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現代の魔術!?具体と抽象を使いこなそう!◤あの芸能人も使いこなす概念を使って障害者支援◢@家族のための障害者支援学 【2時限目】

こんにちは、内ノ宮 基です。
1時限目では、表面に見えるものだけではなく、裏に見えるストーリーを見てみようというお話をしました。

今回は私が現代の魔術と思っている「具体」と「抽象」についてのお話をします。

家族のための障害者支援学とは?

「家族のための障害者支援学(通称:障害者支援学)」としてシリーズ化します。
家族として、身近な人として、知的障害者の人を支援するためのヒントになりそうな情報をお伝えします。

私自身、子供の頃は勉強嫌いでした。
しかし、大人になってから学びには総額数百万円は投資しています。
その学んだことのエッセンスを障害者支援に役立つ方法として凝縮しました。
なるべく幅広い視点から、障害者支援に繋がりそうな話題を記事にします。

時には少しタメになる雑学も織り交ぜる予定です。
時には自己啓発的な面も出ると思います。
むしろ本学を抽象化して自分に合わせた具体化をすれば自己啓発にもなります。
また、時には強引に結論を結び付けることもあるかと思います。
広い心でお読みいただければ幸いです。

※障害者支援学校ではありません。障害者を支援する学びだと思って頂ければ幸いです。


具体とは?抽象とは?

「具体」や「抽象」とは、日常的に使われる言葉です。
例えば、「もう少し具体的に説明してよ!」とか「いや、抽象的すぎてわからん」など日常会話で言ったり聞いたりしないでしょうか?
今回はその具体と抽象の概念や知的障害者の人へ説明する時のポイントなどを、なるべく具体的にお話します。

そもそも具体と抽象って、なんでしょうか?
一言で説明すると

具体的=わかりやすい
抽象的=わかりにくい

です。

さらに具体的に説明すると

具体的
・解釈の自由度が低い
・選択肢が少ない
・イメージがしやすい

抽象的
・解釈の自由度が高い
・選択肢が多い
・イメージがしにくい

ものとなります。

魚を例に出してみましょう。

あなたが家族からお買い物を頼まれたとします。
その時に
「魚を買ってきて!」
と言われたとします。

そうしたらどうしますか?

「いや、何の魚?」
「魚なら何でも良いの?」
と思うはずです。

魚という指定では抽象度が高すぎるから、選択肢が多く定めにくいのですね。
なので、何の魚を買えばいいのかイメージしにくくなるのです。

では、こういう指示でしたらどうでしょう?
「メバチマグロの赤身を買ってきて!」

具体的ですよね?
これなら買うときに困らないはずです。
大分具体的な指示なので、選択肢も少なく、買うときにも困らないはずです。

この例を具体と抽象レベルにしてみると下記の様になります。


具体と抽象のイメージ

魚は抽象度が高いです。
なぜなら、魚には人によって色々想像が異なると思います。
鮭や鯛も魚ですし、金魚やメダカだって魚です。

次にマグロという魚の種類で指定しますが、これでもまだまだ抽象度が高いです。
クロマグロ(本マグロ)、インドマグロ、メバチマグロ、キハダマグロなど色々な選択肢がありますよね?

なので、その種類で指定してあげると具体的になります。
さらに種類と部位で指定してあげるとより具体的になります。
例えば、「本マグロの赤身」、「本マグロの中トロ」の様にです。

ここから更に買う場所も指定してあげることでより具体的になります。
例で言うと、どこで購入するかを指定してあげれば選択肢は狭くなるわけですから、具体的な指示になるのです。
ここでは話しませんでしたが、産地の指定なども入れるとより具体的になりますよね。

この様に選択肢が少なく、イメージがしやすいものが具体。
選択肢が多く、イメージが難しいものが抽象となります。

具体と抽象クイズ

では、ここで簡単なクイズを出題します。
遊び感覚で答えてみてください。

Q1.次のうち、どちらが具体的?
①本
②漫画

Q2.次のうち、どちらが抽象的?
①女の子
②男

Q3.次のうち、どちらが具体的である可能性が高い?
①シンプルな1枚の図
②分厚い本

・・・

答えは出たでしょうか?

