです。

酒田市の場合はメールで申請書を送付できるのでその点では山形県のDX補助金よりもましですが、高齢者のために無駄な資料を用意するのはプロセスの簡素化に逆行していると言わざるを得ません。

地方行政の本気度はどの程度のものなのか

上記は一例に過ぎませんが、DXに限らず、地方行政は補助事業を通して、本来の目的を達成しようとしているのか、はなはだ疑問です。

たとえば、国の補助事業でIT導入補助金というものがあります。決してUIは優れていませんがシステム上で申請が完結します。

これが、山形県のDX補助金のように紙で申請するとなれば、お笑いです。

補助事業を通してDXを推進する主体であるはずの行政が、DXできていない。

これは、地方行政が国の事業計画に表面的に従っているに過ぎず、本質的に企業や経済を変えようと思っていないことを裏付けているのではないでしょうか。

一企業にできること

やる気のない地方行政に対して私たち企業ができることは、残念ながらほとんどないと思います。

いつか誰かが言ってましたが、地方行政が変わるためには、決定権を持つ人間がいなくなるまで待つしかないそうです。

私たち企業にできることは、補助金を活用して地域の経済が盛り上がるような事業をつくっていくことだけです。

そういった企業の姿勢に、他の地元企業が追随して経済の好循環を生み出すことができれば、地方はもっと良くなるのではないでしょうか。


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