香港は九龍半島東端は比較的最近に開かれた地域で現在も埋め立てた土地に次々と新しいマンションが建てられていて、だからこそ商業施設に入ってくるテナントなどもミレニアル以降の世代が好む実験的なブランドも多くなっています。

坑口という地下鉄の駅からタクシーで数分のところに今回のCM撮影スタジオがあります。

清水灣電影製片廠という名称でその名も影業路という通り沿いにあります。

このあたりはこのエリアでも早くから開発された場所で少し古くなった公団が立ち並びます。

香港映画が全盛期を迎えた90年代にはこのスタジオで数々の名作（もちろん駄作も）が生み出されました。敷地内には6つの大きなスタジオがあり、以前は美術スタッフが寝泊りしていたような建物もあります。

僕もこの撮影所では既に10回以上CM制作の現場に立ち会わせてもらっています。

今回のブランドはアンチエイジング系のサプリメント。お客様は新進の起業家でこれまでにいくつもの仕事をさせてもらっています。

今回、彼らがブランドのスポークスパーソンとして指名したのは、90年代後半にアイドルとして一斉を風靡した女優さん。僕もちょうど香港で仕事を始めた頃で化粧品やアパレルの広告で彼女が異彩を放っていたのをよく覚えています。もちろんその後も彼女は人気を保ちつつ活動していたのですが何故か僕自身はそれほど見かけることがありませんでした。香港の芸能人は大概、俳優、歌手、MCなどマルチに活躍することが多いのですが、集中して活動すると数年間ブランクを作ることも多いのでそのせいもあったかもしれません。

彼女は今年、大々的にコンサートで歌手復活を果たしたのでその意味では旬な存在です。僕が最初に見た広告では彼女はとても可憐に写っていたので、実際には176cmという長身で、かつ、絞った体型の彼女には（もちろん年輪も含めて）なかなかの存在感を感じました。

若い頃は生意気でそのせいで干されたという噂も一時期ありました。いやいや、カットの度にモニターをのぞき、ディレクターやスタッフと意見を交換する彼女はプロそのものでした。ムービーもスチルもいい絵が撮れたと思います。

お客様は中学生の時に彼女がアイドルだったそうです。今回の仕事が成立したことをもの凄く喜んでおられました。

香港ではこのカテゴリーの商品はタレントさんに負うところが大きいです。きちんと認知に主眼を置いたもの、興味や関心に特化したもの、アクションを促進するものの3つのバーションをトップ、ミドル、ボトムの各ファネル向けに作りました。

売れること間違いないと確信しています。

＊女優、商品について現時点ではお話できないのが残念です。オンエアされたらリンクを貼らせていただきますね。