そうです。

全部②が正解です。

それぞれ軽く解説すると、
Q1は漫画の方が具体的です。
漫画も本の中のジャンルを限定しています。
本には参考書や雑誌も含まれます。
選択肢も多く、より抽象的な表現なんですね。

Q2は問題文を逆にしました。
抽象的な方を答える問題です。
対比だったので、少し難しかったかもしれません。
ですが、男には男の子から高齢男性まで、色々な選択肢が広がりますよね。
対して女の子に絞ると、子供をイメージできます。

Q3はどうでしょう?
可能性の話をすれば、1枚の図よりも分厚い本の方がより長く詳しく説明しているはずです。
そういった意味で答えは②になるのですね。

「具体化」は、あの芸能人も使いこなしている!?

私は様々な本やテレビを読んだり見ますし、セミナーなども受けてきました。
その中で説明が上手いなと思う人は例外なく、この具体と抽象を使いこなしているんです。
わかりにくい抽象的な表現を具体的にしてくれるので、わかりやすいのです。
例え話の巧い人は具体化も巧いです。

テレビで例を出すと千鳥のノブさんは凄いです。
私は勝手に「具体化の鬼ノブ」と呼んじゃっています笑
例えば『笑神様は突然に』というテレビ番組で相方の大悟さんが、ロケ中に水道を見つける度に手を洗う。というボケを繰り返すんですね。
最初は「なにそれ?」という普通のツッコミだったのですが、その後大悟さんがそのボケを繰り返した時のノブさんのツッコミが秀逸でした。
そもそも大悟さんのこのボケは抽象度が高すぎるんですよ。
色んな選択肢がありますし、何をしたいのかがわからないボケです。(それはそれで面白いんですけどね笑)
一般人だと「またそれ」とか「なんで手ばかり洗う?」で終わるはずです。
これでは、抽象度の高いままのボケで終わってしまいます。
しかし、そこは流石、具体化の鬼です。
「なんで手ばかり洗う?人でも殺めてきたんか!?」とツッコミを入れるんですよ。
スタジオ内は大爆笑です。
少々過激なワードですが、凄い具体化ですよね笑
大悟さんが手を洗うことを繰り返すというボケに対して、人を殺めた為返り血を浴びたことを気にする殺人鬼という構図を作り上げたのですから。
面白い事はもちろん、具体的にイメージさせる秀逸なボケだと思います。

他にもノブさんに対する印象は、何気ないボケを拾って、具体的な例えツッコミが多いイメージです。
想像力が豊かで頭の回転も早いので、瞬時に秀逸なツッコミが出来るんでしょうね。
抽象度の高いボケを例えツッコミで具体化することで、視聴者にイメージさせるんですね。
具体的になるので、視聴する側もわかりやすいのです。

「具体」と「抽象」どっちが良いの?

ここまで読むと、「具体的な方が良いじゃん。」と思った方もいらっしゃると思います。
確かに具体的な方がわかりやすいので、良い様にも思えます。
ただ、必ずしも具体的な方が良いかと言うと違います。

先に述べたように具体的なものは選択肢が少ないのです。
具体的なものは可能性を制限します。
答えが定まっており「これで間違いない」という状態の時は良いと思います。
しかし、大抵はそんなことないと思います。
ただでさえ、今の時代はビジネスの世界ではVUCA、西洋占星術の世界では風の時代と呼ばれる様に変化の激しい時代です。
コロナが我々の生活を変えた様に、今までの正解が成り立たなくなってしまう時代です。
状況に応じて変化が求められます。
そのため、選択肢が定まっていることが必ずしも正解ではないのです。
選択肢を増やしつつ、可能性を広げるためには抽象的な考え方も必要です。

なので、この具体と抽象を両方使いこなすことがとても重要なのです。

障害者支援に大切な「具体と抽象」

ここまでで具体と抽象について、少しでもご理解いただけたら幸いです。
もっと具体と抽象を知りたいという方は、細谷功さんという方が書いている「具体と抽象」という書籍が大変わかりやすいです。

特に会社などで指示する立場の方には必須のスキルだと思うので、読んで損はない本です。

と、締めに入りそうな勢いですが、ここからが本題です。

障害者支援学ですから、障害者支援に役に立てなければなりません。
しかし、自己啓発として本記事を読んでいる方にとっては前置きの方が本題ですね笑

知的障害者の人によく見られる傾向として言われるのが、想像力が乏しいです。
この説明については、詳しくは私の過去の記事で読んでください。

もちろん、ここで想像力が乏しいということが悪いと言いたいわけではありません。
想像力が乏しいということは、抽象的な概念を具体的に捉えることが難しいと言えるのです。
これは、抽象と具体を使いこなすことが苦手とも言えます。
なので、そこは家族やサポートする人が具体的に指示を出してあげたり、具体的に教えてあげることが求められます。
つまり、抽象的な概念を具体的にしてあげることが重要なんですね。

知的障害者の方や境界知能の方は選択肢を絞ることやイメージすることが苦手(な傾向にある)なので、具体的に指示をしてあげると動きやすくなるのです。
私も弟に指示する時には、なるべく具体的に指示を出します。
例えば、「弟の職場の人に【弟自身が軽度知的障害者】と知ってもらってから働いた方が本人のためにも職場の人にもなる。」と考えています。
なので、その「軽度知的障害者ということを職場に伝える」という指示も具体化しました。
弟の場合は派遣社員のため派遣会社を通して、企業と面接をして採用という形になります。
そのため、「明日、派遣会社の担当者の人に電話で、弟が知的障害者ということを派遣先の企業にも伝えて欲しい旨を伝えて」と具体的に弟に指示を出します。
いつ、誰に、どのように、(どこで)、何を。という点を具体的に伝えます。
具体的にするということは選択肢を少なくすることです。
選択肢を少なくすることは、即ち可能性を限定的にすることです。
この様に誤った方向に行ってほしくないときは具体的に指示を出します。

逆に抽象を使う時はどんな時でしょうか?
一例を出すと、こちらの都合があまり良くないときです。
例えば、弟を検査に誘う時に私は「適正検査みたいなものをやってみない?」と誘いました。
実際は知的障害か見極めるためのIQ検査でした。
しかし、それをそのまま伝えると弟を傷つける可能性がありましたし、検査を拒否する可能性がありました。
そのため、あえて抽象的にしました。
その上で、弟はその頃仕事を探していたので「就職活動にも使えるかもしれないし」という多少具体性のあるベネフィットをチラつかせました。
この様にこちらの都合が良くないことは抽象度を上げて説明します。

この様に使い分けができます。

具体と抽象は、現代の魔術!?

具体と抽象を使いこなせる様になれば、人や物事をある程度思い通りに動かせる人になれます。
だから私は具体と抽象を現代の魔術だと思っています。
実際に私も、後から考えると「具体と抽象を使いこなす人の想い通りには動いているなぁ」と思うときがあります。

これは余分な話にはなってしまうので、簡潔に話します。
例えば、会社の仕事でも部下だけに限らず、上司すらも動かすことができます。(もちろん、他のテクニックも必要です)
人が動くには理由が必要です。
そして、理由に納得してもらう必要があります。
納得してもらうには、相手の理解が必要です。
その理解を得るためには、少なくとも自分の伝えたいことをわかってもらう必要があります。
そのための方法の一つが具体と抽象なのです。

さらに私は著書にも書きましたが、弟の知的障害者申請の際の面談などにもこの技術を応用しました。
もし紙版の著書を持っている方は丁度81ページから83ページあたりに書いています。
お持ちでない方で気になった方は、ぜひ著書をご覧ください。
これから家族の方が知的障害者の申請をしようとしている方には役に立つ、かなり実用的なワザです。

Amazonのkindle unlimitedに加入している方は読み放題で読めます。
ぜひご覧いただければ幸いです。

まとめ

1.具体=わかりやすい、抽象=わかりにくい
2.知的障害者に指示する際は、具体が好ましい。が、場合によっては抽象も使いこなす
3.具体と抽象を使いこなせば、様々なメリットがあるよ!

#障害者支援学 #具体と抽象 #自己啓発

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